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女中のタマ・2

 勝手口で急いで草履を履くと門まで走った。


 龍之介、待っていろ!!!おまえは入院して元気になるんだ!!!


 開いたままの門の向こう側にいる純平先生と門番に叫びながら走った。


「龍之介は入院してもいいとのことだ!!!」


 門のところにたどり着いたあたしに純平先生が落ち着いた声で聞いた。


「奥様にお会いすることは出来ないのかな?」


「奥様はもう龍之介とは関係ないそうだ!!!あたしに面倒をみるようにと言っていた!!!」


「え!?タマちゃんが!?」


「そうだ!!!今日からあたしが龍之介のお母ちゃんだ!!!」


「いや……タマちゃんまだ子どもでしょ……?」


 純平先生は困った顔をしながら持ってきた白い長封筒を見つめた。


「龍之介くんの病状を書いて来たんだけど、だったらもうこれ渡す必要ないか……」


 門番の背が高い方のお兄さんが手を差し出した。


「あ、ならばその文は旦那様に渡しておきましょうか?」


 純平先生は少しの間門番の背が高い方のお兄さんを見つめた。


「あ……そうですね……。ではお願いします」


 白い封筒を預かった門番のお兄さんは「分かりました」と言って封筒を大事そうに着物の懐へと入れた。


 あたしは帰ろうとする先生に言った。


「龍之介の入院代はあたしが払う!!!だから安心してくれ!!!」


 先生はやさしく微笑むとあたしの前にしゃがんで目を合わせ、あたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。


「入院費の心配はしなくていい。時間があるとき龍之介くんに会いに来てやってくれ」


 そう言って立ち上がると先生はあたしに手を振りながら帰って行った。


 けれどもやはりタダで龍之介を診てもらう訳にはいかない。あたしはもう1つ仕事は出来ないかと考えた。1分くらい考えた。そしてひらめいた。


 そうだ!!夜も働けばいいんだ!!



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