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総一郞のつぶやき・1

 その後、昼食を済ませ、再び執務をしながら時折窓の外に視線を落とした。


 女中たちは庭をホウキで掃き始めており、5人居る女中たちの中でタマの掃除がすこぶる早かった。


 タマは自分の持ち場の掃除を素早く終わらせると、他の女中の持ち場を手伝っていた。タマが手伝う持ち場は早く終わるので、更に別の女中の持ち場の掃除も手伝い始める。


 1番最初に掃除を手伝ってもらった女中はタマのおかげで自分の持ち場の掃除が終わった訳で、タマが他の女中の持ち場を手伝い始めると、しばらくはタマの様子を見ながら何もせずにウロウロとしていたが、そのうちタマが手伝う場所を一緒になって掃除し始めた。


 それはタマに持ち場を手伝ってもらった者たちが1人2人と増えるにつれ、同じようにタマと一緒になって他の者の持ち場を手伝い、最後は皆で同じ場所の掃除をしていた。


 今までに見ることのなかった光景である。


 タマ1人が居るだけで明らかに女中たちの行動が良い方向へ変わっている。


 タマには地位も財力も権力も無いというのに何故女中たちを動かすことが出来るのだ?


 そもそも冷酷だと悪評高い松尾家の奥方があれほどタマに入れ込んでいたのも引っかかる。


 そう考えていると、ドアをノックする音が響き、続いて九六子の鼻にかかった高い声がした。


「伯爵様ぁ~。美味しいお菓子をお持ち致しましたぁ~」


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