表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/111

女郎のタマ

「まぁ、こんな場所嫌だよね。あたしも未だに『もしここに売られてなかったら』なんて考えちまうからね」


 遠い目をしながらどこか諦めたような笑顔を見せるお姉さんにあたしは聞いた。


「お姉さんも売られて来たのか?」


「キヨ。あたしの名前」


「分かった、キヨだな!あたしはタマだ!」


「タマはいくつだい?」


「25だ!」


「あたしと同じじゃないか。夫や子どもが知ったら心配するんじゃないかい?」


「あたしは行き行かないだ。結婚はしない」


「あんたも未婚なのかい?あたしも行き遅れだよ。まぁ、ここにいたら行き遅れも何もないけどね……。好きな男はいないのかい?」


「居るが奥さんがいるのでもう好きじゃない」


「ああ……それは辛いね……。あたしも好きな男が居て、ここに売られることが無ければ結婚してたはずなんだ……今でもその人あたしを身請けするお金を貯めて迎えに来るって頑張ってくれてるみたいでさ……そんな金一生かけても用意できないくせにさ……」


 そう言いながら開けっぱなしの窓から外の下を見つめているので、あたしも布団から出て四つん這いで犬みたいに歩いてキヨの隣で両膝立ちをして窓から下を見た。


 そこには女の人くらいの身長の、力が抜けたようなやさしそうな顔をした細身の男がキヨさんを見つめながら立っていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