表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフさん♀には秘密が多い  作者: 茉莉鵶
第3章 青春期 旅立ち編
28/40

第28話 出発と帰還と


 「ふぁぁぁぁっ…。流石に眠いぜ…。なぁ、エルフ?」


 「まだ日も上がってないもんね…。」


 私達は、英雄学校の裏口の門の前に居た。

 あれから、食事や湯浴みをして、旅の支度をした。

 クゥイルデの街から、エリンダルフの街までは、長い旅路になると予想された。

 なので、持っていくものは慎重に選ばなければならなかった。

 荷造りが終わった頃には、夜中になっていた。

 だから、私もリゼイルは、殆ど寝れて居ないのだ。


 「まぁ、早いうちに出れば次の街で休めるさ?」


 「そうですよ?では、皆さん?参りましょうか。」


 エルミリスの母親の件は、侵略者が絡んでいる。

 なので、シルヴァス先生は情報の漏洩を警戒した。

 その為、詳細についてはリゼルディアさんにのみ伝えたのだ。


 「リゼイル、お前だけが頼りなんだ。任せたぞ?」


 四人の見送りに、学長代理になった元英雄のリゼルディアさんの姿があった。


 「ああ、父さん。任せろ!!あと…絶対、エルフを家に連れて帰るからさ?」


 出発直前にリゼイルは気が早いことを、父親へと向かって言った。


 「じゃあな?リゼ。アヴィンに会ってくるからさ。」


 そう学長が言った後、何かを詠唱し始めた。

 すると、ひとりでに裏口の門が開いた。


 まずリゼイルが斥候を務め門を抜けた。


 「エルフ?久しぶりの英雄学校の外の世界だぞ?早くこいよ!!」


 「うん!!」


 リゼイルに急かされた私は、門を抜けようと急いで歩を進めた。


 ──ピカッ!!


 門を抜けた先は、どこかの山の上だった。

 英雄学校は山の山頂付近に建てられていたのだ。

 それで外敵からの侵入が殆ど無かったのだ。

 

 門から少し離れた場所で、リゼイルは眼下に広がる景色を見渡していた。


 「ほら、こっち来てみろよ?凄く綺麗だぞ?」


 「うん!!」


 私の心の中はもうリゼイルでいっぱいだった。

 だから、彼から離れられなくなってしまっていた。


 リゼイルのところに私は駆け寄ろうと踏み出した。

 すると一瞬、辺りは眩いばかりの光りに包まれた。

 その瞬間、私は意識を失った。



────



 夢見心地のふわふわとした感覚の中に私は居た。


 この感覚は二度目だ。

 そう、クゥイルデの街道沿いに降ろされた時だ。


 「(やっとあなたを見つけられた。こちらの手違いで身体を間違えて作り直してしまった。それに降ろす場所も間違えてしまっていた。本当に申し訳ないことをした。よって、我々はあなたの時間を、私の乗機に巻き込まれる前まで戻すことを決めた。これは特例の措置だ。だから、あの日のあの時間のあの場所には、絶対に近づかないで欲しい。)」


 頭の中に声が聞こえた。

 変声機を使ったような声だった。

 私は、このままの姿でもう良いのだ。

 この場所が良いのだ。

 リゼイルと母親が居るこの場所が。

 だから、ダメだ!!

 このままでは時間を戻されてしまう。

 でも、何故か口が動かない。


 「(それでは、もう会うこともないだろう。では…。)」


 私の口よ…動け!!動け!!動け!!動け!!


 「ダメ!!」


 「(『時間遡行』!!)」


 同タイミングだったが、間に合ったかに見えた。


 ──ガバッ!!


