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ダストエンドの終焉

時を遡って、ちがやたちが王子を救出した後の出来事...


ダストエンド


この国の必要悪として、ちがやは当初手を出すつもりはなかったが、目にした光景は予想をはるかに超えるものだった。しかし、被害者だけを綺麗に救い出すことは容易ではない。一見被害者に見える奴隷の中には、実は堕ちた人物も含まれる可能性がある。もし犯罪者が紛れ込んでいた場合、単純に解放することが社会に危険をもたらすかもしれない。手を差し伸べるということは、それだけの責任を負うことを意味する。


「ちがや、共有マジックボックスはある?」


「あるよ。何か使うのんか?」


「商業ギルドに連絡して、犯罪者を引き取ってもらえないか聞いてみるの。」


「どういうこと?」


ルナの考えは、まず現在進行形で違法行為を働いている者たちをちがやの夢境監獄に送り込むことだった。その後、彼らが帰ってきてから、宗教国家の監獄に引き渡してもらう予定だ。被害者については、警備隊が保護し、それぞれの場所に送り届ける。犯罪者については国の法に従って裁かれ、調査される。調査が終わった被害者は保護されるか解放されることになる。全ての責任を国に委ねるというのがルナの考えだった。


「全てをちがや一人に背負わせるのは間違っているわ。自分たちで解決しなくてもいいのよ。」


怒りを抑えきれないルナに、ちがやは戸惑いながらも口を開いた。


「え?それでいいの?確かに、ルナの言うことも分かるんやけど。」


しかし、ちがやはその後、ルナの優しい思いに気づいた。


「ああ、自分が一人で抱え込んでいたからか。自分がなんとかしないといけないと思い込んでいたわ。」


ルナがよく言っていたことを思い出したちがやは、ふふっと笑みを浮かべた。


「自分が間違った時に真っ向から否定してくれる。それがなぜか、嬉しくてたまらないんや。」


ちがやはルナの言う通り、夢境監獄と必要な物資を準備し、一人ずつ丁寧に観察しながら監獄に送り込んでいった。移送は一瞬で行われ、周囲からは突然消えたように見えるだろう。そのような不可解な現象が始まると、周囲はパニックになったが、出口は既に塞がれていた。


ルナが魔法で調査している間、薬物を持っていた者は即座に監獄に送られた。数が多いので、ルナの磁力魔法で違法取引をしていた者たちを一箇所に集めて監獄に送り込んだ。広範囲に展開できるこの魔法で、一気に問題を解決していく。気分はまるで大掃除だった。


「汚いものは捨てましょう。」


ちがやも同意し、犯罪者たちを次々と監獄に送り込んでいく中、奴隷などの被害者だけが残った。ちがやたちはローブを外し、姿を現した。全てを見ていた奴隷たちは、ちがやたちから敵意を感じないことに気付いた。


「あなたたちがやったのですか?」


びくびくしながらも、奴隷の一人が聞いてきた。


ちがやはこくりと頷き、周囲を一瞥した。子どもから大人まで、幅広い年齢層の人々が首輪で繋がれている。人間だけでなく、獣人やエルフの姿も見受けられる。ちがやは奴隷の中にも犯罪者がいるのではないかと警戒していたが、そのような気配は感じなかった。


ルナが広範囲の魔法で調査を行うが、案の定、検査に合格した奴隷たちだけが残った。ちがやは迷うことなく、広範囲回復魔法と解呪の魔法を使用し、呪われた首輪を外した。これで誰も影響を受けないだろう。身体も回復し、奴隷たちは歓喜の声をあげた。


ルナが一旦別の場所に保護することを伝えると、奴隷たちはぞろぞろと保護夢境に入っていった。ちがやは周囲を見渡し、誰もいなくなったことを確認すると、亜神の力を少しだけ解放し、ダストエンドそのものを埋め立てた。こうして、ダストエンドへの道は未来永劫閉ざされ、全ての被害者は表社会に解放された。


ダストエンドの闇を一掃したちがやたちは、後に救世主として称えられ、商業国家でも再び有名になってしまった。

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