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二度目の召喚なんて、聞いてません!  作者: みん
二度目の召喚

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最後の異世界

4日目は、バーミリオンさんとエラさんの邸に招かれた。この邸は、バーミリオンさんへの報奨手当として、国─国王様から頂いたモノだそうだ。


報奨手当でお城のようなお家とは……この世界の価値感には馴染めそうにない。


お城のような邸の玄関の前には噴水もあって、邸の裏側には庭園まである。今日は、その庭園にあるガゼボでランチをしている。


今更ながら、バーミリオンさんとアズールさんの今の生活の話を訊いてみると、バーミリオンさんは王城付きの魔導士として、王城勤めをしているとの事だった。それでも、時間があればあちこちの領地に赴き、魔法で対処できるものに対応しているそうだ。


そして、アズールさんは魔獣を狩ったり、依頼をされれば護衛をする事もあるそうだ。


「俺ね、実は父子家庭だったんだけど、その父とも血は繋がってなくてさぁ。」


アズールさん─本間君の本当の母親が再婚したけど母親は病死してしまい、それからはその義父との二人暮らしをしていたそうだ。


「その義父さんが、また良い人でさぁ。しかも年齢より若く見えるし男前だし。また良い人がいたら俺の事は気にせずに再婚してくれたら良いからって言っても“お前が居るだけで良いんだ”って言ってさぁ…。それが嬉しいやら……申し訳無いやらでさ……」


そんな中での異世界召喚。

これで、義父さんが自由になれるんじゃないか?─そう思って、本間君はこの世界に残る事を決めたそうだ。


「あ、剣士って言うのも楽しかったって事もあるけどね。」


と、アズールさんは本当に楽しそうに笑っている。


でも──


3人が行方不明になってテレビでも大騒ぎで、この3人の親もインタビューに出たりしていたけど……

本間君のお義父さんも、声を詰まらせながら本間君の帰りを待っている─と語っていた。


そんな事は、本人達には言うつもりは無いけど。


それでも、アズールさんとバーミリオンさんには、この世界で幸せになって欲しいと思う。


バーミリオンさんはと言うと、やっぱりこの世界に残った理由がエラさんだったのは、言うまでもない。






5日目は、今度はキッカ邸にお招きしての“日本パーティ”をした。食事にはお寿司や煮物、お好み焼きまで揃えた。デザートは勿論和菓子。苺大福やどら焼きや羊羹も作った。本当に、イチコとニコは何でも作れるから凄いと思う。


「これで、和食も食べ納めか……」と、バーミリオンさんとアズールさんは少ししんみりした感じだったけど、テーブルの上に並んでいた物は嬉しそうに全て食べ切っていた。


そして、お見送りの時には手土産として、お赤飯とおはぎと紅白饅頭を渡して、またまた大喜びで3人は帰って行った。





6日目は、私がお願いして………“女神の湖”にやって来た。相変わらず虹色に輝いている。


「色々調べてみたけど、直近100年は、この湖に沈んで戻って来れなかった者が居たと言う記録はなかった。何人かが遊び半分で入ったようだけど、その者達は、湖に沈む事もなかったそうだ。」


湖の定義が日本と同じなら、最深部は5m以上ある。人が浮く程の塩分を含んだ湖水…なんて事はないよね?





『──掬い上げる事もできないの』





それだけが真実なのだ。


王都で買って来た1輪のガーベラに似たピンク色の花。「ありがとうございました」そっと呟いた後、その花を湖へと投げ入れた。

すると、その花はそのまま湖の中へと沈んで行った。



結局のところ、この湖に関しては“沈むモノと沈まないモノがあり、沈んだモノは二度と戻って来ない”だけしか分かっていないそうだ。



暫くその湖を眺めた後、私達はまた王都に戻りお茶をしてからキッカ邸へと帰って来た。




「リア、日本に帰っても元気でな」

「大学生生活と独り暮らし、頑張れ!」

「リア、また会えて嬉しかったよ。これは、私からのプレゼントだ。持って還ってくれると嬉しいが……」


「エラさん、ありがとうございます。必ず持って還ります。バーミリオンさん、アズールさんも、本当にありがとうございました。」


最後は一人一人とハグをしてからお別れをした。




そして、部屋に帰って来てからエラさんにもらったプレゼントを開けて見てみると、そこには朱色と紺碧色と藤色の小さな石が三つ並んで付いているピアスがあった。バーミリオンさんとアズールさんとウィステリアの色だ。そこに翠色は無かった。







「志乃様、いよいよ明日、日本に還りますが、準備は大丈夫ですか?」


「大丈夫です。持って還るのは……三つだけだから。」


「あ、最後のお願いで、今日は4人でもふもふで寝たいです!」

「それは勿論、喜んで!」


と、キッカさんは早速イチコとニコも呼び出して、3人ともが狐になってくれた。

もふもふに挟まれて寝る─なんて、日本に還ったらできないからね。最後にしっかりともふもふを堪能しよう!!

右腕にイチコ、左腕にニコ、足元にキッカさん。


ーあー…やっぱりもふもふは最高です!ー










❋補足❋


本間君の義父達のインタビューに関しての話は、3人の存在を無にする前の話なので、菊花が無事仕事を完了した後は、3人の存在が無かった事になり、行方不明になった事も無かった事になっています。

“居残る=存在が無くなる”と分かっていて、居残ったと言う事です。


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