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セーフティエリア

  


 起きた。ダンジョンは時間感覚がなくなる。

 俺とアイネはお互い身体をポキポキと鳴らし、昨日の疲れが残っていない事を確認し、攻略を目指す。


「五層までは早かったね!」


「序盤も序盤だからなあ、気引き締めてこ」


 何度も戦いと休憩を挟み進んでいく。

 五層中腹当たりだろうか?魔物は急激に強さを増す。しかしそれでも俺たちの相手ではない。


 多少枝分かれした道があるが奥は深くなく、行き止まりであっても直ぐに引き返せ別の道を選択できた。

 強くなった魔物も湧きは多くない為スイスイと次の層への階段を見つけた。


 六層に辿り着き魔物の質がガラリと変わる。

 今までの層はコウモリやネズミなど前世でも良く見る魔物というよりは魔獣であった。しかし六層に入り最初に現れたのはケンタウロスだった。


「森の深部にいる良く居る魔物ね。あのケンタウロスは火矢を放つから気をつけてっ!」


「初めて神話っぽい生物みた」


 ブヒヒヒン! という鳴き声、アイネの言葉通り魔法の矢を連続して放ってくる。

 下半身が完全に馬、その為かスピードが異常に速い。


「はあああっ!!!」


 放たれた火矢を左右に躱しケンタウロスに詰め寄る。アイネの袈裟斬りからの逆袈裟がケンタウロスの脚を止めた。


 隙──。


「オーダークリエイト! 風の刃ウインドエッジ」


 俺のオーダーにより右手から放たれた風の刃。それはアイネの右側スレスレを通過しケンタウロスの胴へと直撃する。


 ──阿吽の呼吸。

 ここまで来るまでに整ったお互いの動き。

 それは連携において最重要。

 動きを見るのではなく、呼吸を見る。それは感覚的なものであるが、俺たちはそれをものにしていた。


 直撃し完全に仰け反るケンタウロス。


「最後!!」


 アイネの刺突が完全に息の根を止め、断末魔をあげドシリとケンタウロスはその重そうな巨体を倒した。


「連携バッチリだな」


「ここに来るまでどれだけ戦ってると思うのー? それに背中を預けてもフォローしてくれるもんね!さてさて素材だけ剥いじゃいましょ?」


「おけーオーダークリエイト、解体バラ」


 手で触れるとバラバラになり皮や蹄、目など素材の部分だけが残る。

 要らない部分は完全に消滅。この解体バラはクリエイトが必要な部分部位を算出している為、無駄がない。

 解体によって残った物は全て使えるし、売れるという。

 その知識力の強さがまさにチート。


【褒めて頂き有難う御座います、マイマスター】


 俺の心を勝手に読むんじゃねぇ。


 その後も次々と魔物が登場するが全て素材に変わる。ケンタウロス、タートルベア、ニーウルフetc……

 俺もチートだと思うが、アイネも十分強い。


(連携が取りやすい)


 この倒しやすさ、勿論自分の戦練度が上がったのもある。しかし大きな要因はアイネの隙の作り方、必ず右側を開ける行動。それはどの戦いにおいても。


(わざとやってるんだろうけど、狙いやすいなぁ)


 アイネに負んぶに抱っこな感じがする。

 そうこうしている内に7層への階段に辿り着いた。



 このダンジョン唯一のセーフティエリア。

 七層は広大なワンフロアになっており、外かと錯覚するくらいに明るく空がある。

 空がある?って意味は分からんだろうが空がある。木々が生い茂りながらも草原のような清らかな空間。

 フロアの真ん中には青白く光る果実を実らせる大木があり、その周りに冒険者達がテントを張り休憩していた。


「お、おめぇら二人でここまで来たのかよ!?」


 七層に入ると直ぐに声をかけられた。

 先に来ていたパーティだろう。


「ああ、ここまでなら二人でも全然楽だったよ。むしろ辛いのはここからだろ?」


 俺の言葉に男は目を丸くして呆れるように口を開いた。


「八層からはそりゃ別格だが、ここまでも二人で来るやつなんていねぇよ。Aランク冒険者パーティ推奨ダンジョンだぜ? どいつの依頼だよ、んな無謀な取引」


「冒険者さん心配ありがと。だけど私達は自分達の意志、好きでここに来てるの。依頼とか関係ないよ?」


 俺の後ろからアイネが男に理由を述べる。


「ラ......」


 アイネの姿を見た男、背後にいるパーティメンバーが大口を開け、目をひん剥き、時を止めた。


「おいおいおい……────その赤い髪に瞳」


「「「ランザルク=アイネ!!?」」」


 フロア内の声が一つになった瞬間だった。


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