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踏み潰されたら異世界でした?雷神の魂と人の英知の伝承噺  作者: 喜雨子
雷と序列魔と女騎士は希望となる
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心を破壊する一撃

 


 アルガモの巨体には黒蛇のようなマナがくねり、踊る様に渦めいていた。

 黒蛇は意思を持つ様に乱暴に地形を砕く。


「独立してる?」


 だが、本体であるアルガモは頭を抱え動く様子は見られない。


「アルガモは何らかの状況で動けない?なら、私から仕掛けるッ!」


 勝機と言わんばかりのこの状況。うめきを上げ、己の中から発している黒蛇と共鳴しあっている。この隙だらけにアイネは魔術をぶち込む。


「炎の理滅せよ──火炎槍ファイアスピアッ!」


 アイネによる中級火魔術。

 炎の槍は掲げた掌で生成され放たれる。

 二メートルを超えた火柱の槍が炎の粉を撒き散らし轟音を立てアルガモの胴体に直撃する。


「アイネッさん? 強くない?」


「さんはいらないよリューズくん! 私が出せる最大火力の魔術、だけど………」


 爆散によりあがった土煙が晴れる。


 黒蛇がアルガモを守っていた。

 完全な無力化、全くと言っていい程ダメージの受けていないアルガモが眼を泳がす。


「オーダークリエイトッ! 魔法壁(マジックシールド)ッ」


 いち早くその邪悪な思惑、危険を察知したリューズがアイネの前に厚い魔法の壁を生成する。


 その直後────


「!」


 アルガモの周りを渦めく黒蛇、それによる直線的攻撃が伸びた。槍の突きを再現したかのような一点集中の、アイネに向けた殺意と憎悪の攻撃。


「……ッ」


 眉間にスレスレ、突き刺さらなかった黒蛇の槍。リューズの魔法壁を貫き自分の眉間ギリギリで勢いが止まった。

 もしリューズの魔法壁がなければ、アイネは眉間を貫かれ間違いなく絶命していただろう。その現実に吐き気を催す。


 確実なる死を今、体験したのだ──


「俺がやるッ! 下がってくれ!」


「あ、―――あ......」


 もはやリューズの声は遠くにあった。


 信念と強さを持ちここまで戦い続けてきた、何度だって折れそうになる事はあった。

 だけどアルガモは次元が違う、たった一手、アルガモにとっては何気ない攻撃だろう。

 だが、アイネの心を折るには充分すぎる一手だった。



「           」


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