表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
警戒と尊厳の選択  作者: 吉野貴博
2/2

上下の下


 D君微速で二人に車を近づけて

「どした」と聞くのですが、二人ともドアを開けながら

「やばいやばいやばいやばい」

「出せ出せ出せ出せ」と急かす。

 A君も「何があった?」と聞くんですが二人とも声を揃えて

「とにかく車を出せ」と言うだけで、出発してもとの道に戻るまで

「何があったか言ったら、Dは見たがる行きたがるだろ」としか言わない。

 元の道に合流してしばらくしてようやくC君が、

「あのトイレ、前に見た心霊DVDに出てたトイレとそっくりなんだよ。あ、一応〝実話〟って書かれてるソフトな、トイレの外側が同じってだけなら似たトイレがあるなってだけだろうし、中に入ってもそっくりなのはそういう設計なのかもしれん。

 けどな、その番組は、トイレの中にボストンバッグが置かれていて、ションベンしてる後ろでバッグがもぞもぞ動き出してファスナーが開いて、中から怖いのが出てくる話なんだよ」

「おぅ」

「トイレがそっくりなのはまぁいいよ、でもバッグの色や形、置かれている場所まで同じだったら、やべぇだろ!」

 ということでB君の腕を引っ張って車に戻ってきたと言うんですけどね、

 B君はまだ余裕があったから用を足さずに戻ってくるのは全然大丈夫なんですけど、C君は次のトイレを見つけるまで、ありとあらゆる努力をしておりました。


 ……で、ですね、B君とC君には聞こえなかったらしいD君の呟き、

「根性ねぇなぁ」が、A君には聞こえたんですけど、それが

「せっかくの怪異の状況なのに何も起こらないうちに出てきちゃって、もったいないなぁ」なのか、

実はD君、あのトイレのことを知っていて、ちょうどいいとC君を差し向けたのか、どっちなんだろう?と気になってるんだそうです。D君、一人であちこち廃墟探しやってますからね。

 まぁ聞けませんし、答えられたとしてもどう思っていいか困ることを言われるかもしれないので、聞けないっていうんですけどね。


 トイレには、本当に信用できる人とでなければ行かない方がいいんじゃないか、という話でした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