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ゲームみたいな異世界に転移した俺、最強のチートスキル《創造》でブラックドラゴン娘と一緒に荒野を復活させていたんだが、何故だか邪神扱いされていた件  作者: しばいぬ
第三章 亡国のフレイマ

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第九十一話 王との再会

 転移魔法はデベロ・ドラゴでも問題なく使用出来た。俺たちの目の前には土の王都が広がっている。


「何だこれは……」


「凄いね!」


 ギルマスとマリヤちゃんは感嘆の声をあげた。闇世の中、マリィさんが発したあり得ない光量の聖なる光(ホーリーライト)に照らされた土の街だ。人の気配が無い街に聳え立つ建物の数々。所々に植えられている木々はエルフ国にしか存在しない神聖創樹だ。


「色々と想像以上過ぎるぜ……まさか英太だけで作ったとは……」


「そうだよ。俺だけで作ったんだよ。街はね。木はサーシャが生み出した。植え替えたのは俺だけどね」


 ああ、懐かしきブラック労働の日々……ネット小説のひな形であるブラック労働おじさんの転生……俺の場合は転生してからの方が辛かったな……


 いや、懐かしんでいる暇はない!


「ギルマス、時間が無い。人間国との結界は最大で90分しか通り抜けられない。ここでの生活に関してはグゥインとアドちゃんから聞いてください。マジックバックも預けておきます。色んな物を大量に入れてあります」


 俺は一方的に喋って、ギルマスにマジックバックを手渡した。死の大地に置いておく物は全て入っている。


 さて、やるべきタスクを消化して行くぞ……


 先ずはグゥインを紹介しないと……と、周囲を見渡す。気配は……強大な気配は上空からやって来た。


 黒竜ブラックドラゴン形態のグゥインが、ゆっくりと地上に降り立つ。その存在感に、誰もが慄いた。そして、次の瞬間……いつもの少女形態に変身した。


「はっはっはっはー! 妾がデベロ・ドラゴの王、グゥイン・鏑木である! 善きにはからえ! 英太よ! 人間国への使い、まことにご苦労であった! その栄誉を讃えて、そなたにドラゴンメッセンジャーの称号を与えよう!」


 まーた要らぬ称号が増えてしまった。


「グゥイン、俺はお前の使いっ走りじゃないんだよ」


 こいつの魂胆は手に取るようにわかる。無駄な変身、無駄な主張……新たな友達に威厳を示したいのだ。


「グゥイン! 魔素が足りないんだから、ドラゴン形態になっちゃダメなんだよ! みんなの努力を無駄にする事なんだよ!」


 アドちゃんがグゥインをポカポカ殴る。全くダメージは入って無さそうだが、王としてそれでいいのか?


「す、すまぬ。最初が肝心じゃからな。本来の姿を見せたかったのじゃ」


「グゥイン、ただいま!」


「おかえりなのじゃ! 英太、サーシャ、ゴレミ、大義であったぞ!」


「グゥインちゃん! 元気だった?」


「うむ、色々大変じゃったが、元気なのじゃ!」


「グゥインさま、本日も麗しゅう御座います」


「ゴレミよ、この人間の身体はなんじゃ? 良く似合っておる!」


「勿体ないお言葉……嬉しく存じます」


「さて、時間が無い……とりあえず簡単に移住者たちを紹介する」


 俺はグゥインにギルマスとマリヤちゃん、そしてウルフたちを紹介した。幻覚作用での体調不良組と爆睡組の紹介は、ギルマスに任せておく。


 人間が結界を通り抜けられるのは90分程だ。もう20分は経過しただろう。少なく見積もればあと1時間……次にやらなければならないのは……


「グゥイン、旅のお供に新たなゴーレムを生成する。名前をつけてやってくれないか?」


「あいわかった!」


 俺は死の大地の土と、ブラックドラゴンの鱗、少量のミスリルを用いてゴーレムを生成する。核は、カマロ一家のアジトで爆散したゴーレムのもの……それに加えて、二つの核を埋め込んだ。


