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ゲームみたいな異世界に転移した俺、最強のチートスキル《創造》でブラックドラゴン娘と一緒に荒野を復活させていたんだが、何故だか邪神扱いされていた件  作者: しばいぬ
第三章 亡国のフレイマ

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第九十三話 歓迎の宴

 俺が居ない1ヶ月の間にツバサが死んだ?


 子育ても何もあったもんじゃない奴らと、凶暴なホムンクルス……あり得ない話じゃない。


 俺はグゥインとアドちゃんを引き連れて、家の屋上に転移した。


「正確には仮死状態じゃ。ツバサは成長が著しくてのぅ……しかも人化も出来ぬときた……魔素を吸い減らしていくのが手に取るようにわかった……それを重く捉えたツバサは、自ら眠りについたのじゃ……」


「……自分から?」


「死んだように眠ってるんだよ。そのおかげで、魔素の減少は収まったよ」


「それは、どのくらい前の話なんだ?」


「英太たちが外の世界に向かってから、10日くらいかの?」


「狙って仮死状態になったのかな?」


「だよ。せっかくサーシャが頑張ってくれてるのに、ツバサは馬鹿だよ」


「本当の死ではない、というのは救いじゃ……その反面、ふっと死が確定した時に深く悲しんでやれん気もしてのぉ……ともかく、妾たちは受け入れた。いつかあの阿呆を叱ってやれる日まで、待つ事にしたのじゃ」


「ツバサは今何処に?」


「ユグドラシルの大樹の側で寝かせておる。明日にでも案内しようぞ。さあ、今日は楽しむのじゃ! ツバサもそれを望んでおるじゃろう!」


 そうだよな。みんなが割り切っているのに、俺が暗い顔してちゃダメだよな。


 ちょうど料理が出揃ったようだ。フライング気味に果実を貪るハイエルフの姿が見えた。


☆★☆★☆★


「では、改めてデベロ・ドラゴの国王であるお二人からご挨拶を賜ります」


 ただの宴会であり、デベロ・ドラゴに初めての移住者を受け入れる式典の意味合いもある。司会をするのは、元リーダーゴーレムで、現在は騎士団長を務めるゴレ……ドラゴレンヌだ。


「わたくしは、ゴーレムたちを束ねるゴレンヌと申します。皆様以後お見知りおきを」


「あれ?」


 俺の疑問符に、ゴレミがすかさず反応する。


「デベロ・ドラゴでも『ドラ』を付けるか付けないか問題で一悶着があったそうです。アドちゃんさまの策が功を奏し、『ドラ』撤廃に至りました」


「だよ」


 アドちゃんは得意げだ。


「えー! 妾がグゥインである! 堅苦しい挨拶はいらぬ! 皆が楽しめる国家を創りたい! 共に楽しもうではないか!」


「えー、英太です。僕はまたすぐに結界の外に出てしまいます。国と街の発展には、みなさんの協力が不可欠です。色々協力してください。よろしくお願いします」


 手短な挨拶の後、サーシャの「かんぱーい!」という元気いっぱいの声が鳴り響いた。


 表情を見るだけで、みんなが心から楽しんでいるのがわかり、安堵する。


 ラブラン、リンガー、アイラたちも目覚めてくれたら良かったが……未だ爆睡中だ。


 夜は更けてゆき、みんなで五区画に向かった。ユグドラシルの大樹とツバサの様子を見る為だ。


「この世のものとは思えないね」


 リーナさんは首が折れそうな程に上を見上げている。


「サーシャちゃん、木登りしよ!」


 マリヤちゃんの提案は、マリィさんによって却下された。神聖な木に登るなんてとんでもないとのこと。登る気満々だったハイエルフは、何処か恥ずかしそうにしている。


「英太よ、こっちじゃ」


 グゥインが進む先には大きな黒の塊があった。


「……デカっ……これ、ツバサなのか?」


 そこに居たのは、全長3メートル程のブラックドラゴン。俺たちが外の世界に旅立つ前は30センチ程だったのに……いったいどういう事なんだ?


「そうじゃ。あれよあれよと成長しおっての……」


「グゥインもそうだったのか?」


「わからぬ。妾は生まれた頃の記憶を失っておるからの」


 ……そうだった。失念。


「ちょっと鑑定してみるな《詳細鑑定》」


名前:ツバサ・鏑木カブラギ

年齢 : 0

種族:黒竜ブラックドラゴン

レベル:XXX

HP:35,500/35,500

MP:35,500/35,500


基本能力

筋力:S+

敏捷:S

知力:G

精神:G

耐久:S

幸運:E


ユニークスキル

✹⛢ᚩⲭ⨀


スキル

煉獄の炎 

氷結の息 

厄災の舞 

聖なる雫 


状態:仮死状態。自ら行った休眠状態。本人が取り決めた条件を満たすまで目覚める事はない。



 ……確かに仮死状態だ。それよりも、能力の成長具合が半端じゃない。仮死状態になってなかったら、グゥイン並になってたんじゃないのか?


 そんなツバサが、生まれたての時のような粗暴なやつに戻ったとしたら……国なんて一瞬で壊滅してしまう。


「どうじゃった?」


「仮死状態で間違いない。本人の決めた条件を満たすまで……」


「どうした?」


「ユニークスキル……文字化けして……いや、古代言語か? 読めないんだけど……何かしらのユニークスキルを手に入れてる? 手に入れようとしている?」


「うむ、リポップかもしれんな」


「リポップ……まさか……」


「此奴と妾は似ておる……そうであっても不思議ではない。もしそうだとしたら、可哀想じゃの……」


 自分と同じスキルを持つのは可哀想か……お前の方こそ可哀想だよ。


 あり得ない話ではない。グゥインとツバサのスキルは、ユニークスキルを持たない事以外は全く同じだった。


「まあ、考えても仕方ないのじゃ……安心せい。第五区画はアドちゃんによる仕掛けがせれておる。目覚め次第、ドライアドの根で拘束する」


「拘束……」


「なんじゃ? その心配をしておったのではないのか? ツバサが暴走すれば、国民に危険が及ぼう……その時は、妾がこの手でツバサを葬り去る」


「リポップがあったら意味ないだろ」


「1週間の猶予がある。その間に国民を避難させ、次に結界が開いた時に脱出させればよい」


「じゃあ、お前は……」


「妾はツバサの親じゃ。責任を取る立場にある」


 グゥインの奴……そこまで考えていたのか……


「起こってもない事で悩むのはやめよう。暴走するって決まった訳でもないし、そんな事は鑑定されてない」


「うむ、シュレディンガーのドラゴンじゃろ? そのつもりじゃ。だからバンバン移民を集めるがよい」


「よく覚えてたな」


「忘れてたまるか。妾は、英太と出会ってからの事は全て覚えておきたいのじゃ」


 可愛い事を言ってくれるな……


「なぁ、俺たちが外に出てからの事を聞かせてくれないか? 必要な事だけじゃなくて、無駄な話も、たくさん聞きたい」


「ふむ、反省したようで何よりじゃ。そうじゃのぅ……では、余す事なく聞かせてやろうかの」


 俺たちは、お互いが過ごした1ヶ月の出来事を余す事なく語り合った。

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