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第百七十九話 成長した漆黒

 ダンジョン攻略は、いわゆるヌルゲーだった。


 そもそもダンジョン攻略ではなく、レベル上げの周回のようなものだ。


 とっても速くて固いレアメタルスライムには、魔法も効かないし、物理攻撃も1しか入らないという。しかし、そこはゴレミ無双だ。


 一撃で確実にレアメタルスライムを殲滅していく。いわゆるクリティカルダメージを連発しているのだろう。


「姉さん! パネエっす!」


 ゴレオはゴレミを絶賛しつつも、ゴレミの半分程度のペースでレアメタルスライムを倒し続けている。


 そして俺は、とてつもないレベルアップ酔いに苛まれた。苦しいながらも《状態異常回復魔法ハイキュアヒール》でなんとか凌いだ。


 サーシャのレベルも上がったようだが、元々のレベルが高いお陰でレベルアップ酔いには至らないみたいだった。


「《精霊召喚ウインドリングサモニング》」


 サーシャが召喚した風の精霊の力で、ゴレミとゴレオの素早さが上昇する。


 サーシャはアンカルディアと共に向かった『精霊の祠』で、複数の精霊たちと契約を交わした。


 Eランクの風の精霊・ウインドリング、火の精霊・スパークスプライト、氷の精霊・アイスリング、Bランクの闇の精霊・シェードだ。


 既にドライアドのアドちゃんと契約を済ませている事が枷になって、ドライアドより上位の精霊とは契約が上手くいかない状態らしい。


 それは、サーシャ側の問題ではなく、精霊側のプライドの問題のようだ。


サーシャは「私が脅しを聞かせれば、どんな精霊でも従わせられるよ」というアンカルディアからの提案を断った。


「ちゃんと繋がれる精霊と繋がりたいんです」


 こんなに素晴らしい契約者はいないだろうに、精霊たちは何を考えているのだろうか?


 闇の精霊シェード以外、サーシャが契約したのは最下級精霊たちなのだが、精霊たち自身がサーシャと共に過ごすうちに、同系列の上位精霊へと進化する事も可能なようだ。


 頑張れよ! サーシャ! 精霊達!


☆★☆★☆★


名前:鏑木英太カブラギエイタ

年齢 : 15

職業:デベロッパー

称号:ドラゴンスレイヤー

   ドラゴンプレゼンター

レベル:99

HP:23,800/23,800

MP:44,200/44,200


ユニークスキル

•創造クリエイト Lv.7


スキルスロット

1.全属性魔法 Lv.4

2.言語理解 Lv.3

3.全能鑑定 Lv.3

4.アイテムボックス Lv.8

5.交渉 Lv.2

6.


火属性魔法 Lv.4

水属性魔法 Lv.4

風属性魔法 Lv.4

土属性魔法 Lv.8

聖属性魔法 Lv.4

無属性魔法 Lv.4

生活魔法 Lv.3

精霊魔法 Lv.4

神聖魔法 Lv.4



名前:サーシャ・ブランシャール

年齢 : 330

種族:ハイエルフ

称号:暗黒竜ダークドラゴンの友達

レベル:99

HP:26,800/26,800

MP:48,200/48,200


基本能力

筋力: D

敏捷: S

知力:A

精神: A+

耐久: D

幸運: S


名前:ゴレミ

年齢 : 1

種族:ゴーレムドラゴン

称号:暗黒竜ダークドラゴンの側近

   黒竜拳

レベル:225

HP:268,000/268,000

MP:20,000/20,000


基本能力

筋力:SSS

敏捷:SSS

知力:A

精神:SSS

耐久:SS

幸運:A


スキル

・言語 Lv.5

・変形 Lv.6

・献身 Lv.10

• 人化 Lv.1

• 魔族化Lv.3


名前:ゴレオ

年齢:1

種族:ゴーレムドラゴン

称号:暗黒竜の右腕

レベル:99

HP:78,000/78,000

MP:92,400/92,400


基本能力

筋力:B+

敏捷:C

知力:A

精神:S

耐久:A+

幸運:C-


スキル

・魔力操作Lv.7

・暗黒属性適性Lv.6

・防御強化(魔法)Lv.5

・重装魔導核Lv.5

・魔導障壁展開Lv.4

・マナタンク生成Lv.5

自己創造セルフクリエイトLv.2


 俺たち漆黒の能力がこれだ。


 俺とサーシャ、それにゴレオがレベル99でカンストしたようだ。そもそも、レベル上限には個体差がある筈……ハイエルフのサーシャも99なのか? 何故ゴレオは99でカンストして、ゴレミはしないのか?


 謎は多いが、今はアンカルディアがいる。わからない事は聞けば良いのだ。


 俺たちは三日後に『デベロ・ドラゴ』に帰還する。アンカルディアはどうするのだろうか?