 誕生したゴーレムは、どこかゴレミに似ていた。


「よし、其方の名前はゴレオじゃ! ゴレオを名乗るがよい!」


「有り難き幸せです」


 ゴレオが平伏し、ゴレミも頭を下げていた。


「ゴレミよ、ゴレオを弟だと思って可愛がるのじゃぞ!」


「承知しました。グゥインさまの鱗に誓って」


 姉弟ゴーレムの誕生か……そうまでしてやるって、グゥインにとってゴレミは本当に特別なんだな。


「さて……あと50分……サーシャ、グゥインに思い出話をしてやってくれ」


「はいっ!」


「英太はどうするのじゃ?」


「俺はアドちゃんと話しがある」


「待て! 妾は……」


 構ってやりたいが、今は時間が無い。ゆっくり話したいなら出迎えに来れば良かったのに……


「すぐに戻るよ……ゴレミ、ドラゴン形態になれるか?」


「承知しました」


 ゴレミはドラゴン形態に変身する。隣のゴレオも見様見真似で変身した。


「ぼ、僕もサーシャと話したいんだよ……」


 というアドちゃんを掻っ攫う。


「ゴレミ、ゴレオ、島全体が見晴らせる位置まで上昇してくれ!」


「だよー。高いところは得意じゃないんだよー!」


「ちょっとだけ我慢だ。ゴレミ、結界が緩んでいる場所は無いか?」


「第一区画以外でですか?」


「順番に回った方が良いかと思われます」ゴレオが言った。


「ゴレオの提案だ! そうしよう!」


 俺たちは先ず第二区画に向かった。さっそくそこに結界の緩みがあった。


「だよ!? こんなものさっきまで無かったんだよ!?」


 アドちゃんの驚きぶりからするに、嘘はついていない。そこにあったのは、第一区画に発生した結界の隙間の数倍の大きさだった。


「どう思う?」


「うーん……この隙間から入って来る魔素だけでも相当なんだよ。僕と小娘形態のグゥインだけならこれだけで生命活動を維持出来るよ」


「アドちゃんさま、グゥインさまをその様に呼ぶのは聞き捨てなりません」


「だよ。僕とグゥインは五分の盃を交わしたんだよ。タメなんだよ」


「そうでしたか。それは知りませんでした」


「だからってゴレミは変わらなくていいんだよ。グゥインを扱い安くするために交わした契約でしかないんだよ」


 こいつら、俺たちのいない間に何をしてたんだ?


「うーん……この結界の隙間は……あと48時間は開きっ放しでいそうなんだよ」


「そんなに?」


「だよ。でもね、特定の誰かが通ったら閉じる仕掛けになってると思うんだよ。たぶんそれは英太たち……人間国で何かあったんだよ?」


「魔王の息子と出会った。結界を緩めてやるから、魔王国に来い……とは言われてないけど、来て欲しそうだった」


「だよ?」


 アドちゃんの表情が険しくなった。そりゃそうだ。大切なサーシャには、魔王の息子を関わらせたく無いだろう。


「魔王の息子ですか……」


 ゴレミはすぐに察したようだ。しかし、敢えて答え合わせはしなかった。隠しきれなくなったら仕方ないが、今はまだその時ではない。


「この魔素量……英太の話と照らし合わせると、この結界の先は魔王国で間違いなさそうなんだよ」


「そうか」


 タルトは結界を開いて待っているのか? それとも仕掛けだけして安全な場所に逃げたのか? 魔王国においては、タルトや俺の強さはどの位置に値するのか……


「48時間は死の大地に滞在出来るって事なんだよ。良かったんだよ」


「いや、イレギュラーで結界が閉じないとも限らない……準備でき次第、魔王国に……」


「英太」


「ん?」


「少しは休むんだよ。何も聞かなくても、僕でもわかるんだよ。グゥインも気付いてるよ」


「グゥイン?」


「だよ。英太はさ、グゥインの成長に気付いてやれなかったでしょ?」


「成長って……グゥインが? ……何か変わってた?」


「身長が、2.3cm伸びておられました」ゴレミが言った。


「僕、抜かれちゃったんだよ」


 そもそも、アドちゃんの方が大きかった事を知らないんだよ。でも、気付いて欲しいよな。そういう奴だよな。


「……わかった。ゆっくりするよ。その上でちゃんと準備もして、魔王国に向かう」


「だよ。今日は宴会を開くんだよ。そして、明日はみんなでデベロ・ドラゴを見て回るんだよ」


「そうだな、そうしよう。少しゆっくり……あっ!?」


「英太さま?」


「忘れたてた。ルーフだ! ゴレミ、第一区画まで飛ばしてくれ!」


「承知しました」


 ちょっと待てよ……いけるか?


転移魔法テレポーテーション


 俺はフレイマの王都跡地をイメージした。次の瞬間から……俺は人間国にいた。


「ルーフ!」


「む? 英太殿か?」


 ルーフはあくびをして身体を伸ばす。どうやら眠っていたようだ。


「デベロ・ドラゴに来て貰う。ウルフたちも一緒にどうだ?」


「うむ、実はな……ウルフたちにはアラミナの警護をさせようと思っていてだな」


「警護か……」


「うむ、食料の確保にもなるし、アラミナも護れる……一石二鳥だ」


「じゃあ、ルーフは?」


「我がいないと不安だな。スタンピードの討ち漏らしも増えるだろう……しかし、可愛い子には旅をさせるものだ……我も向かうぞ、サーシャの元にっ!」


 死の大地よりもサーシャかよ! というか、ルーフとアドちゃんのサーシャを巡る争いが加熱しそうだな。

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