第九十七話 妾はキノコを増やすのじゃ!
【幹部】
ゴレンヌ
ゴレゾー
ゴレフ
ゴレマス
ゴレバルド
ゴレクス
ゴレタン
ゴレドン
ゴレモス
ゴレガン
ゴレスケ
ゴレッチ
ゴレボン
【側近】
ゴレミ
【一般】
ゴレイ、ゴレイク、ゴレイル、ゴレウス、ゴレエン、ゴレカイ、ゴレカス、ゴレカン、ゴレキン、ゴレギア、ゴレゴン、ゴレサス、ゴレシア、ゴレジン、ゴレス、ゴレソン、ゴレター、ゴレチス、ゴレツォ、ゴレトン、ゴレナス、ゴレノン、ゴレハル、ゴレビア、ゴレピス、ゴレフス、ゴレブン、ゴレペル、ゴレポン、ゴレミス、ゴレムス、ゴレヤン、ゴレラル、ゴレリス、ゴレルス、ゴレロス、ゴレワン、ゴレヴァン、ゴレザイン、ゴレダス、ゴレフィン、ゴレオール、ゴレナイト、ゴレマール、ゴレルド、ゴレトス、ゴレフォン、ゴレスタン、ゴレグリフ、ゴレクター、ゴレサード、ゴレザン、ゴレタール、ゴレノール、ゴレヒュー、ゴレバスター、ゴレフィスト、ゴレボーン、ゴレフォース、ゴレムート、ゴレライザ、ゴレリオン、ゴレレイ、ゴレロン、ゴレワード、ゴレウッド、ゴレファル、ゴレシード、ゴレアーク、ゴレクラン、ゴレザーク、ゴレハンド、ゴレパイル、ゴレミルズ、ゴレグラス、ゴレオメガ、ゴレエッジ、ゴレテン、ゴレブレード、ゴレフュー、ゴレセイバー、ゴレガルド、ゴレシャドー、ゴレダーク、ゴレメタル、ゴレゴッド、ゴレキング、ゴレクイーン、ゴレデューク、ゴレエンペラー、ゴレヴァイザー、ゴレファング、ゴレドレッド、ゴレストーム、ゴレバースト、ゴレハザード、ゴレアトラス、ゴレポリス、ゴレネス、ゴレサンダー、ゴレブレイズ、ゴレゲイル、ゴレアーム、ゴレナックル、ゴレスパイク、ゴレフォート、ゴレウォール、ゴレキャッスル、ゴレパレス、ゴレドーム、ゴレシールド、ゴレバリア、ゴレクルス、ゴレランス、ゴレアロー、ゴレスピア、ゴレダガー、ゴレアックス、ゴレブレイカー、ゴレスマッシュ、ゴレクラッシュ、ゴレアバランチ、ゴレデストロイ、ゴレブリッツ、ゴレフラッシュ、ゴレクエイク、ゴレテンペスト、ゴレカタストロフ、ゴレディザスター、ゴレエクリプス、ゴレルミナス、ゴレシリウス、ゴレアクシス、ゴレユニオン、ゴレクォーツ、ゴレターコイズ、ゴレアズライト、ゴレアンバー、ゴレラピス、ゴレムーンストーン、ゴレオパール、ゴレペリドット、ゴレアクアマリン、ゴレオニキス、ゴレガーネット、ゴレシトリン、ゴレジェット、ゴレマグナム、ゴレヴァンガード、ゴレストライカー、ゴレアサルト、ゴレガーディアン、ゴレウォーロード、ゴレセンチネル、ゴレコンダクター、ゴレハンマー、ゴレインパクト、ゴレレイジ、ゴレエクスプロード、ゴレボルテックス、ゴレブリザード、ゴレハリケーン、ゴレツイスター、ゴレトルネード、ゴレミラージュ、ゴレファンタズム、ゴレイリュージョン、ゴレオラクル、ゴレネクロス、ゴレファントム、ゴレディザイア、ゴレエニグマ、ゴレアビス、ゴレシンドローム、ゴレヴォイド、ゴレエンティティ、ゴレアルター、ゴレパンドラ、ゴレアバロン、ゴレレーヴ、ゴレディアマンテ、ゴレフェニックス、ゴレグリフォン、ゴレドラコ、ゴレベヒモス、ゴレリヴァイアサン、ゴレユニコーン、ゴレキメラ、ゴレケルベロス、ゴレマンティコア、ゴレバシリスク、ゴレサラマンダー、ゴレタイタン
合計254体……全てのゴーレムに名前がついた。名前をつけるだけで半日が経過してしもうた。さすがのアドちゃんも、妾を労ってくれておる。
「だよ。グゥイン、全員を覚えるのは大変だから、幹部たちだけでいいんだよ。その他のゴーレムは手の甲に名前を彫ってやるんだよ。ゴーレムたちも、グゥインに名前を彫られたら嬉しいんだよ」
「其方らはそれでよいか?」
またしても歓声が響いた。疲労は大きかったが、この声を聞いてしまったからには、動かねばなるまい。更に半日をかけて名を……と、そこで気がついた……妾は文字を書けぬのじゃ……
「アドちゃんよ……名前を彫るのはもう少し経ってからでもよいか?」
「だよ? うん、流石に疲れたよね。急ぐ必要は無いんだよ」
アドちゃんに教わる事も出来たが、文字が書けぬ事が恥ずかしかった。記憶を失う前は書けたのか? そうであったとしても、2000年以上も使ってなかったのじゃ……忘れておったとしても仕方あるまい……英太が戻ったら教わる事にしよう。
意気揚々と持ち場へ向かうゴーレムたち。幹部たちの名前を把握して、その者たちの役割も把握した。
各区画の整備隊と、いずれは防衛に回る者たちを遊撃隊として各区画の応援に回す。英太が割り振りをしたようじゃったが、実に理に適っておった。
「これで、ようやく国作りの第一歩だよ」
アドちゃんの言葉を聞いた途端、安堵が訪れた……眠れぬが、目を閉じて休みたくなった……そうか……英太もこのようにしておったな……大変じゃったろうな……帰って来たら労ってやらねばな……
「グゥイン様! アドちゃん様! 大変でございます!」
一体のゴーレムがこちらに駆けてくる。黒く光るその身体は、幹部のものじゃ。さて、彼奴の名前は………………ゴレバルド!
