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エルフさん♀には秘密が多い  作者: 茉莉鵶
第3章 青春期 旅立ち編
24/40

第24話 募る思い


 ──ギィィィィッ…


 「んっ…。」


 扉が開く音が聞こえ、私はベッドで目を覚ました。


 「えっ…?」


 朝になり、リゼイルが先に部屋を出たのかと思い、横を向いた。

 よかった…。

 それは今までの私には見られない感情だった。

 気持ちよさそうに、私の隣でまだ眠っていた。

 となれば、残るは先生しか考えられない。


 眠い目を擦りながら、私は目線を扉へと向ける。

 すると、先生が扉の前で立っているのが見えた。

 でも、すごく眠そうで今にも気を失いそうだった。


 私は先生に向かって大きく手を振った。

 気付いた先生は、無言でベッド脇まで駆けてきた。


 「食堂でね?翻訳された本を読んでたら、ついつい夢中になってしまってね?気付いたらこんな時間さ。」


 先生が、夢中になる程だ。

 翻訳された生属性の本は、有益な内容だったのか?

 私も本は好きなだけに、つい気になってしまう。


 「えっと…。使えそうでしたか?」


 「ああ、勿論!!あとは、キミに色々と試してもらわないといけないけどね?それにしても、昨日は凄く良かったみたいだね?」


 ようやく私も役に立てる時がきたようで嬉しい。

 生属性にどんな魔法があるかも凄く楽しみだ。


 あと、昨日の夜のことは、あまり覚えていない。

 ただただ…リゼイルの家でした時より凄かった。

 それに、リゼイルが飢えた猛獣のようだった。

 何度か私が気を失ってしまったくらいだ。


 ふとベッドの上を見ると、その愛の残骸があった。

 どれだけ昨日、リゼイルは頑張ったのだろうか。

 私と先生がそこそこの声で話していも、起きない。


 「アヴィルナ?若いって…凄いね。私もね、あなたたちみたいな時期あったから分かる。でもね?ダメな時期は、拒んで良いんだからね?」


 「うん。お母様…ありがとう。この前、アレなったばかりじゃない?だから、平気だと思う…。」


 女の子のアレ…生理周期の話だ。

 ベッドの上に残された愛の残骸の量を見てだろう。

 気をつけなければ、すぐ妊娠してしまいそうだ。


 私も、この身体になってからというもの、毎月のようにアレを経験してきた。

 なったのが分かった瞬間、憂鬱になり堕ちる。

 この世界には、日本のような優れた生理用品は存在しない。

 だから、気をつけないとすぐ制服が血まみれだ。

 綿のような素材の下着を重ねて着けたり、下腹部に常に力を入れてギュッと締め付けたりするのだが、気休め程度にしかならない。

 アレの期間中は、ベッドで寝れば身体中伝って大惨事になる為、基本は椅子などに座り机で伏せ寝する。

 だから全然、寝た気になれないし疲れが取れない。


 ふと思い起こすと、エリンダルフの街では生理用品を見かけたような気がする。

 流石、異星人の技術を取り入れた閉ざされた街だ。


 「じゃあ、私リゼイルくんの横で少し寝るからね?」


 大きなあくびをした先生の姿は既に下着姿だった。


 「お母様…リゼイルに襲われても知らないからね?」


 私はリゼイルの横から起きると、ベッドを降りた。


 「ほら、そこの机に翻訳した本、置いといたから読んでおきなさい。」


 奥の机を先生は眠たそうに指差し、ベッドの上へ。

 ついてるものが私と全く同じなので、絶対危ない。

 肌の触り心地も、若干の年齢差はあるが誤差だ。

 まぁ、先生も大人だ。

 それくらいのリスクは承知の上で寝たのだろう。

 私は、机のある方へと下着を着つつ歩いていった。


 「これが…翻訳版の生属性の本か…。」


 心躍らせて私は、机の上のその本を手に取った。

 そして、椅子に腰掛けると、本を開いた。



────



 生属性の本には様々な種類の魔法が書かれていた。

 この魔法をもし私が使えるのであれば、人間やエリンダルフ相手には向かうところ敵なしだろう。

 ただ、侵略者がこの魔法を使えるのは相当危険だ。

 確かにエルミリスの両親は、侵略者にこの魔法による攻撃を受けている。

