胡蝶、根回しをする
大商人を引きずり下ろすと決めた翌日
ちがやは商人としてのネットワークを使い情報収集をしていた
「それで本当に取引してくれるのでしょうか?」
ちがやはこの街では有名な商人
その商品を止められたら商人として競走に負ける
ならばと情報を売りちがやと取引を申し出た
「ギルドからはうちから言っておくから安心してや。」
誰もが欲しがるちがやの商品
それを餌に情報を引き出す
もし後ろめたいことがあり協力できない場合はその商人には売らない
ちがやの意地悪な発想で善良な商人と悪質な商人も見分けられる
商人達はそんな気まぐれなちがやの手のひらで踊るしか無かった
無論、ジェイソン達の協力の元裏取りもしてある
もしもちがや達に手を出せば破滅するだけだ
そして他の商人と違うところはちがやの商品の発送は止められないという点
ちがやは共有マジックボックスで取引をしているので輸送中に狙うこともできない
かと言って圧力をかけても商業ギルドは圧倒的利益をもたらすちがやの味方をする
仮に痛手を追わせることができてもちがやはむしろ喜ぶだろう
何故ならちがやには野心がないからだ
程々に生活出来れば金なんてそこまでいらん
でも仕事はしたい
ニートは嫌だ
という程度の考えなので収入が減ることはむしろ好都合
どっちに転んでも美味しいのでちがやは迷わず突き進む
その勢いに誰もが後ずさる
「ダストエンドね・・・」
そんな時に大商人が取引している闇市場があるダストエンドという街について知った
ダストエンドはこの国の闇
闇ギルドによって作られた集落のようなもので違法な取引が頻繁に行われている
普通の商人は危険すぎて近付かないらしいがそこは金にものを言わせて大商人は取引をしているらしい
本来なら闇ギルドごと潰すちがやなのだが、国が放置していることに疑問を感じた
日本にもあった 必要悪という存在
正義感の強いちがやだがバランスが取れていることも実感していた
だから、この目で確認してから考えようと思った
「ダストエンドか・・・あそこは入るのが難しいぞ」
皆に相談するとヴァルガが知ってたらしく教えてくれた
「それって警備が厳重っちゅーことか?」
「いや、入口が秘匿されてて場所は分かるのにどこから入ればいいかわからないんだ。」
「まぁ、違法なことしてるんやしそりゃあ隠れるか」
とはいえ、全員で行動するのはあまりにも目立つ
いや、迷彩ローブがあれば姿は隠せるがあまりにも非効率的すぎる
ここは手分けしたほうがいいだろうとふむと考え始める
「うちとルナ、ポチとリリス、ジェイソンとヴァルガで別れよか。」
「ポチと何をすればいいのですか?」
「ポチの鼻を使ってバルザックの家に隠されている裏帳簿と裏取引の証拠を見つけるんや。リリスもポチがいれば安心やろ?」
「わかりました!よろしくお願いしますね!ポチ!」
「わん!」
「俺とジェイソンは何をすればいいんだ?」
「ヴァルガ、傭兵やってたならその手の情報ルートぐらい持ってるやろ?ジェイソンと一緒にちょちょいと脅しつつ手を貸してるやつをあいつから引き剥がすんや 二人が脅せば大人しく手を引くやろ」
「孤立させるってことか・・・」
「さすがちがやだ」
「いや、普通にえげつないって!?」
「私達は何をするの?」
「ダストエンドに侵入して事実を確かめる そのためにルナの魔法で追跡して入口を暴く。あとは中を見てからやな・・・」
そうして商業国家の闇を暴くことを決意するのだった