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龍之介の素性

 お祖父ちゃんは門番の人を僕に紹介した。


「松尾の屋敷で見たことがあるかも知れんな。私が龍之介を連れ出すように命じて松尾家に送り込んでいた男だ」


 愼志朗という名の門番の人は僕に「ご無事で良かったです」と頭を下げた。


 なぜ大人が子どもの僕に敬語を使って頭を下げるのだろう?


 何だか変に感じた。

 

 愼志朗という名のその人は「失礼します」と言いながら僕の両脇に両手を入れて僕を抱き上げた。


 お祖父ちゃんは先生に分厚い白い封筒を差し出した。


「龍之介を助けてくださりありがとうございました。これはほんの気持ちです」


 先生は驚きながら両手を胸の前で小刻みに振った。


「いえ!!治療費を別でもらってますので、それ以上を受け取ることは出来ません!!」


「ここには口止め料も入っております。例え先生にとってどれだけ縁の深い者に対しても龍之介のことは一切口外無用でお願いします」


 先生は一瞬固まった 

 そして少し怒ったような声になった。


「いえ……それでも受け取ることは出来ません」


「どの道口外すればあなたのご家族が危険な目に遭うことになります。ならば受け取っておいたほうが賢いというものではありませんか」


 お祖父ちゃんはさっきまでの優しい笑顔とは違うなんだか怖い笑顔になっていた。


 ベッドに白い封筒を投げて置いたお祖父ちゃんは先生に「では」と言って歩き出した。


 先生はお祖父ちゃんを怒った顔で見ていた。


 僕はこのときの先生もお祖父ちゃんも怖かった。



 お爺ちゃんを先頭に病院を出ると、黒い自動車が道路に停まっていて、その前に立っているスーツ姿の男の人が僕たちに頭を下げた。



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