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第十二話 暗黒竜

 グウィンにせっつかれて、レベルアップ後の能力を報告する。


「ほー。レベル99とな。ほー」


「なあグウィン、レベルって99が上限なの?」


「うーむ……わからん」


「そうか、グウィンでもわからないのか」


「スキルを増やす事も可能なのじゃろ? 何を増やしたのじゃ?」


「いや、まだだけど」


「何故じゃ!? 一週間もあったのじゃぞ! 妾がいないと思って怠惰な日々を過ごしておったのか? おい! ゴレンヌ!」


 グウィンが叫ぶと、リーダーゴーレムが駆け足でやって来た。


「ゴレンヌ?」


「ゴーレムの名じゃ、頑張ってくれていてるのじゃから、名を付けてやらねばならんだろう」


「まぁ、はい」


 いつの間に名付けなんてしてたんだよ。相談してくれてもよくない? 一緒に作ったゴーレムじゃないか。


「妾の不在時、英太は怠けておったのか?」


「ワカリマセン、ズットゴロゴロシテマシタ」


「英太ァーー、妾は残念じゃ……怠惰は愚かな罪であるぞ」


 グウィンが死んだと思ってずっと沈んでいたなんて、死んでも言いたくない!


「考えてたんだよ! 考えも無しにスキルを増やして手詰まりになるのはもうごめんだからね」


「うむ、まあ、妾と共に選択出来るならばその方が都合がいいな。で、考えたスキル候補はなんなのだ? 考えておったのなら即答出来るであろう、どうじゃ? どうなのじゃ?」


 こんの煽りドラゴンめ……


 考えていたと思わせないといけない! 脳をフル回転する。ゲームにあったらバランスを崩すチート能力! ファンタジーもののチートスキル! 思い出せ! 前世の記憶を総動員するのだ、天才デベロッパー!!!


「まずは『アイテムボックス』だな。死の大地では今のところ大した使い道は無いけど、今後必ず必要になるチートスキルだ」


「ほう、それと」


「『鑑定』だよ。相手の能力や植物の名前、毒のアリナシも即座に判定出来る」


「植物のないこの大地でも使うのか?」


「俺は先を見てるんだよ。土の具合とか、グウィンの事だって鑑定出来るかもしれないぞ」


「そうか、しかしそれは鑑定魔法ではダメなのか? 英太には全属性魔法があるのだぞ」


「全属性魔法だと消費魔力もアレだし、格上の相手に対してもアレだし、やっぱり個別に持ちたいよねえ!!」


「ふむ、あいわかった! ではスキルを獲得するがよい」


 とてつもなく偉そうで不満しかないが、レベルアップはグウィンのおかげでしかない。


「《スキルクリエイト》」


 「アイテムボックス」と「鑑定」スキルをクリエイトした。


「手に入れたのか?」


 素っ気ない、偉そうな態度のままではあったが、尻尾がぶるんぶるん震えている。本当にわかりやすいドラゴンだ。


ステータス


名前:鏑木英太カブラギエイタ

年齢 : 15

職業:デベロッパー

称号:ドラゴンスレイヤー

レベル:99

HP:6800/6800

MP:7200/7200


ユニークスキル

•クリエイト


スキルスロット

1.全属性魔法

2.言語理解

3.万能鑑定

4.アイテムボックス

5.

6.


 よーし、しっかりスキルが増えている。


「うん、手に入れた」


「ならばその鑑定で、さっそく妾を丸裸にするがよい! まあ、レベルの差が激しくて鑑定出来ぬかもしれんがな」


 その可能性は否定出来ない。レベル99になった今でも、グウィンの存在は別次元のものにしか思えない。


「いくぞ……《鑑定》」


 グウィンの前にステータスウインドウが浮かび上がる。


ステータス


名前:グウィン

年齢 : 2025

種族:暗黒竜ダークドラゴン

レベル:XXX

HP:999000/999000

MP:998000/998000


ユニークスキル

•リポップ


スキル

煉獄の炎

氷結の息

厄災の舞

聖なる雫


 突っ込みどころが多すぎて何から触れたらいいのかわからない。


「どうしたのじゃ? やはり見えなんだか?」


 尻尾の振りすぎて大地が削れ始めた。また火を吹くかもしれない。牽制しておかないと。


「ブラックドラゴン様、尻尾からワクワク感が溢れ出てますよ」


「はうっ……仕方ないのじゃ……こんなの楽しすぎるのじゃ」


「ごほん! ではまず最初に、あなたの名前はグウィンでした」


「そんなのわかっておるのじゃ!」


「ちなみにグウィン様、年齢は1000ちょっとだと仰っていましたよね?」


「数えてはおらんが大体そんなもんじゃろ」


「えーと、グウィン様の御年齢は2025歳でした」


 2025歳……か。俺が前世で死んだのが2025年だ。ここまでピンポイントだと偶然って事はないだろうな……


「大体合ってあるじゃろ」


「どこがだよ! 倍じゃねえか!」


「細かいのう」


「あとは……ダー……」


 慌てて言葉を飲み込んだ。これはグウィンに伝えるべきなのか? 種族が『ブラックドラゴン』ではなく『ダークドラゴン』となっている……この世界にとってのブラックドラゴンの立ち位置も不明だが、暗黒竜ダークドラゴンという名前からは、悪者の臭いがプンプンする。


「ダー? とはなんじゃ?」


「だーいぶレベルが高いですね。測定不能でございます」


「ほー。そうなのか……まあ、ブラックドラゴンじゃからな! 当然じゃ!」


 種族が変わったのか、元々そうなのに気付いてなかったのか、嘘をついているのか……種族問題は一旦保留にしておこう。


「HPもMPも俺の10倍以上ありますね。ユニークスキルが『リポップ』」


 リポップ? ゲーム用語じゃないか……


 モンスターが倒された後に再び同じ場所に現れる。取得したアイテムの復活でも使われる。


 死んでから一週間後に復活するなんて、まさにリポップそのものでもある。


 俺の『クリエイト』にグウィンの『リポップ』


 ユニークスキルはゲーム関連のものになるのか? まさか、この世界自体がゲーム? 俺は死んでいなくて、ゲームの世界に入り込んでしまっている? デベロッパーがテストプレイしている?


 ……いや、そんなんじゃつまらない。俺はそんなゲームは作らない。根拠はないが、デベロッパーの本能が違うと言っていた。


「リポップとな?」


「復活スキルの事じゃないかな? 何処かで聞いたことがある」


「そうか、リポップという名じゃったか……ありがとうな、リポップ! お陰で英太を強くする事が出来た」


 グウィンは無邪気に笑っていた。嘘をついている暗黒竜には到底見えない笑顔だった。


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