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ゲームみたいな異世界に転移した俺、最強のチートスキル《創造》でブラックドラゴン娘と一緒に荒野を復活させていたんだが、何故だか邪神扱いされていた件  作者: しばいぬ
第二章 美しく萌ゆる森

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第十七話 エルフ国の役立たず

「生命の存在しない大地……ですか」


 なんとか落ち着きを取り戻したサーシャに、俺が『死の大地』にやって来てからの事をやんわりと説明した。


 尻尾肉やレベルアップの話は……追々だ。


「うむ、死の大地にはこの1000年、妾しかおらなんだ。しかし、2週間ほど前に英太が現れおった。そして昨夜のサーシャじゃ」


「2025年もの間、誰も現れなかったのに、一月足らずで二人もやって来たんだ。何かこの大地に変化が起こったんじゃないかって」


「英太は本当に細かいのぅ。1000も2000も変わらぬではないか」


「変わるだろ! ねえ?」


 俺はサーシャに同意を求める。しかしサーシャの反応は薄いものだった。そうだ、エルフはかなりの長命種だったんだ。


「ちなみにサーシャって歳は?」


「私はまだまだひよっこの329歳です」


「エルフの平均寿命って?」


 サーシャは困ったように顔を落として考えた。女の子に年齢を聞くのはまずかったかな?


「はい。エルフの寿命は2000歳〜2500歳です。事故なく天寿を全うした場合ですが」


「英太はいくつなのじゃ?」


「15だよ」


「なんじゃ……ガキではないか」


 グウィンは鼻を鳴らしてふんぞり返った。くそっ……外見年齢小学生め!


「年齢は関係ないです。英太さんは大人ですよ。とても落ち着いています」


 確かに……この世界では15歳だけど、前世を足したら45歳だからな。とは言ってもこの身体の記憶は全く無いんだけど。


「話を戻すぞ。妾たちはここに生命を息吹かせたいのじゃ。大地に栄養を与え、緑を復活させたい」


「サーシャはここに来る直前の記憶はある?」


「そうじゃ! どのようにしてここにたどり着いたかを知れば、外界との出入りも可能になるかもしれぬ! 教えるのじゃ! そして外の世界から沢山人を呼ぶのじゃ! そして妾の配下を増やして楽しい国を作るのじゃ!」


 グウィンのテンションが上がっている。いつものアレが来るのを事前に押さえ込む。


「火は吹くなよ」


「あいわがだー……ゲフウッ」


 グウィンはちょっと温かいゲップをした。なに? 炎って炭酸と似た溜まり方するの?


「わ、忘れてしまいました! 思い出したらお伝えします!」


「ぞうが……」


 あからさまに落ち込むグウィン。サーシャは黙って頷いていた。心なしか目を逸らしているようにも感じた。


「サーシャには期待しておるぞ。なんせ英太のクリエイトは生命だけは作り出せぬのだからな」


「そんな……期待だなんて」


「なに、英太との子を孕めと言っているわけではない。エルフであるサーシャに『死の大地』を復活させる手助けを頼みたいのじゃ」


 余計な事を言ってんじゃねーよ。サーシャの顔が完全にそっぽを向いてしまった。グウィンが回り込んでロックオンする。


「エルフなら大自然に働きかける事が出来るじゃろ?」


「そ、それは……」


「エルフは皆、精霊魔法を心得ているはずじゃ」


「はい。エルフは精霊魔法を使えます。しかしその、普通のエルフは何も無い場所から精霊の力を生み出す事は出来なくて、存在する草木とエネルギーを共有するといいますか……」


 サーシャは顔を赤くして、言葉に詰まる。


「妾の知るエルフは砂漠でも精霊を呼び寄せたような気が……思い出せぬ……まあ、試してみようではないか……」


「あの、少しお待ちください! 説明を……」


 サーシャが後ずさる。壁に当たって逃げ場を失ってしまった。


「サーシャ?」


「あの! 私! 精霊魔法使えません! 草木があっても無理でした! 鈍臭くて! 役に立たなくて! エルフの王国でもダントツでダメな子だったんです!」


「しかし、昨夜は隠蔽魔法を使えておったではないか」


 そうだ。俺の鑑定スキルだけでなく、グウィンの察知能力をも隠蔽したあの魔法は、ダメな子に使える代物ではない。


「あれは! 怖くて怖くて! グウィン様の瘴気が強くて! だから必死で! あの時覚えたんです!」


 グウィンに視線を向けると、グウィンも俺に視線を向けていた。


「嘘をついてるようには……見えないよな」


「本当に役立たずでごめんなさい!」


 サーシャは絶世の美女だ。


 万人受けする顔立ちにモデルのようなスタイル。出来る女風なのに、ダメダメだなんて……ギャップが凄い。


「役立たずなんて言うなよ……サーシャは少し不器用なだけだって」


「す、すみません! 不器用じゃないです! 能力が無いんです!」


「謝らなくてもよい。能力の事で責めるなど、この妾がする訳がなかろう。誉高きブラックドラゴンに比べれば全ての存在が無能になってしまう」


「……え?」


 グウィンの言葉に、サーシャは驚きの表情を覗かせる。


「そうそう、俺も最初は魔力が足りなくて大変だったんだよ」


「共に成長してゆけばよい」


「グウィン様……英太さん……ありがとうございます! ありがとうございます!」


 サーシャの頬はさらに赤く染まり、彼女は慌てて頭を下げた。優しい言葉が胸に刺さったのだろう。


 しかし、サーシャは一つミスを犯した。グウィンに「共に成長」という言葉を使わせた事だ。


 恐怖に怯えて隠蔽魔法が使えたなら、頑張れば精霊魔法も使えるようになるんじゃねーの? って、グウィンに気付かれた。つまり、ブラック育成が始まるという事なのだ。


 獅子が子供を崖から落とすように、ブラックドラゴンがエルフを追い込む姿が容易に想像出来た。


「では英太よ、サーシャを丸裸にせよ」


 グウィンの言葉に、サーシャは硬直する。


「まる……裸?」


「以前、英太が妾に対してしたように、サーシャを丸裸にし、隅々まで舐め回すように調べ上げるのじゃ!」


「英太さんが……グウィン様を!? ……え、そ、それは……」


「言い方が悪いって……サーシャ、俺は鑑定スキルを持ってるんだ。出来たらサーシャの能力を鑑定させて欲しい」


「鑑定……嫌! ダメです! ダメダメ! 無理です!」


「何を言っておる? 痛くなどせぬぞ。すぐ済む故に丸裸になるのじゃ」


 グウィンったら、言い方よ……


「それでも、ダメなんですー!」


 美しきエルフは、無様な姿で這いずり回っている。こんな動きをする怨霊いたような気がする。


「大人しくしておればすぐに済むのじゃ!!」


「嫌ですー!!」


 サーシャの異常な拒絶。俺はグウィンを嗜めた。


 サーシャに隠している事があるのは間違いないだろう。何かしら見られたくない能力があるのかもしれない。

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