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国守の愛 第1章      作者: 國生さゆり  
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富士子編  70 スパルタンとサヤの逃亡 1

  

  シーン70     スパルタンとサヤの逃走 1




 富士子をっているサヤの呼吸が上がる。無関心に二タ、ニタと笑いながらその様子を見ていた石橋は「もう気はすんだろう。サヤ」と普通に言い、瞬時に鋭くした視線で石橋を刺したサヤは「いいえ!こんなんじゃない!!まだ足りないわ!」とヒステリックに返した。「何がそう気に入らないんだ。高校時代から富士子のそばにいたお前は、随分ずいぶんといい思いをして来たと両親も証言してるし、そう調べもいてる」、「ハ〜〜ァ!」と声を上げたサヤは石橋に向き直ってにらみ「劣等感と!!引き換えにね!」と言った。うんざり顔のBは「うるさいなーー。もうやめなよ」と助手席から呑気のんきな声で言い、運転席に好色的な目を向ける。




 一気に威圧いあつを放った石橋が「サヤ、いい加減にしろ。金が入らなくなってもいいのか、富士子を痛めつけるのはかまわんが殺すな。死んだら、こっちの身が危なくなる」と鋭い声で差し込み、陰湿な顔にニコリと笑みを浮かべたサヤは「ごめんね」と言いながら、愛くるしく、石橋の左隣にすりよった。サヤの得意技だ。手練しゅれんした機転でサヤは男を虜にする。




 サヤはいきなり石橋に深い口付けを始め、石橋は応じる様子を見せず、サヤは“いいわ、そっちがその気なら焦らして狂わせてやる“と舌で石橋の口を犯し始め、破廉恥さをエスカレートさせてゆく。だが、石橋に変化はなく、焦らすつもりのサヤが先にもだえて石橋の両足の間に身体を割り込ませた。両手で石橋の両頬を挟んだサヤが「いい、5億は私のものだから」と言って、石橋のたくましい太ももの内側に右手をもどかしくもわせる。サヤは作戦変更しただけだ。



 石橋の作業ズボンのファスナーを押し上げ、反応し始めたコックをサヤの右手がもてあそぶ。石橋の耳元でサヤは「もう準備出来ている。素敵」うっとりした濡れた声でささやいてもみせる。




 だが、石橋の山羊の目にも似た皆無の目は何も見ておらず、まばたきすらしない。石橋がニタリとさせた口元をゆるりとあげる。サヤには石橋が何を考えているかがわかった。報酬ほうしゅうを手にした自分の未来を見ているのだ。



 サヤは山羊の目をみながら身体をしずめ、ファスナーを開け、そう遊んでいるかのようにその口で石橋が自分の体でもっとも、気に入っている自慢のパーツを飲み込んでゆく。サヤは舌先を回転させながら、喉の奥をしぼって先端せんたんとらえ、スローに頭を揺らす。



 サヤは石橋が好きだと心得こころえているペースを保つ。




 昇りつめ始めた根元をサヤは両手で握り、口をゆっくりと後退こうたいさせてゆく。先走りの滴がれる先端を丹念に舐め上げ、あやすように吸い上げる。犬が芸をしても人がお預けするように、サヤは自分の行為に酔いしれながら、何度となく繰り返す。冷笑を浮かべた石橋がサヤを見る。くわえたままのサヤが目を上げると、山羊の目にえんともっていた。サヤは逃さない。目尻に笑みを浮かべたサヤは立てた舌先をあてがうように下から支え、ムカデがうように飲み込んでゆく。サヤは折り返す。ゆるりと、のろく、サヤは数をかさねてゆく。



 石橋の太ももがしびれたように痙攣けいれんし始め、「う」とらした石橋の呼吸が乱れ始め、サヤは舌先で細い血管が太くすじばったのを感じ、そこを狙って舌先を繊細せんさいに使う。サヤは密かに“来る“と思う。だか、サヤはおくびにも出さない。気配けはいぎ取られたら石橋は興醒きょうざめすると、経験からサヤは知っている。それでは長引く。面倒だ。どうして男はこういう時だけ献身を美徳とする⁈ バカきわまりない。種付けを本能とする男たちは視界が狭い。先を見ない。しつこい!!だがサヤは女を使って低脳にいそしむ。さっさといけ!!無垢むく気取きどってサヤははげむ。



 「うっ」と掠れた声を発した石橋が腰を引く。サヤの加虐心に火が入る。石橋の太ももを両肘りょうひじおさえつけ、コックを握る両手の力を極限まで強めていかせない。好きでしょうー、こうされるの。まだ、まだだから!私を刻みつけてから殺してあげる。さぁー、もう一度、声を上げなさい。私に平伏ひれふし、懇願こんがんしなさい。いつものように「いかせてくれ」と鳴け!!!私はあなたのくせを知っている。首を振り、サヤは加虐のままにしゃぶり尽くして痛めつける。



