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ゲームみたいな異世界に転移した俺、最強のチートスキル《創造》でブラックドラゴン娘と一緒に荒野を復活させていたんだが、何故だか邪神扱いされていた件  作者: しばいぬ
第三章 亡国のフレイマ

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第四十五話 人間国の惨状

 そこには見覚えのある光景が広がっていた。たった数ヶ月前に目の当たりにした、生命反応を感じさせないあの島……強大な魔力を持つブラックドラゴンだけが存在したあの島と酷似していた……


「ここも……死の大地?」


 そう呟いた途端に、聞き慣れた声が耳に届いた。


「……さん! 英太さん!」


 気がつくと、背後にサーシャとドラゴレミの姿があった。結界の隙間は……広がったままだ……どうやら無事に外の世界に移動出来たようだった。


「サーシャ、ドラゴレミ、身体に異常はないか?」


「はい。問題ありません」ドラゴレミが言った。


「私も異常無しです」サーシャも元気満々だ。


「よし、何かあったらすぐに教えてくれ」


「ここ……『死の大地』と似てますね」


 その通りだ……見覚えがありすぎる。


「ああ、まずは周辺を調べないとな。サーシャは俺たち全員に隠蔽魔法をかけてくれ。存在そのものを感知し難くしたい」


「わかりました《隠蔽魔法インビジブル》」


「ドラゴレミ、周辺を空から見て周って欲しい」


「承知しました」


 ドラゴレミはドラゴン形態に変身し、飛んでいった。


 まずは、ここがどの種族の国なのかを把握しなければならない。その上で隠蔽魔法を使ってその種族に変装する。鑑定スキル持ちにぶち当たるまでは穏便に過ごしたい。ぶち当たったとしても、なるべくなら波風を起こしたくはないのだが……


「英太さま、確認が完了致しました」


 30分後、ドラゴレミが戻って来た。ドラゴレミ曰く、現在地から半径100Kmほどは荒野が広がっているそうだった。『死の大地』と同じ状況なのか、というと少し違う。現在地を中心に窪んでいるのだそうだ。どうやらこの荒野は何者かによって人為的に作られたもののようだった。


「考えられる中で一番可能性が高いのが『爆発魔法』です。それも巨大な……全てを吹き飛ばすほどの爆発が起きた……と考えられます」


「爆発魔法……誰かがこの規模の爆発を起こしたって事か?」


「魔力とスキルレベルが高ければ、その可能性は十分にあります」


 グウィンが一国を滅ぼした事があるかもしれない……って言っていたけど……それと同等の威力だと?


「英太さん、私……聞いた事があります。複数人で魔力を集める「究極魔法アルティメットマジック」があると言う話を」


 やはりファンタジーの世界は危険で一杯だ。自分たちはそれなりに強いと思っていのだが、早速鼻っ柱を折られてしまった。外の世界にもグウィン並の攻撃を仕掛けられる手段はあるみたいだ。


「ちなみに、生命体は発見出来たか?」


「はい。ゴブリンやホーンラビットなどの魔物と魔獣が数百匹……こちらは問題ありません。私一人でも殲滅出来る程度の強さでした。それと、ここから森を超えて300Km程の場所に、人間国の街を発見しました。名前は『アラミナ』です。中規模程度の街で、武装した人間が多く、念の為あまり近付かずに様子をみました」


 人間国……可能性として一番高かった……しかし、この状況はなんなんだ? 


 爆破魔法(仮定)によって荒野になった大地と、武装した人間だらけの街……平和とはかけ離れているな……


「それでいい。無理は禁物だ」


「ドラゴレミちゃん、随分人間国の事に詳しいですね?」サーシャが聞いた。


「たしかにそうだな」


「準備期間中にアドちゃんさまから指導を受けました。お二人へのサプライズもあり、アドちゃんさまにもお供する事を隠しておりましたのに、丁寧に教えて下さりました」


「アドちゃん、教えたがりっ子ですもんね」


「英太様、この後はどうしましょうか?」ドラゴレミが判断を迫る。


「街へ向かうのは明日にする。今日は目立たないように野営しよう」


「承知しました……それと、英太さま」


「どうした?」


「アドちゃんさまからは、人間国には魔物がいないと伺っていました。ホーンラビットは魔獣扱いだとしても……ゴブリンは魔物に分類されるのではないでしょうか?」


 魔物と魔獣の分類か……人の言葉を理解しているか否か……食材として利用されているか……どうなんだ?


「サーシャ、エルフの国ではどうだったんだ?」


「そうですね。ゴブリンは見かけた事がありません。基本的に魔獣も少ないですが、ホーンラビットは結構いますね」


 不可侵が破られているのか?


 でも俺たちにとってはその方が都合がいいか?


 魔物がいるってことは……魔王国が攻めてきてこうなった?


「……色々と情報収集が必要なようだな……とりあえずは今日の寝床だ。サーシャ、俺が小屋を創造クリエイトするから、小屋にも隠蔽魔法をかけてくれ」


「わかりました。あ、でも……」


「どうした?」


「英太さんが隠蔽魔法をかけた方がいいのではないですか?」


 確かに、俺とサーシャの魔力には大きな差がある。しかし、俺の隠蔽魔法は生活魔法に分類されていて、隠蔽魔法のスキルレベル自体はサーシャの方が上だった。自分よりスキルレベルが高い者には看破されてしまうという特性上、サーシャに頼むのが最善策だ。


「俺も使えるけど、サーシャの方がスキルレベルが高い。サーシャが使い続けてくれたら、今後助かる場面も増えると思う」


「はい! 頑張ります!」


 サーシャの顔がぱあぁっと明るくなるのがわかった。頼りにされて嬉しいんだな。


 俺が創造クリエイトで作り出した小屋をサーシャが隠蔽魔法で土の塊に変えた。小屋自体はアイテムボックスに仕舞えるので、今後も使えるように、コンパクトかつ機能的に仕上げる。


