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踏み潰されたら異世界でした?雷神の魂と人の英知の伝承噺  作者: 喜雨子
雷と序列魔と女騎士は希望となる
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時は進む 前に

 


「この状況、さすがに………」


 アイネが膝から崩れ落ちるのが見える。

 虚ろな目、完全に戦意を刈り取られた脱力感。

 その原因を解析により知った俺はどうしたもんかと熟考する。


「不利だ」


 走り出しにつまずいた。

 原因になったのは周りを埋め尽くす黒いモヤと黒蛇。アイネの炎槍が魔法壁に当たった瞬間に黒いモヤが辺り一面に拡散、クリエイトがそのモヤを危険判断し自動的に解析をかけていた。


(あれ?クリエイト進化してない?)


 解析によると精神汚染魔術を毒ガスのように撒いている感じ。

 とっさに魔闘気のマナ量を格段に増やし対策を施したがあの精神汚染、生半可な魔闘気では役に立たないであろう。

 周りに蠢くあの黒蛇とモヤもまさに"厄災"であった。


 俺は考える。

 精神汚染を取り除く、緩和する方法を。そしてアイネの元へと駆け寄り背中に手をかざす。

 ある程度マシになればいいのだが。


「オーダークリエイト浄化の光(キュア)


 俺の手が光り輝きアイネの体内へとマナを送り込む。やがて清浄の光はアイネを包みこみ、精神の血流の中に溶け込んだ。

 荒く過呼吸気味の息遣いはテンポを取り戻し、規則正しく息を吐くようになる。


「マシにはなったか?」


 しかしアイネはもう戦えないはず。一度折られてしまった戦意を同じ戦いで取り戻す事は不可能だろう。人間そんな簡単にできてない。


(やるしかない)


 俺は選択し、決断する。

 アイネの力を借りずにこの厄災を退ける。今の自分なら可能なはず………


 その為にはアイネには正気を取り戻してもらいたい。カバーしながら戦える相手ではない。

 黒蛇から受ける精神汚染レベルはB、治癒無しなら三十分以内で廃人コース確定。

 血流に完全に溶け込む前に施した俺の魔術がどれ程の効力を生むか。


「おいっアイネッ! 聞こえてるか?」


 浄化魔術を使用したが初めて人に使う為効果の効き目がわからない。俺は浄化の光の効き目に祈りながら背中につけた手を離さない。


「アイネ!!」


 効いてくれ!効いてくれ!心臓の鼓動が早まる。

 光は力を増していく。

 その光はアイネの声を、理性を取り戻した。


「………リューズくん………わたしは?」


 虚ろな事には変わりなく、脱力もあるが、徐々に正気を取り戻しつつあった。


「あの黒蛇は精神汚染系の毒ガスを飛散させている! アイネ!自分を守るだけの魔闘気は纏えるか?」


「精神汚染.....….だいじょうぶ、マナを魔闘気に全集中すればいける......…と思う」


「自信をだせ! アイネなら大丈夫だ。全力で自分だけを守れっ!俺が──………俺がアイツを倒すッ!!」


 俺が守るしかない。俺ならやれる。


【オーダーランクver1.45カイトウ──クリエイトバージョンアップヲ行いまス......…】



 ◇


 ◇


 ◇


 ◇




 ハーバス王国王国城内。

 ユーナとジョインの持ち帰った話により王城内は混乱を極めていた。


「緊急収集をかけろ! アイネさんの命令数以上は必ず揃えろ!」


「八年ぶりの厄災か。今はアイネ殿が交戦中らしい。刻一刻を争う状況との事」


「魂喰らいが出たらしい。民に緊急発令だ!」

「避難させろ! 王国騎士軍が編隊し向かうが万が一がある!」

「っ! また悪夢が」

「アルガモか! 昔を思い出す」


 王城内部は序列魔出現の報せに対処を追われており、普段の倍以上の人と声がごった返していた。


 近隣国や街村への通達は勿論の事、今は遠征に出払っている第一護衛団以外での人員収集を早急に行わなければならない。

 だが王国。人層は厚い。兵徴収に然程時間はかからなかった。



「してユーナ、ジョインよ、アイネはアルガモと交戦中な訳だが、話に出ている少年とやらは一体何者だ?」


 ハーバス国王ハーバストラ=ツイド


 八年前のアルガモの出現時、自ら前線に立ち奮闘した豪傑中の豪傑。対魔討伐のエキスパート。

 ガタイの良さはさる事ながら、智慧も良く回る。

 トレードマークである整えられた白髭に触れながらジョインからの報告の内容をツイドは考える。


「アルガモの突進を止めた魔術といい、具現化している魔法刀といいまるで御伽噺の勇者のようじゃな」


「まさに、そのような強き者でした、あの若さであの強さは……」


 ジョインは未だリューズと名乗った少年を測れないでいた。

 力は未知数、それに少し常識からかけ離れたかのような言動。


「お父様っ! あのお方は間違えなく勇者です! 聖なる剣に聖なる盾、私はこの眼で見ましたのっ!」


 ツイドの娘であるユーナ。放つ言葉と目の奥にある恋焦がれを二人は確認した。

 ジョインは内心ため息を吐く。確かにあの状況だと抱く感情も大きくなる。

 ツイドも娘の言葉の外側をくみ取っていた。その少年とやらがウチの娘に相応しいか者か。


 ──こんな状況でも親馬鹿を発揮する。




「──………王よ!討伐及び封印隊を結成致しましたッ! 臨時先行部隊全八十九名ッ! これよりアルガモへと進軍致しますッ!!」


 玉座の間に平伏す兵士の啖呵。

 進軍合図と同時にハーバス王国にて拡声魔術により緊急避難指示が出されたのであった。



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