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る廻は界世

 



「ジジイッ!! これでいいのか!?」


「王国が決めた決断じゃ。ユーナ姫もツイドも了解しておる。ワシらが口を挟む事ではない」




「自分の娘じゃないのかッ!? 守りたいと思わないのか!?」


「我が娘である前に、ハーバス国の王女という事だ。身より国と民を優先する」



 王国上層部の意見は見事なまでに一致していた。


 一人の犠牲は皆んなのために。


 ──だけどもみんなの本当の心中は違う。

 苦虫を噛み潰したような思いであり表に出さないだけ。

 戦争になれば、一般の民にまでも火の粉が降りかかる。

 それは国として出来るだけ逸れなければいけない未来。



「まただ……守れないッ! アイネも! ユーナも! なにもかも!!」


 リューズ自身も喪失感で狂っていた。


 アイネがあの男に連れて行かれ、早くも十日が過ぎようとしている。

 食は喉を通らず、何の事かわからぬまま、がむしゃらに剣を振り回した。

 そこに追い打ちをかけるかの様に、ユーナを帝国側へ引き渡すという政治的な状況。


 頭ではわかっているが感情が、心が、追いつかない。


 あと二十日もすればユーナは護送され帝国側に渡る。

 頭を抱えて、"力"しかない無実力な自分を呪った。




 だが、一つの提案が知王クリエイトによって提示される。

 暫く沈黙を守っていた久しぶりの会話であった。


【マイ、マスター。一つ提案があります】


 その言葉はとても言いにくそうな詰まった物言いだった。しかし赤子をあやす様に言葉が流れる。


【インドラルの記憶コードを解凍しましょう。マスターのその思いならば、耐えれるかもしれません。ただ、百パーセントの解凍は多大な負荷をかけます。もしかしたら死ぬ………かもしれません、が】


「それで強くなれるのか……?」


【百パーセントコード解凍すればインドラルの戦闘スキル、能力等をほぼ全て引き継ぎます。ただそれは今の体の内容を作り変える様なモノです。一瞬で強さを得る事は出来ますが、想像絶する痛みがマスターを襲います】


 簡単に得る事は出来ない()()

 ハイリスクハイリターン。


【それにマスターと対峙したあの男は魔人化していました。あれは魔王の加護の元にあるという事です。信仰していなければ手にする事が出来ない力。余りにも強力、今のままでは到底太刀打ち出来ません】


「その力を解凍しきればアイネは、ユーナは救えるか? アイツに太刀打ちできるようになるか?」


 自分勝手な正義でも良い。

 自分が守りたいと思える人を守れる力が欲しい。


【マイマスター、それは貴方次第です。これから何十年かけて解凍していくべき内容を一瞬で行うのです。まずは解凍適合に耐える事が先決。それに耐え、その先にマスターの想いの答えがあるはずです】


 変えられる力。


 それはリューズにとって最も欲しいもの。

 その痛みとやらに耐える事で目の前の全てを変えれるならば、それは正に願ったり叶ったりであった。


「頼む、クリエイト、インドラル

 力を貸してくれ──」




 ◇◇◇





「あとはハーバストラ=ユーナのみか、意外と早いものだ。人柱は揃う………」


「帝国さんもお馬鹿。独裁国家だからって頭が傀儡だとやりやすいです」


 それはかつて国があった瓦礫の山。

 そこには、三人ともう一人の姿があった。


「この女も力の使い過ぎで目が覚めへんわ、ほんまいつまで寝るねん! ワイも寝たいちゅーねん」


 その三人の中心に横たわる赤い髪に赤い瞳を持つ女性の姿。


「必要になった時に起こせばいい。寝てた方が五月蝿くなくていいだろう」


「ねぇ、あれかな? 帝国さんの条件飲むのかな? 王国さんは」


「ふん、………どちらでもいい。結局はこれで魂を集める事になる」


 赤いレザーコートを羽織る男の手に持たれた分厚い辞典。


 魔王忠誠地獄バザールナルティアの書。


 それは魔王が残したアーティファクトであり、魔物、魔人であれば奴隷刻印を刻む事が出来、刻まれた者はその辞典を持つ者に忠誠を誓わなければならない。

 期限はどちらかが死ねば解除され、三度使える刻印ストックをリセットし新たな所有者へと受け継がれる。


「もうストックはゼロやろ?」


「ああ、さっきだ、最後のストックを使い終わった。序列魔二十一フェンリンル………コイツに暴れて貰おう」


 辞典のページに刻まれた奴隷印と狼と馬を合体させた怪物の絵。


「ハーバストラ=ユーナさえ手に入ればもう帝国は用済みだ。コイツが暴れれば戦場にはクソほどの魂が舞う。そうすれば……」


「まぁ、せやな、見ものやな、ほなステア、ビルド、行こか」


「ああ」


「うん」


 ハットの男は赤髪の女性を担ぎ上げ、三人はその場所から目的の場所へと歩き始めた。


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