 私は慌てて飛び起きると、実家のベッドの上にいた。


 「どうしたの…アヴィルナ?さっき、ダメって…凄い大声の寝言言ってたけど…。」


 エプロン姿のエルミリスが部屋の扉の付近にいた。

 私の大声を聞いて、駆けつけてきてくれたのだ。

 自分の身体を触ってみると、男の身体をしていた。

 あれだけ会いたかったエルミリスを前にしているのに、リゼイルの事が気になっている私がいた。

 しかし、今の私は男の身体なのだ。

 だから、このままリゼイルに会ったとしても、全く相手にはされないだろう。

 リゼイルはエルフとしての私が好きなだけなのだ。


 だが、エルミリスの母親であるエルシェスさんを救うには、リゼイルの持つ生属性魔法が必要不可欠なのだ。

 クゥイルデの街まで、逆に私がリゼイル達を迎えに行かないとダメみたいだ。

 でも、不安な事もある。

 リゼイルが、男の私の言うことを聞いて、素直についてきてくれるのだろうか。

 まだ会ってもいないが、気が重い。


 「夢の中で、エルシェスさんを救う鍵を見つけたんだ。あともう少しのところで、目が覚めそうになってね?その時の声だと思う。」


 「お母様の名前…アヴィルナには教えてないはずなのに…。何で…?!」


 やっぱりエルミリスからは名前、聞いてなかった。

 でもこれで私の話に信憑性が増したはずだ。


 「オルさんのことは、本当に残念だったね…。でも、エルシェスさんにかかった死の呪いを、解けるかも知れないんだ!!」


 「お父様の名前まで…。一体、どうして!?アヴィルナ…まさか私の家のこと調べたの?!」


 エルミリスは私の方を、思い切り睨みつけてきた。

 確かに、疑うのも無理ない。

 両親の件は、恐らくは両家で極秘事項なのだろう。


 「ううん。そんなことはしないよ。」


 「なら…何で!!アヴィルナは絶対、知ることはないはずだよ!!」


 もう、私は決心した。

 何とかして、クゥイルデの街に戻る。

 そして、最短で…皆を連れて英雄学校の門を出る。


 「やっぱりそうなんだね…。私が今日見ていたのは正夢なんだ…。」


 リゼイル、シルヴァス先生、学長。

 今朝まで、確かに一緒に居た。

 でも、夢のように…私だけが戻されてしまった。

 まるで正夢だ。


 「アヴィルナ、どういうことなの…?説明してよ?」


 「分かった。簡単に説明するね?今日、私は学校に行ったまま、記念公園でお昼の最中に宇宙船の事故に巻き込まれて、行方不明になる。でも、悲しまないで欲しい。何年かすれば…私が、エルシェスさんの呪いを解ける人物を連れてくるから。」


 これから起きることは、見た場面は予測できる。

 その見たり聞いた記憶をうまく利用すれば良い。


 「お母様の死の呪いを解ける人がいるのね!?」


 私が行方不明になることについてはスルーだ。

 エルミリスには母親の方が大事なのかも知れない。

 まだ11歳だ、無理もないか…。


 「うん、居るんだ。でも、非常に遠い場所に居る。だから、エリンダルフの街まで長い時間がかかってしまうんだよ。」


 「分かった!!私、アヴィルナの帰り、待ってる。その頃には、お腹の子も…。」


 この流れは…。

 あの、お弁当の蓋の上に添えられていた手紙の…。


 「え…?!」


 「うふふ。アヴィルナ?私たちね…?お父さんとお母さんになるの!!」


 少しだけ、私の知る未来とは変わってしまった。

 本来、学校の記念公園のベンチで私はこれを知る。

 どれだけこの先の未来への影響が出るのだろう?


 「そうなのか!?なら、私は学校を休んだほうが…。」


 「気にしないで?私は、お母様が目覚める方が嬉しいよ?だから、アヴィルナ?期待してるから!!」


 うーん。

 やはり、私よりも母親の方が優先度が上なのか。

 少し、私は複雑な心境に陥ってしまった。



────



 前回の記憶の通り、エルミリスは学校を休んだ。


 だが、違ったこともあった。

 お弁当の入った手提げ袋の中に手紙はなかった。

 そして今、私は記念公園のベンチに座っている。

 そう、例の宇宙船との衝突が起きる少し前だ。


 「いただきます。」


 私は、エルミリスの手製お弁当を食べ始めた。

 ショッキングな手紙もない。

 未来を知っているという余裕が私をそうさせた。


 それから少しして、お弁当が食べ終わる頃のこと。

 記念公園の森の上空が、ピカッピカッと光始めた。


 恐らく侵略者と、私を潰した守護者の宇宙船だ。

 上空でドッグファイトを繰り広げている光だろう。

 今までで一番眩い光を放ったのが見えた。


 ──ドォォォォンッ!!


 森の方から轟音が聞こえた私は、急いで向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