「どうしたのじゃ? ゴレバルド?」
ゴレバルドはほんの僅かに身体を揺らした。嬉しいのじゃろう。喜んで貰えて妾も嬉しいぞ。
「だよ?」
「はい。第一区画なのですが、魔素を放つ何かが繁殖を始めた模様でありまして……」
「魔素じゃと?」
「だよ。これは、ゴレミが仕事をしたかもしれないんだよ」
「ゴレミが!? 外の世界から運んだというのか?」
「行ってみるんだよ」
「あいわかった……アドちゃん、ゴレバルド、妾に掴まるのじゃ」
「そ、そんな、恐れ多い……」
「ならば、妾が掴む」
妾は二人を掴んで、第一区画へと飛んだ。そこは……キノコの楽園と化しておった。
「ゴレミは素晴らしいんだよ!」
アドちゃんが興奮していたのも無理はない。マナファンガスというキノコは、魔素を放出するのだそうだ。一つ一つは微量だが、繁殖力がとんでもないそうじゃった。事実、既に相当量が繁殖しておった。
「ゴレミが送り込んだとしたら、昨日の夜には来てたんだよ。元の量はわからないけど、半日でこうなったのは素晴らしいんだよ」
「うむ、魔素を放出してくれるのはありがたいが……この毒々しい見た目はいかがなものじゃろうか……」
「背に腹はかえられぬ、だよ。味は美味しく無いけど、毒は無いんだよ。栄養価も低いけど、毒は無いんだよ」
「魔素を放ってくれるだけで御の字じゃ。どれ、第五区画にも生息させようではないか。ユグドラシルの近くにあるのが理想じゃろう?」
「ダメなんだよ」
「何故じゃ?」
「毒々しいキノコが第五区画にあると、サーシャが悲しむんだよ」
「サーシャは外見で判断をするような奴ではないぞ?」
「とにかく、ユグドラシルと精霊創樹に悪影響が出たら取り返しがつかないからダメだよ」
ふむ、そう言われたら仕方あるまい。木々への影響など、妾にはわからぬ事じゃ。
「とりあえず、第一区画で繁殖させるかの……妾とアドちゃんに必要なぶんの魔素は此奴らだけで足りそうじゃの」
「だよ。胞子が他の区画に行かないように気をつけるんだよ」
妾はキノコを採取し、翼を広げた。
「グゥイン様! ここは我々が!」
ゴレバルドをはじめとしたゴーレムたちが、妾を取り囲む。
「よい! 好きでやっておるのじゃ! アドちゃんのお陰での、其方らの仕事を体験してみたくなったのじゃ」
「おおお、畏れ多い」
ゴレバルドは熱を発して機能を停止してしまった。なんじゃ? 魔力切れかの? 少し休ませてやるか……
「ほれ、ボスのいぬ間に競争じゃ! 其方らの中で一番キノコを撒くことが出来た者には、何か褒美をやろう」
妾の提案に、ゴーレムたちが色めき立つ。
キノコは第一区画の方々に撒かれ、既に繁殖し始めているようじゃった。
一位を獲得した『ゴレス』の望みは、腕に名を彫る事であった。
なんたる盲点……妾は明日の朝に名前を刻む約束をして、家に戻ることにした。悩んでいても仕方がない。文字の書き方はアドちゃんに教わるしかないの……
家に戻ると、ツバサが机の上でぶつぶつと何かを喋っておった。
「ツバサ? 何をしておる?」
「おかえりなさいママ! アドちゃんがお勉強しろってうるさいのじゃ……わらわに文字は必要ないというのに……」
「文字?」
「そうなんだ。ゴーレムの名前を書いた紙を渡されて、『グゥインに聞かせられるくらい勉強するんだよ』だってさ……」
紙には幹部ゴーレムの名前が記されておった。なに一つ読めぬが、最初の2文字がすべて同じである事に気付いた。この文字が『ゴレ』か……
「ゴレミ、ゴレンヌ、ゴレゾー、ゴレフ、ゴレマス、ゴレバルド、ゴレクス、ゴレタン、ゴレドン、ゴレモス、ゴレガン、ゴレスケ、ゴレッチ、ゴレボン……幹部の名前は全部書けるようになったのじゃ」
「そうか、ツバサは頭が良いな……」
ス……ゴレクス、ゴレスケ、ゴレモス……この字が『ス』か……これにゴレをつければ……『ゴレス』になるぞ……
妾は紙に『ゴレス』と記した。
「ツバサ、これは読めるか?」
「ママ、簡単だよ……ゴレスなのじゃ!」
妾はツバサを抱きしめた。可愛い奴じゃ……妾の助けになってくれるとは……そうなるように仕組んだアドちゃんにも感謝をせねばならぬな。