富士子編 69 アルファ始動
シーン69 アルファー始動
HONDA VFR800Xで富士子を追尾する要は公道から首都高3渋谷線上りに乗り、熊野JCT を越え、首都高中央環状線を目指して破竹の勢いで走行させていた。
速度はとっくに限界を超えていて要の内耳にモニターに[送る。トーキーからイエーガー、運行速度を落として下さい。これ以上、我々と距離が離れると、バイクに取り付けてあるアンテナの中継範囲を超えます。そうなるとミニと先行しているローバーとの通信が不可能になります]と後方のミニに乗るトーキーから通信が入る。
[お前たちが上げろ!先行しているローバーは今、どこだ!]と要が声を張る、[送る。トーキーからイエーガー、美女木JCTを超え、外観自動車道に入りました]、そこへ拠点の喫茶店mapから本陣との中継、情報解析、アルファーの後方支援をしているターキーが割り込む。
[送る。ターキーから総員。監視カメラ映像の3人を顔認識と体格認識にかけました。Bとサヤは本人に間違いありません。本社ビルのスパコンに潜入して、Bとサヤに関するデーターを抜き取りしました。Bの給与、カード決済等々で使用している取引銀行を調査したところ、Bの残高全てが香港の国際銀行に移されてます。海外逃亡の可能性ありです。ただ、どこも経由させず、直接送金しているのでブラフかもしれません。サヤの金の動きはこれから調査します。作業員の男はまだ特定出来ていません。顔写真を各自のスマホ、ディバイスバイザーに送信します。面識の有無確認願います。なお、こちらも内耳モニター不明瞭になりつつあります] ピリリとする声と正確無比なテンポを保ちつつ語る。
[了。送る。イエーガーからトーキーとターキー、コロンブスに進言してアルファーの内耳モニター通信を、3週間前に打ち上げた最新の衛星に追いかけさせろ」と要が入れると、2人は同時に[了]と応えた。
作業着の男の顔写真をメットのデイバイスバイザーに呼び出した要は男の特徴を脳ミソに刻み、アウトさせるや車体に身体をより密着させてアクセルを開きながら考える。
この男は誰だ❗️どこかで会っているのか!!誰だ!!!と。そこに[送る。トーキーから総員。富士子の発信器信号三芳パーキングエリアに入りました]と入り、ローバーで先行している宗弥が[要、俺たちは大泉まであと1キロ!]と叫ぶ。
[了]と応えた要はメーターを振り切らせる。[送る。トーキーからフレミング、大泉JCTから三芳パーキングエリアまで約5キロ」と伝え、宗弥が[了]返した時、トーキーが[あっ!!途絶!富士子の発信器電波途絶しました!!アクセスし直します!]と声を上げる。
大型トラックを右の路肩から大胆に追い越しながらの要が[送る!イエーガー!からターキー!関越道料金所ゲートの監視カメラに潜入し、全ての通過車両のデータ収集!]と指示し、ターキーから[了]と入る。
[送る。トーキー]と言った直後にガァーッと雑音が入り、[富士子の発信機電波ロスト!!!完全ロストしました!!!!]トーキーが絶望の声を上げた。
アルファーは、富士子の行方を完全に見失った。
宗弥が[クソッ!!!!]と激しく呪う。聞いた要は[まだだ!!総員に告ぐ!諦めるな!!!!このまま関越に入れ!!]魂で指揮を執り、加速を極める。




