胡蝶は稼ぐ
「いやぁ、ガッポリやな~旅費にしては多すぎるぐらい儲かってもうたな」
「ちがやちがや、あれまた食べられないの!?」
「あれなら簡単やしいつでも作れるで 高温の油で薄切りにした芋をカラッと揚げるだけや」
「それだけなのか?ちがや」
「まぁ、高温の油で一気にあげるっちゅーのもあるけど作り方はシンプルやで ジェイソンも気に入ってくれたならこれからも色々作ったるな」
「わーい!ありがとうちがや!」
「あ、でも太りやすいから程々にしとき・・・芋言うても油っこいし」
「で、ですよね・・・」
ガーンと効果音が付きそうなほど落ち込んでいるがちがやの注意はもっともだ
旅をする以上健康には気をつけなければ
「うーむ・・・でももう少し稼いでた方がええかな・・・寒くなると移動もきけんやしどこかにしばらく滞在せなあかんかも・・・」
「たしかにふゆをみこすとちょっと不安かもね・・・あ、それなら私も手伝うよ」
「手伝って何をするんや?冒険者ギルドでもいくん?」
「それでもいいけどもっと安全な方法があるよ」
「安全な方法?」
「魔道具の魔力補充でお金を貰えんやな!魔法使いならではの稼ぎ方やな!」
「限界はあるけど魔道具の魔力補充ぐらいなら多少稼げるからね 」
「ふむ」
「筋肉は売れんでジェイソン」
「それあげても意味ないやつでしょ」
「ジェイソンはもう売るものあるやん 魔物の素材が」
「そういえば旅の途中しっかり素材とってたものね。ランクの高い魔物もいたしかなり高額になるんじゃない?」
「ジェイソン、ルナ、ちょっと待の外いかへん?」
「「?」」
「街の中ではちょっと怖しここで相談なんやけどな」
そうして2人に話す
ジェイソンがかった魔物 そのままうってもお金になるが加工して商品価値をあげないかということを
幸い ちがやの能力とルナの魔法、ジェイソンのパワーがある
ちがやのアイデア次第で作れそうである
「それなら明日からね・・・私もう魔力使っちゃったから」
ルナが申し訳なさそうに断るがちがやは親指をたて問題ないことをしめす
「心配いらんでルナ!これ、ルナ飲んでみたくない!」
「もー!あるなら出してよね!」
ルナは迷わず飲む ぐびぐびと飲む
そして美味しそうに微笑みながら魔力が完全回復した旨を伝える
ぶっちゃけルナは魔力より味に興味ありそうだった。
そしてちがやが作戦内容を伝える
まず、ジェイソンの素材をジェイソンが整える
次にちがや能力で付与効果を付けつつ加工する
そして最後にルナに魔力を注いでもらいちがやの付与効果付きの魔道具の完成である
「大丈夫かこれ」
ジェイソンはやりすぎたのではないかと心配になる
「さっきの魔道具屋のおっちゃんにこっそり聞いておいたねん 魔道具作ったら買うてくれるかって そしたらすんごい笑顔でOKしてくれたで」
「ちがや、あなたいつの間に・・・でもいくらになるのかちょっと楽しみね」
3人で作った傑作だ これ一つでかなりの金額になることはわかる
だが、あの魔道具屋の人がどこまで評価するかが未知数だ
それ故にドキドキしながら3人で魔道具屋へ戻る
「おっちゃん、例のもの持ってきたで」
ちがやと魔道具屋のおっちゃんはにやりと笑いあい通じあった雰囲気をだす。
どうやらかなり期待してようだ。
話がわかる店主でよかった
そして驚きの金額を啓示される
「嘘・・・こんなにいいんですか?」
店主は口数が少ないようだ
にやりと笑いつつゆっくり頷く
そしてドンと大量の金貨を手渡される
その金額なんと金貨50枚(日本円換算で5百万)である
俺とルナはそれでも納得だったが、ちがやは商人らしく交渉する
「おっちゃんおっちゃん、この魔道具な・・・」
「っ!?」
ドン!と更に金額を上乗せされる
ちがやはそれに納得し店主と硬い握手を交わして交渉成立
そうして最終金額はなんと金貨70枚
あの店主かなり太っ腹である
20枚も上乗せするとは思わなかった
あとちがやは何を店主に囁いたのかが気になった
「ねぇ、ちがや、あの店主に何言ったの?」
「あれな、店主がうちの付与効果のことに気付いてなかったからこっそり教えてあげたんや どの道買われるかもしれんし教えとった方がええやろ?」
「なるほど・・・ちがやのことだから上手く隠したんでしょうし別にいいけどよく気づいたわね」
「うちは商人やで?店の商品全てから相場を叩き出してたに決まっとるやん」
「お前、計算早いんだな・・・」
「だね・・・」
「あんなんただの算数やん!誰でもできるって~」
「桁が大きいのよ桁が」
何はともあれこれで冬も安心してこせるだろう
それに3人の共同作業にあれだけの金額が付けられたのがうれしかった。
そして何より今まで1人で何でも抱え込もうとしていたちがやが俺たちを頼ってくれた
その変化が微笑ましく思えた