 デベロ・ドラゴに来て貰いたい気持ちもあるが、聖統主教会絡みでそれどころではないだろう。


 ……それに、俺たちも協力しなければならない可能性もある。


 遠回りになるが、それがデベロ・ドラゴに多くの移住者を招き入れる『急がば回れ』なのだろう。


☆★☆★☆★


 明日、明後日は俺たちの送迎会が開かれるらしい。お祭りの頻度に、魔王国の財政を心配してしまうが、新王誕生に同盟国の大使たちの帰還だ。


 多少は仕方ないかもしれない。


 アンカルディアや魔王に聞きたい事も多かったが、今日はサーシャの希望で、『漆黒』水入らずで過ごす事にした。


 デスタルトの計らいで、客室に豪華な魔王国料理と、食べきれない程の果実が運ばれてきた。


「いただきまーす!」


 サーシャは変化魔法でも使ったのではないかという位に大きく口を開いて、謎の果実を頬張った。俺なら飲み込む事はできないだろう。


「しかし英太様…………移住希望者の選定は…………タルトに任せっ切りで…………」


「ゴレミ、食べてからでいいし、あんまり食べ過ぎるなよ」


「味がっ!! 味が分かりかけています!」


 と叫んだのは、ゴレミではなくゴレオだった。味覚が存在せず、遠慮がちに食事をしていたゴレオに人化のスキルが発生したのか? ダンジョン攻略終わりでは存在しなかったのだが、食事のお陰だろうか?


 なんにせよ、本人が喜んでいるのだから、喜ばしいことだ。


 ゴレオも味がわかった事を知ったゴレミは、ゴレオを強く抱きしめた。


「良かったですね! ゴレオ!」


「はい! 姉さん!」


 ゴレミに頭を撫でられ、ゴレオは泣きそうになっている。そんな二人を眺めながら、サーシャはボロ泣きしていた。


「どうした?」


「びぇー……ぞぼに頭を撫でられた時の事をおぼいだじで……」


「サーシャさま、私はエルフでも老人でもありませんよ」


 ゴレミよ、そこは外見の話をしていないだろう。


「わがっでまず……ごべんなざい……」


「いえ、怒ってはいませんが……英太さま、サーシャさま、移住希望者に関してですが、タルトに任せきりのままで良いのでしょうか?」


「あぁ、俺たちが宣伝活動をする予定だったんだが、大会と死体ゴーレムの件で、充分知名度が上がったしな……それに、聖統主教会の信者は絶対にデベロ・ドラゴに連れ帰る事は出来ない」


「そうですね…… それも含めて、任せきりでよろしいのですか?」


「最終的には一緒なら面談するよ。でも、そもそも新王誕生の盛り上がりの中で移住を希望する魔物自体少ないんじゃないか?」


「……不可侵条約脱退の影響くらいですかね。それと、やはり聖統主教会の隠れ信者」


「あの!」


 ゴレオが手を上げた。


「どうした?」


「移住希望者なんですけど、聖統主教会の信者でなければ、誰でも良いんですか?」


「うーん……デスタルトが許可をすれば良いんじゃないか?」


「一人、希望者がいます!」


 ゴレオは苦虫を噛み潰すように言った。


「凄く嫌そうだけど、もしかして……」


「武神ですっ!」


 ……面倒くさっ。


 確かに魔素を大量に放出する武神バルカンは、現在のデベロ・ドラゴに必要な人材だが……ただただ面倒くさい。


「武神バルカンには魔晶石を生み出すっていう役目があるからな」


「そのぶん創造クリエイトで作ったものを輸出すれば大丈夫だって、魔王……マー君も言っていました」


 魔王国の相談役め……この機に厄介者を押し付ける気じゃ無いだろうな?


「死体ゴーレム戦から逃げた事で、散々説教されたみたいっす! それと同じくらい、ちゃんと逃げた状況判断を褒められたみたいですけど!」


「まぁ、好き勝手に自己鍛錬してたんだからな。こんな時くらい働けって話だよな」


「やっぱり拒否します? きっとグゥインさまにも挑戦しますよ」


「グゥインも喜ぶだろ。そもそもグゥインが武神に負ける絵が浮かばない」


「じゃあ受け入れてくれるんですね? 良かったです……面倒だけど」


「デスタルトの判断次第だけどな。あれだけの魔素を放出してくれるなら、他に移住希望者が現れなくても『成果』と呼べるかな……面倒だけど」


 俺たちはその後も水入らずで話を続けた。この4人でゆっくりするのは、この旅でも初めてかもしれない。


 そんな中、サーシャが口を開いた。


「あの、英太さん……みんな……話があります」


 サーシャの瞳には、濃い紫色が宿っていた。

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