 その為、生属性魔法を使えるのは最低条件だ。

 それで、私が同じ土俵に立てるかは疑問が残るが。


 「エルフ…。好きだ…!!」


 あ。

 ベッドの方から声が聞こえた。

 リゼイルが目を覚ましたようだ。


 慌てて振り向いた。

 案の定、先生はリゼイルに抱きつかれていた。

 まぁ、事情をリゼイルは知らないので仕方がない。


 「エルフ…。今から…しようぜ…?」


 やばいやばい…。

 それだけはダメだ。

 リゼイルの手が先生の下着の中へ滑り込みかける。


 「リゼイル!!私はこっち!!」


 「なにっ…!?」


 何故かは知らないが、私と母親は目と声が違う。

 リゼイルは私の声で気付いてくれたようだ。


 「後もう少しだったのにぃ…。つまんないなぁ…。私もリゼイルくんと一つになりたかったのにぃ…。」


 先生の隣では、流石のリゼイルも青ざめていた。

 アヴィンの娘にも手を出したと、リゼルディアさんに知られれば、それこそ笑い話の種にされるだろう。

 それに、私への顔向けが難しくなるだろう。

 まさか期待し狙ってやってたとは先生も人が悪い。


 「俺、エルフにしか興味ないので…。」


 「私だって…どこからどう見てもエルフでしょ?」


 「いや…違うと思います…。エルフとは違います…。」


 うーん。

 多分、耳栓と目隠ししたら判別不能なはずだ。

 そんなことリゼイルが試した日には、目も当てられない結果が待っているだろう。

 面白半分で先生にリゼイルを取られかねない。


 「じゃあ、リゼイルくん…。私で試してみる?」


 「ダメェェェェッ!!絶対に許しませんから!!」


 黙っていたら、とんでもない方向へ行きそうだ。


 「ああ、怖い怖い…。リゼイルくんをからかって、ボクは言っただけなのになぁ?」


 いつの間にか、普段の先生の声に戻っていた。

 全く、何を考えているのやら。

 本当にリゼイルをからかっただけなのだろうか?

 私には先生の目が本気に見えた。



────



 あの後、シルヴァス先生はベッドに横になった。

 私とリゼイルは急いで制服に着替えて部屋を出た。

 今日は授業のある日だったからだ。


 気がつけば、今日の授業はあと魔法の授業だけだ。

 ところが、まだシルヴァス先生の姿が見えない。

 魔法の授業の部屋で私たちは先生を待っていた。

 ただ、英雄学校の魔法の授業は、任意の授業だ。

 その為、授業の開始する時間は先生次第になる。


 「シルヴァス先生、遅くない?」


 「誰か呼びに行った方がいいんじゃない?」


 部屋の中ではそんな声が上がり始めてきていた。

 本来であれば放課後の時間を利用しての授業なので、待っているだけでは生徒達はプライベートな時間がどんどん減るだけなのだ。


 「エルフちゃん、先生と仲良いでしょ?確認してきてもらえないかなぁ…?」


 「うん。先生の様子見てくるね?」


 他の生徒達から頼まれてしまったので私は席から立ち上がると、扉の方へと歩き始めた。

 すると、リゼイルもゆっくり席から立ち上がった。


 「エルフ、頼んだ!!」


 おいおい…。

 お前、ついて来ないんかい!!

 思わず口から言葉が出そうだった。


 ──ギィィィィッ…


 私は部屋の扉を開けた。


 「ゴメンゴメン!!遅くなったね?って、キミどうしたの?どこへ行くの?」


 シルヴァス先生が私が開けた扉から入ってきた。


 「先生の様子を見に行こうかと思って。」


 「皆、待たせて悪かったね?学長と少し話し込んでいてね。こんな時間になってしまった。本当にすまない。」


 学長と?

 今まで何の話をしていたのかが、すごく気になる。


 「それじゃあ、今から授業を始めるとしようか。」


 そういう訳で、魔法の授業が始められた。

 今日は珍しく、英雄学校の外で捕えた魔物を使っての戦闘訓練だった。


 実際に戦闘する為、下手すると死ぬ可能性もある。

 もし死んでもこの学校では自己責任となる。

 英雄後方となる為には、そういった覚悟や犠牲も心得なければならないのだ。

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