序列魔
俺は大男のマナ保有量にびっくりしていた。
咆哮後、どう見ても力が増している。
間違いなくリミッターを外してやがる。
切って腐敗させても直ぐに傷口が塞がっていくし、切断したはずの腕も超修復によって元通りになっている。
「強すぎる、魔物ってこんな強い奴もいんのかよ!!」
乱戦中に解析をかけたが解析不能。
いやいや、そんな事あるの?俺自身に力がないだけ?
「ああくそっ────ゔっ!」
大男の渾身の右ストレートを咄嗟に刀で弾く。刀と大男の拳が鬩ぎあい、弾かれ後方へと押し返された。
どんどんどんどん大男の腕力が上がっていく。
『ヴオオォォォォオオオオッ"!!ッッッッオォォオォォォォォォオッ"!!!!』
──2度目の咆哮が俺を襲う。
鼓膜を突き破りそうなほど針と化した咆哮。
その声を超えた音は既に乱暴さを超えた凶器になりつつあった。
大男の周りのマナが黒く暗くまるで意思を持っているかのように畝るうねる。
当の大男も頭を抱えて畝りと同調しあう。
「少年っ! 私はアイネだ。先程は助かった、礼を言いたい」
礼? 右横に並ぶ人。
ああ、さっきの赤長髪の女性か。
「アイネさんね、俺はリューズだ。さっきのは俺も間に合ってホッとしたよ………あとこんな状況なんだが質問していい?」
「こんな状況だからこそ、なんでも聞いてくれ」
「あの大男ってナニモンなんだ? さすがに魔物って訳にもいかねぇーし、かと言って人か? と言われれば違うし?」
質問に赤い眼を見開く。
アイネは未だ頭を抱え吠える大男に目線をやり、口を開く。
「あれが何か分からず………あれは序列魔と呼ばれる厄災だ。一から二十八までいる災害級認定された魔物、いや魔物より更に上位のモノと考えていい」
なるほど、なるほど。
確かにぶっちぎりでレベルが違う。
ゲームでいうとラスボスレベルだ。
「あれは序列二十四魔アルガモと呼ばれている。今より六十年前の王国と帝国の魔戦争、その中で帝国の最終兵器として産み落とされた人工的な魔物だ………アルガモは屍人の魂を喰らい魂を求める魔物厄災になった」
「んなもん帝国に責任取らせれば良くないか?ハッキリ言ってこれは人が制御できる範疇を超えてると思うけど」
「帝国側はアルガモの存在を否定しているし、ある日突然現れ、厄災だけを撒き、知らずに消えるから討伐記録もない。前回の出現も八年前程だ。八十人以上の犠牲出し、簡易的に封印し対処した。とんだ人の災いだよ」
「──これが戦争兵器の成れの果てなのか」
「いやホント大災害だな、今も雄叫びをあげながら吠え続けてるし、耳が痛ぇし、そのまま消えてくれりゃいいんだけど、そんな都合のいいことないんだろうな」
「…………今、救援を頼んでいる。アルガモの魂を大方消費しきるまで封印するつもりでいる、だが」
「このまま放置すればハーバス王国に魂を求めて襲いにくる……か?」
俺の返答に赤髪を靡かなびせ頷く。
「そう、……ここからハーバス王国は近すぎる。人が多いというのは魂が多く集まるという事。間違いなく標的になる。だからこそお願いだ──!私と共に時間を稼いでほしい、リューズの力が必要だ 勿論終わった後、褒美を出すように王国にも掛け合う」
アージェ草の採取がイレギュラーにより最高レベルまで引き上がった瞬間であった。
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