 恍惚こうこつとした石橋が痙攣けいれんを強めた。サヤは頬をしぼる。「くっ、」快楽をはらんだ石橋はサヤの髪を両手で握りしめ、サヤは押し込まれると覚悟する。だが、逆に、顔を後ろに引っぱらられスポンと間抜けな音がした。息が上げる石橋が「や、めろ!!こんな事、してる場合じゃ、ない、んだよ!」と言葉をはずませる。石橋はサヤの両脇を乱暴にすくい上げ、サヤを払いけるように左隣りに転がした。初めてだった。こんな事をする石橋は初めだった。こんな事をする男もいない。まずは自分の快楽をてから邪気にする。男はそういう生き物だ!!馬鹿なのだから!!!!そうする事がもっともだ!!チキショウ!!!・・・快楽を遠のけるほどに・・液体デイバイスにご執心しゅうしんだというの!!!・・・サヤの計算が追いつかない。“富士子“、富士子がこの男を変えた!!とサヤの脳裏ににぶひらめく。




 サヤに目もくれず、ジッパーを上げながら、行為をらんらん々とした目で見ていた助手席のBに、山羊の目を合わせた石橋は「お前、どこまで液体デイバイスの製造ができるんだ?」と聞く、「それを聞かれて正直に答えたら、私の保険が無くなるでしょ⤴︎⤴︎なに試してんの〜⤴︎ほんと失礼な男」Bの濡れた声が答える。




 石橋は笑い声を上げながら「お前、いつ、そんな知恵付けた」と返し、「生まれた時から」とおおじたBも赤い口で笑う。助手席から身を乗り出して石橋をギョロリとした目で見たBは「あなたは、いつ、サヤをこんな風にしたの」と踊る声で聞き返す。




 サヤはBにさげすむ目をくれ「見てるんじゃないわよ、ゲスの変態!クソ、オカマ!前向きなさいよ!!」と声を上げ、Bの座席を後ろから蹴り、Bはドンと前に押し出されて「ほんと!!やな女!クソ、ビッチ」と負けず、サヤに軽蔑の眼差しを向けて「だたの、肉人形のくせに」と毒を吐く。




 その目を見たサヤは憎悪が見るとしたら、きっと紫色だわと思う。でも、人は紫を高貴な色だと言う。どこがだよ。アクギカイ科の貝類から微量しか取れない染料を古代人が高価たかね=高貴と定義づけしただけの話でしょう!!母さんの目の周りにできた紫色、吸い尽くした後のくちびるの色、太陽が月に明け渡す時の色、紫は表記上、黒に近い。馬鹿らしい!!!不吉な色よ。サヤは急に冷め「疲れたわ。少し寝る」座席に座り直して目を閉じた。もちろん寝る気はない。いつか、Bのあそこを切り落として、穴を作ってやろうと妄想する。先をとがらせたパンナイフで・・と考えたら武者震むしゃぶるいが出た。近いうちに・・・そうしよう、最高。もう石橋はBをいらないはず。




 石橋が富士子を手に入れて、どう出るか・・・身をあたえてためしてみたが・・・・私に対する態度が変わった。それでもお金を手にするまでは石橋の庇護ひごは必要だ。身体以外に石橋を引き止める何かをしなければ・・・何かなかったかしら・・あっ、あるじゃないLOVE。そうだ、この手があった!!私って、天才。




 腕を組んだ石橋が「おい!丁、スピード落とせ!合流わかっているのか、左に寄れよ!ここで時間ロスしたら追いつかれるぞ」と運転する丁に声を張る。「明白了」と答えた丁に、「何が了解だよ、お前日本語話せるだろうが、国立大に交換留学してたんだよな。俺の前で、その言葉二度と使うな。殺すぞ」石橋はいまいま々しく言い、「了解しました。ボス」と日本語で繰り返した丁はスピードを上げながら、バックミラー越しに獲物を仕留しとめる目で石橋をチラリと見るや「ボス、あいつら、今頃、パニックになってますよ」丁はびるように言う。




 鼻を鳴らした石橋は「特戦は優秀だ。このぐらいのことで冷静さは失わん」と断言する。石橋の表情をさぐるように見ていたBは「仕掛しかけといて、なにめてんの。未練がましい」呆れたような口調でわざと言ってやる。すると石橋は背からグロッグを出し、Bに銃口を向け「ここで死にたいか。お前の保険なんぞ、もう糞の役にも立たないんだよ。利口ぶった口を回すな」左顔面を引きつらせながら、冷血にそう言った。




 「アハハ〜、そうなの」と笑うBは前を向き、液体デイバイス製造技術を自分だけのものにしなければと密かに思う。





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