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落下する地


 


 クリエイトとの心の会話で新たな事実が色々判明する。偶然だが託された力と過去、ここが地球の改変された未来である事、神に悪魔に厄災。

 それらを踏まえて自分の世界における役割、インドラルの思いが心の中を交錯する。


「人を守るか……インドラルは最後まで戦い抜いたんだよなあ」


【イエスマスター。彼は人を愛していましたからね、それにヒュドラはその当時内陸に存在していた最強の厄災でしたから。討伐してしまえば人の世は次元の壁を壊されない限り安寧がある……だからこそ単騎で向かい、撃破した】


「それでもここ何百年で次元の壁が弱まりつつあり、厄災の侵入を許してる……」


【えぇ、雷神インドラルは少なからず見越していた。だからこそ力を後世に残したのです。なにかあった時の為、目の前の人でもいい、誰かを救い、守る為に、と」


「クリエイト、俺が出来る範囲、目に見える範囲……それでも……たったそれだけでも──」


【イエスマイマスター。守れるものを守る、それだけでもいいのです】


 壁画に描かれた審判の日、自分が死んだ地球。その後の神との戦い、想い。

 リューズとクリエイトだけの会話。

 短い二人だけの会話は、アイレッド=リューズという人物を大きく変える出来事であった。


「リューズくん? さっきから大丈夫ですか? 少しぼーっとしてますよ?」


 話の内容を悶々と考えているとジュネが心配そうな顔で話しかけてくる。


「ごめん、ごめん。大丈夫だよ」


「それならいいですけど、何かあったら言ってくださいね!」


「そろそろ七層に戻ろう。壁画の内容もわからないしな!」


「そだネ、財宝もないシ、疲れたヨ」


 クランコの声によりばらけていた各々が集まり始めた時、大きな地鳴りが洞穴内に鳴り響いた。


「なんすっか! これ? やばくないっすか?」


「こわいよっ、音が凄いっ」


 鳴り響く音はやがて振動へと変わる。パラパラと頭上から小石が落ち始め、それは本格的な地震へと変わった。


「こりゃあマズい! 崩れるぞ!」


「おいおいおい!! ヤバいんじゃねぇか?」


 どんどんと強くなる揺れの中、皆んなが一箇所へと固まる。地響きは時が経つにつれてどんどんと大きくなっていく。八層を揺らす音は一人の声によって進展を遂げる。


「……おい!! 上が崩れるぞッ!!!」


 クランコの声に俺が咄嗟に反応する。

 取捨選択を間違えるな。皆んなを守れるだけの強度を。


「オーダークリエイトッ! 聖盾の心ジェネラルッ!」


 頭上に展開された轟々しい盾が落石から身を守る。ガラガラと崩れ来る土砂降りの岩を弾き頭上から迫る大岩を弾き、……だが、次の瞬間全員を襲ったのは雲の上に足をつけたような感覚だった。


「や、ばっ」


「うああああああ!」


「「きやぁあああああ!」」


「床が抜けたネ、やばいネ……」


 地盤陥没──落石に耐えれなくなったのか、それとも地割れの延長なのかは定かではない。しかしぽっかりと底が抜けた床により、落下する。

 どこまで落ちていくかわからない状況でクリエイトの言葉が、サポートが、俺の脳をかけ巡った。


【何処まで落下が続くかわかりません。最善策共有、今すぐ手を打ってください】


 クリエイトの言葉が脳を流れ、最適化された最適解を俺は実行に移す?


「みんな魔闘気を練ってくれ! 全力でサポートするから!」


 落下していく中、俺の一声により全員が魔闘気をフルパワーで発現する。勿論アイネの手を離さない。


(どこまで落ちんだよッ)


 焦り。焦り。焦り。それでも万が一に備えなければならない。落下位置、落下速度、いつ終わるかわからない底。死。


「オーダッ!クリエイトッ! 連結する痛みインターセプトッ」


 俺の体から手の形をしたマナが飛び出す。それはクランコパーティの元へ伸び、全員の魔闘気と連結した。

 これはクリエイトの咄嗟とっさの知恵であった。

 いくら魔闘気を全力で発現させたとしてもこの落下、着地時にはとんでもないダメージを受ける。

 本来使用目的が違う闇魔術を応用し、ここにいる俺以外のダメージを緩和、肩代わりさせるようクリエイトは提案した。


【マスター、内闘気を全力で練りあげてください。サポートしますが、皆のダメージを奪うのです。──下手すれば死にます】


 クリエイトのサポートに身を任せ、俺は全力の……とんでもない量のマナを吸収し内闘気を練り、体外へと発現しあ。



 連結する痛みインターセプトにより感覚が共有されている七人は落下の最中、リューズが練り上げる膨大なマナ量に唖然としたのであった。


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