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国守の愛 第1章      作者: 國生さゆり  
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富士子編  13 行動  後半




   シーン13 行動  後半



 その一部始終をローバーの車内から見ていたチャンスは、速攻で車から降りるや、全速力で要の元に向かう。要は視界の端でチャンスをとらえ「火災が起こるかもしれない!!ダンプカー運転手の情報収集!!!ショットガンが車内にある。回収急げ!!行け!!」と叫び、国男の車にとりついた。



 チャンスはダンプカーの助手席側から、天をあおぐフロアパネルに駆け上がり、運転席をのぞき見て、シートベルトで宙吊りになっている運転手の首に、そろえた人差し指と中指の右手を当て[送る。チャンス。イエーガー、運転手死亡。白人男性。これから指紋、目の光彩こうさい、顔写真を撮影してターキーに送信します。DNAサンプル、ショットガン、持ち帰ります]と入れる。



 国男を車から運び出しながら[了。撮影した写真をトーキーと本陣にも送れ。トーキー、ターキーと連携れんけいして認証にんしょうにあたれ」と要は指示し、横たわる国男の負傷度合いを確認し始めた。



 右鎖骨みぎさこつに、慎重な右手人差し指をわせてゆく。骨折を感じ取る。その直後、顔をしかめて眼球がうごめかせ、薄くまぶたを開けた国男が「助手席に…赤の…ジュラルミンケースがある。回収して…くれ…」と呟いて意識を失った。



 駆けつけたファイターが「おい!!大丈夫か!!」と要に問いかけ、要は「僕は大丈夫だ。国男は右鎖骨を骨折している。救急車の手配を頼む」と応急処置しながら言い、ファイターは「連絡済だ!」と答えつつ要の右隣に片膝をついて座り、要に向かって開口しかけたが、要はそれをさえぎるように「ファイター、代わってくれ」と頼んだ。ファイターは思いとは別の「了解」と答えるしか無く。


 


 立ち上がった要は周囲に警戒の目をくばりつつ[送る。イエーガー。総員。国男の車に突入したダンプカーを阻止。国男は右鎖骨骨折。現在、意識不明。フレミング、西浜医師に連絡を頼む。ターキー、ファイターと僕が発砲している。警察の現場検証で薬莢やっきょうが発見される。本陣に事の収拾しゅうしゅうを頼む通信を入れてくれ。チャンス、密会予定だったアメリカ情報士官が、付近に潜伏しているはずだ。周辺写真を撮りまくれ。撮影した写真をターキー、トーキー、本陣に送信]と入れ、ターキーから[了。本陣には連絡済みです]と入り、サイレンが海風にのって聞こえ始めた。



 [送る。イエーガー。トーキー、消防無線に割り込んで、国男が西浜病院に搬送されるよう工作してくれ]と指示する。即座に[了。周波数あたってます]とトーキーから入った。



 急がなければ、、、、警察、消防、こちら側、入り乱れての管轄かんかつ争いが始まる。政治的な事が介入かいにゅうしてくるかもしれない。その前に、全ての証拠を確保しなければ・・と考えながら要は[送る。イエーガー。チャンス、証拠確保急げ。じき、警察と消防が殺到する]、[了]とチャンスから返信がかえる。




 上半身をかがめ、運転席側から車内に入った要は赤いジュラルミンケースを探すが、後部座席にはない。助手席の下に右手を入れると感触があった。[送る。イエーガー。ファイター、チャンス、僕は誰かに見られてるかもしれない。本陣の担当者が到着するまでローバーにいる]と言いながら、座席下にめり込んでいるジュラルミンケースを、力任せに引っ張り出した。




 ケースを右手にローバーへと歩きながらの要は[送る。イエーガー。フレミング、富士子の周囲に異変はないか?]と入れ、[変わりない。西浜先生の了解も取った。富士子はまだ会社だ]と言った宗弥の声はしぼんでいた。要は[了。そうか]と短くおうじる。




 富士子は父親の事故に、どれほど心を痛めるだろう。負傷させてしまった。クソ!!!アルファーが!!警備していながら!!クソ!!要の心の叫びは止まらない。クソ!!!




 ローバーの後部座席に乗り込んだ要は[送る。イエーガー。本陣。事故を未然に防ぐ事ができませんでした。申し訳ございません。ダンプカー運転手の人物特定を至急でお願い致します]と入れた途端に、[送る。本陣コロンブス。イエーガー、了解した。すでに着手している。じき判明するが、高度な政治判断が必要になるだろう。各省庁との協議を待たれたし]部隊長コロンブス自ら、ちょくで釘を刺された要は[承知いたしました]とこたえるしかなかった。






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