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違和感

金髪緑眼の“ザ・王子様”は


アレサンドル=クロスフォード


本当に、この国の王子様だった。

王子様は先ずは─と、こちら側の都合で強制的に召喚した事を謝ってから


「色々話したい事、そちらも訊きたい事があるだろうけど、ここから移動して、少し休んでからにしましょう。」


と言う事で、私達はその場から移動する事になった。






「「「「………」」」」


その建物を出ると、目の前には馬………馬車が停まっていた。パレードなんかでテレビで見た事のあるような馬車だ。


「どうぞ」


と言われ、私達4人は皆同じ馬車に乗り込む。


「「「「………」」」」


ゆっくりと動き出した馬車に揺られながらも、4人共が何とも言えない違和感があるせいか沈黙が続き……そのまま目的地に着いてしまった。




「「「「………」」」」



着いた場所は……お城だった。日本のお城ではなく、ノイシュヴァンシュタイン城みたいなお城。色々な意味で言葉が出ないまま、私達は王子様に促されるようにお城へと入って行った。




それから、取り敢えずは─と、男女二人ずつに別れて部屋に案内され、そこで待機していたメイドさん?みたいな人達に着替えさせられた後、また違う部屋に案内され、そこで()()()()()()とまた合流した。

そのまま微妙な空気のまま、目の前の紅茶?を飲んでいると、さっきの王子様が年配の男性と私達と同じ年程の男の子を連れてやって来た。


年配の男性は─ユルゲン=アーデンライト─魔導士であり、その魔導士団のトップで、今回、私達の持っている力の鑑定をしてくれるらしい。


私達と同じ年位の男の子は─デレク=トールソン─王子様の側近の1人で、現宰相の息子なんだとか。


「鑑定の前に、貴方達は、自分と他の3人の名前を覚えていますか?」


「「「「──っ!?」」」」


その質問には本当に驚いた。4人共が感じていた違和感の一つが…ソレだった。美少女やイケメンに話し掛けたいのに、相手の名前が出て来ないのだ。そのせいで、ずっと沈黙が続いていた。


「それについてですが、過去の文献に於いても、召喚されて来た者達はいつも複数名居て、お互い知り合いにも関わらず、名前が分からないと言う状態になっています。なので、推測にはなりますが、“名前を忘れている”と言う事は、女神の何らかの()()()なのかも知れません。ですので、こちらの世界に居る間は、召喚されて来た者達を、色にちなんだ名前で呼ばせていただく事が通例となっています」


「「「「………」」」」


“色”─これが、二つ目の違和感。色については、ユルゲンさんも分かってはいないだろう。元の色を知らないから。


「では──」


私─ウィステリア(薄紫色)

美少女─エメラルド(翠)

イケメン─アズール(紺碧)

先輩─バーミリオン(朱色)



本当に、何故こうなったのか分からない。髪の色は黒色のままなのに、瞳の色だけが変わっているのだ。

私は薄紫色。私の好きな色だけど……着替える時に鏡を見て本当に驚いた。美少女も、驚いて動きが止まってたし…。それでも、お互い声には出さなかったけど。


兎に角、皆の名前どころか、自分の名前さえ分からないのだ。お互い、ユルゲンさんに告げられた名で呼び合うしかない。


ー日本人丸出しの顔でウィステリアとか……黒歴史には…ならないよね?ー







そして、続けて鑑定された結果──


私─ウィステリアは魔導士。

美少女─エメラルドは聖女。

イケメン─アズールは剣士。

先輩─バーミリオンは魔導士。


ーあれ?聖女が必要なんじゃなかったの?その聖女は1人だけ?ー


イメージとしては、聖女は護られるべき存在で、魔導士は戦うイメージ。確か……女神様は“それぞれに見合った力を授ける”と言ってたっけ?私は、聖女には向いていなかったって事…なんだろう。


「えっと……先ぱ─バーミリオンさん、同じ魔導士同士、宜しくお願いします。」

「うん。ウィステリア…こちらこそ宜しく」




今日はこれで解散し、これからの予定は、また明日─と言う事になり、私達4人だけの時間を作ってもらった。









「俺、女神と、最後に何か話した筈の事を覚えてないんだ。これ、多分…名前の事と関係してるよな?」


4人になり、少し小声で話し出した先輩。


「あ、俺もそう思った。それに、“死ぬ”云々の話からして、名前の事も瞳の色の事も、多分、俺達を守る為かな─と。」


そう。女神と最後に何かを話した事は覚えているのに、何の話だったかは、誰も覚えていなかったのだ。


“怪我はするけど、死なない身体”


確かに、口外するとどう扱われるか分からない。死なないなら護る必要は無いとか……。


「瞳の色が違うだけで、印象も変わるしね。」


うん。美少女は更に美少女のレベルが上がっている。


「昔から、名前には魂?が宿るとか言う位だから、この世界では知らない方が良いのかも…この世界には、魔法があるみたいだし。」


確かな理由は分からないけど、女神様が私達を守る為だろう─と言う事にして、今の状況を受け入れる事にした。






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