表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/111

龍之介の絶望と希望・1

 愼志朗さんはさっきよりも優しい声で言った。


「伯爵家の跡取りになればタマさんに何でも与えることが出来るようになります。1年あれば身体を鍛えてタマさんを守れる身体にもなれます。これからの1年はタマさんに会うための準備期間だと考えてはどうですか?」


 僕の頭には病院の先生の言葉が過ぎっていた。


『松尾家の次男が毎日タマちゃんを送迎してくれているから』


 どうしようもない不安にかられてモヤモヤとした。


「……2番目のお兄ちゃんとタマの仲がいいみたいで……僕はすぐにでもタマに会わないと不安なんです……」


 愼志朗さんは一瞬戸惑った顔をしたけど、すぐに優しい笑顔に戻った。


「以前私が松尾邸で働いていたことは知っていますね?」


「はい……」


「仲良くなった女中がいます。彼女はタマさんとも仲がよくていろんな話をするそうなのですが、タマさんは松尾家の兄弟の誰にも特別な感情は持っていないと聞いたことがあります。もし心配なら彼女にタマさんを見張らせますが」


 タマを見張る……?


 そんなことはしたくなかった。したくなかったけど、タマを誰にも取られたくなくて言葉を詰まらせていた。


 ……タマを見張るなんてしなくても心さえつながることが出来れば僕はきっと安心できる気がする……


「……タマに手紙を書きたいです……」


 愼志朗さんは少しだけ間を置いてから「分かりました」と笑顔で頷いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