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アイネとの日常




「リューズくん、おそかったね!」


 兵士の宿舎に帰ってきて早々アイネがぷりぷりしている。なにこの可愛い動物。

 思いの外、ロゼッタとの話が膨らみ帰ってきた頃には陽が沈んでいた。


「色々買い出しとかあったんだよね。それに用事もあったしね……あんまりぷりぷりしなさんなって」


 アイネが掛けているソファの隣に腰を落とし、手入れが行き届いている赤髪を撫でた。

 これが結構効くんだよな。俺の最近の流行り。


「っ──許します!」


 早い。想像以上に早い。

 頬を赤らめ、モジモジする姿に自然と笑みがこぼれる。

 友達以上のスキンシップを取り合っているが、恋人という訳ではない。治療が終わった時点で王城の客間を追い出され、結果併設されている兵士の宿舎、ようするにアイネの家にお呼ばれする事になった。


 そこからは宿代も勿体ないという事で一緒に住むことになる。それからはいつもこんな感じ。まぁ距離も自然と近くなるし、アイネは凄く世話焼きだし。

 あれだ紐男みたいだ。

 ちゃんと金は持ってるけど。


 で、なんだかんだ仲良しという訳。やっぱりアイネの方が歳上なだけあって心配性がでるみたいだ。

 これから基本的にはパーティを組み冒険するので仲が良いに越した事はないしね。


「そーいえばジョインにしてる引き継ぎはどうなの?」


「あっ!聞いて聞いてっ!今日ね〜すべて終わりましたっ」


 嬉しそうな顔でこちらに目線を合わす。

 相変わらず眼が綺麗なんだよなぁ、ちょっと赤みががった瞳がキラキラとしてんなー。

 大きいし、睫毛も長い。


「だから明日から完全にリューズくんとパーティで動く事になります! ギルドへのパーティ登録も私がしとくね! あ、そだそだ! 一応籍は軍に置いてあるの、有事の際に必要みたいで。これはツイド王に頼まれた事だけどお世話になってるから無下にできないからよろしくおねがいします!」


「りょーかい! じゃー明日は二人で最終確認に行こう。装備とか他必要品とか、ベーリズ商会に行けば整うから」


「うんっ行こう! 改めてランザルク=アイネですっ! これからもよろしくね」


「ああこちらこそよろしく! アイレッド=リューズだ。なんか、今更感が強いな」


 なんか改めてこういう事をすると照れるな。

 自分の名前を名乗る事に変な違和感がある。


「あれ?……アイレッドってマザーバッグ様と同じ……」


 呟きながらアイネはキョトンとする。

 そういえば家名言うの初めてだったな、アイネはパーティメンバーだし全然いいだろう。


「マザーバッグは俺の親父だよ」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」


 アイネの声が宿舎全体に響きわたる。驚きだったようだ。



 ◇


 ◇


 ◇


 ◇




 アイネの叫びを聞いた翌日の昼、俺たちはギルドにてパーティ登録を済ましベーリズ商会にて装備を見繕いにやって来ていた。


 ロゼッタに聞いていた装具店を目指す。

 昨日のアイネの驚き。それはアイネが軍に入りたての時に良く面倒を見てもらってた事かららしい。──そうクソジジイにだ。

 アイネは運命っ! とずっと叫んでた。

 ジジイの事をめちゃくちゃ尊敬しているらしく、その息子である俺と出会えたのはもはや神の導きらしい。アイネ曰く、うん。


「アイネは基本的に剣だよな?」


「うん、私は剣だね。剣と治癒を主体に戦うのが得意。あとは火魔術が少し出来るくらいかな。わたしさ、髪と瞳が赤でしょ?だから火魔術が一番得意そうに見えるんだけど、光が一番得意なんだよねー」


 確かにそれはわかる。自分の魔色が体に表現として発現しやすいとはジジイも言っていた。

 その場所がどこかはわからないけど、アイネは髪も瞳も赤いからなあ。


「俺も先入観でそう思ってたよ」


 前世のアニメとかではそーいうイメージが強いしな。俺も先入観ズブズブだわ。


「自分の魔色が体の何処かに発現する事は良くあるからね。力の強い者は特に」


「まぁ、あれだ。魔色関係なくその髪色と瞳は好きだけどね。綺麗だし、引き込まれる。なによりアイネって感じがする」


 俺はなんて臭い台詞を吐いてるんだ。

 俺の言葉にアイネは顔を真っ赤にして照れる。

 顔を見られたくないのか、手に持つ剣に目線を落とすのであった。


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