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ただ……ただ泣けた

作者: げん

顔を上げると目が合った

俺に向かって、にこりと微笑(ほほえ)んだ


可愛くて、美しくて、ドキッとしたけど

誰だか分からなかった


こんな美人な知り合いがいたっけ?


よく見てから

ようやく君だと分かった


一年振りだったけど

化粧をしていたけど

横顔はそのままだった


烏のように黒い長髪(ロング)の毛は

風が吹き抜ける度に

ヒラヒラゆれて

 

茶色(ブラウン)のブラウスの首もとからは

白い肌が(のぞ)いていた


それを見ただけで

色っぽく感じた


1mくらい離れているのに

俺の鼻へやって来る柔軟剤

他の子なら、嫌になる匂いなのに


不思議と君の匂いだけは

もっと、嗅いでみたいと思った


焦る心臓の脈打ち

セミの鳴き声に混じって

うるさく聞こえる


下心に火をつけて、

君に話しかけようとした矢先

駅の中に入ってきた君の同級生


俺の邪魔をしてくれるなよ


ガタンゴトン

電車がホームに入ってくる音


ピッ

ICカードの鳴る音


ガチャン

扉が開く音


わざと君の後ろに並んで

車内に入る


君は()いている席を見つると

(そいつ)とそこへ座った


俺はそのまま通り過ぎて

2車両目に移って

いつものドア前を陣取った


ドアが閉まります


ああ、そうだ

俺の涙腺(るいせん)も閉めてくれないか


ああ、すごく、いい匂いだった


読んで下さりありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] にゃー。 残念、始まらなかったかぁ……。
2024/08/18 15:03 退会済み
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