 ドラゴレミには魔獣を狩って貰う事にした。魔素不足は食料不足でもある。無いから食べないだけで、グウィンやツバサは肉も食べられる。少しでも魔素切れのタイムリミットを遅らせたい。


 だが、それ以外にも目的がある。検証という方が正しいが……これが成立するかどうかで、この旅の難易度が大きく変わって来る。


「英太さま、只今戻りました」


 ドラゴレミは、まるで巨大などんぶりのように姿を変えて、200匹程の魔獣を運んで来た。大量の魔物をドサリと地面に落とした。


「凄いな。そんな変形も出来るのか?」


 ……ってか、質量保存の法則無視してないか?


「すべてグウィンさまのおかげです。ただ命令に従いうだけのゴーレムだった私に、グウィンさまは可能性を見出してくださったのです。全てはグウィンさまの叡智と導きがあったからこそです!」


 ドラゴレミったら、だいぶ賢くなったけど、グウィンの事になるとおかしくなるな。ちょっと心配。


 俺は魔物をアイテムボックスに収納していく……やっぱり、こういう世界観だとは理解しながらも、魔物や死体に慣れるのは時間がかかりそうだ。


 と、そこには想定外の魔物がいた。


「おい、これって……」


「オークですね。集落がありました。グウィンさまの食事に相応しいかと思い、多めに狩ってまいりました」


 オークなのは一目瞭然だった。しかし、目の前にあるオークの死体には明確な個体差があったのだ。


「《鑑定》」


《鑑定結果》


名称:オークロード

種族:魔獣(オーク系)

ランク:A

レベル:85

HP:12,000

MP:3,500

筋力:S

耐久:A+

敏捷:C

知力:B

魔力:B

統率力:S


スキル:

王威オーラ・オブ・ドミネーション:周囲のオークを強化し、士気を高める。

戦技:覇斧オーバースマッシュ:巨大な斧で地面を砕き、衝撃波を発生させる。

耐性:状態異常無効


説明:

オークの頂点に立つ王。知力が高く、戦略を用いる。

一般的なオークを数百体従え、一国を滅ぼす力を持つ。



「おいおい……オークロードって……ドラゴレミ、これに勝ったのか?」


「隠蔽魔法が効いておりましたので、不意打ちで瞬殺でした。ボスを失った群れはすぐに崩壊していましたね」


「隠蔽魔法って言っても、素の攻撃力が無ければ無理だろ」


 俺はドラゴレミも鑑定した。



ステータス


名前:ドラゴレミ

年齢 : 0

種族:ゴーレムドラゴン

称号:暗黒竜ダークドラゴンの側近

レベル:42

HP:13,800/13,800

MP:3,200/3,200


基本能力

筋力: C+

敏捷: B+

知力: C

精神: A

耐久: D

幸運: C+


スキル

・言語 Lv.5

・変形 Lv.4

・献身 Lv.10


 暗黒竜ダークドラゴンの寵愛を受けた存在。身近で瘴気を浴び続けた影響で、ドラゴン形態への変身が可能となっており、ドラゴンの我儘を聞き続けた事により、精神力が強くなっている。



「ドラゴレミ、レベルもかなり上がってるぞ」


 レベル1だったのに42って……オークロードも狩ってるんだからそんなものなのか?


「私も体感しています。闘いながらどんどん身体が軽くなっていきました」


「どうやらゴレミは格闘家タイプだな。グウィンのお陰で精神も鍛えられている」


「グウィンさま……今も不安で眠れぬ夜を過ごしているかと思うと、このゴレミ、胸が張り裂けそうです」


「まあ、グウィンが眠れないのはデフォルトだから。ってか、ドラ付けなかったな。本当は言いにくいんだろ?」


「うっ……いえ、そのような事はけして……ですが、グウィンさまの前で無ければ省略していただいても結構です」


「助かるよ。さ、ゴレミ、これからの事を小屋で話そう」


「英太さま、その前に、こちらを鑑定しては頂けないでしょうか?」


 ゴレミはポケット状に変形させたお腹から、キノコタイプの魔物を取り出した。これは……死んでる? 寝てるのな?


「《鑑定》」


名前:マソックマッシュル

種族: 魔素菌類マナファンガス

生息地: 木・土

ランク: なし


特徴:

意思を持たない。

周囲に微量の魔素を放出し、魔物たちに吸わせる。

動かないが、胞子を飛ばして繁殖する。

人間が食べると魔力のコントロールが一時的にバグり、幻覚が見える。


 マソックマッシュル……幻覚ってこれ、あれの魔物版じゃないのか?


「英太さま? 個体名は……」


「マジック……じゃなくて、マソックマッシュル……」


「承知しました」


 俺が言い終わる前に、ゴレミは結界の割れ目へと駆け出していった。そして手のひら程の大きさに縮んだ割れ目に、マジックマッシュルを押し込んだ。


「ゴレミ? 何してんの?」


「失礼しました。アドちゃんさまから指示を受けておりまして、『やべーキノコがあるから見つけたら持ち帰って欲しいんだよ』との事で……なるべくなら早い方が良いかと」


 確かに……魔素を放出するならアリか……マジックマッシュル……やべーキノコが『死の大地』に? どうなる事やら……


「でもさ、今度から説明してからにしてね」


 ゴレミに軽く注意をして、俺は残りの死体をアイテムボックスに仕舞っていく。アイテムボックスの九割が魔物の死体とドラゴン肉になった。


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