そして彼は動き出す
よんなな会。「47都道府県の地方公務員と中央省庁で働く官僚をつなげることで、日本全体を有機的につなげることを目的とした会です」
ふむふむ。HPを見ると、祭りかこれ? というぐらいありえないぐらい大量の人が集まっている。もう感覚としては完全に祭りに近いのかな?
よんなな学校。学校とな? ほうほう……、学生主導の分科会がある訳か。これは……割とガチで面白そうだな……。しかも自己紹介でめっちゃ説明が長い子いるけど、この人の使命感まじ強いな……。読んでるだけでちょっとカッコよさ感じたよこれ。結婚したい(早い)。
というかさっきから結婚したい候補が多すぎて辛いです。
なるほど、HPはじっくりと読み込むことができた。
「公務員の人が大きく繋がるだけだと、どういうことが起こるのかわからないですね……」
「HPを見ただけだとそうなるよね、後者の記事も読んでみりん?」
突然の三河弁……。行動を促すときに使う「してみりん」のみりんじゃないですか……。響きの可愛さと戦場ヶ原先輩の可愛さが合わさってもうやばい。甘いのに甘いの重ねるシロノワールぐらいヤバい。
俺は心震えるヤバさに感じ入りながら次の記事の方も見てみる。とりあえず自分の語彙力もヤバいことは気にしない。
記事を読み進めるうちに、『【神奈川県庁 脇雅昭氏:第6話】このままだと そのうち死ぬわ』の中で、脇さんが実現しようとしている世界観が見えてくる気がした。
「志を持っている人」つまり「誰かとつながったりしながら、明確にしていきたいことがある人」などを一堂に会することで、効率的なマッチングの場を作ろうとしているのだろうか? なるほど、確かに明確な志がある人は、相手を見つけ出し、そこから新しい価値を生み出すような動きを取っていきそうだ……。
てか、戦場ヶ原先輩みたいな人がいっぱいいるみたいな感じか?
それはもうなんというか、洒落にならねえ……(やっぱり語彙力)。
「戦場ヶ原先輩」
俺はスマホから顔を上げて先輩の方を見る。
先輩はんー?とスマホに落としていた顔を上げ、くいっと口角を上げてみせる。
それは天使のような笑顔というよりはむしろ、ニヤリという表現が似合うような顔立ちで。
「平家君、さては面白かったんだね? 目が輝いているよ?」
「あれ、分かりますか?」
そう、予想以上に面白そうだと思った。
公務員が悪くないかもしれない、そういう想いを手に入れるためには、まさしく絶好の場所なんじゃないか。
自分自身が公務員試験に臨む前に、絶対に行ってみるべきだと素直に感じることができた。
「先輩、俺、よんなな会行ってみようと思います」
「よろしい。ぜひ楽しんできてくださいな」
戦場ヶ原先輩はぐっと親指を立てて俺の背中を押してくれる。
「あと、実際行ってみてよかったら、周りの公務員志望の人とかに拡散していくのもよろしく! たまに知らない人とかいたりするからね」
「まあ、俺自身も知らなかったですしね……」
「うんうん、知らないだけでこういうチャンスをつかめないのはもったいないからね」
そういって先輩は最後のコーヒーを飲み干す。
俺はもうすでに飲みきってしまっていたので、これで二人ともコーヒーを飲み終わった状態だ。
「じゃ、そろそろ帰りますか」
「……戦場ヶ原先輩、ありがとうございました」
俺は深々と頭を下げる。
「いえいえ、私が単純におせっかいしたかっただけだから」
戦場ヶ原先輩は何も気にすることはないよといった風に言ってくれる。
そして俺たちは空になったカップを戻し、知るカフェを出た。
「じゃ、私はこっちだから」
「わかりました、俺は授業に向かうのであっちにいきます」
「ん、じゃあまたね! もし行ってみてなんか違うなって思ったりとか、逆に良かったら報告ちょうだいよ!」
「もちろんです! ありがとうございます!」
「おけ、じゃあまたねー!」
そういって戦場ヶ原先輩はひらひらと手を振りながら歩き去っていった。
俺はその後姿を見送った後、講義に向かった。
よんなな会の『How to Join Us 参加するには』の隣に表示されているRead Moreをタップして、次に何をするべきかを探りながら。
読んで頂きありがとうございます、これからもこういった視野を広げていける情報提供ができる話を戦場ヶ原闘子を通じて書いていければと思います。
また、自分自身、大学時代も社会人になってからも、個人的な趣味として多くの人の進路相談に乗ってきたので、色々な観点で相談に乗れるかと思います。
学生さんの進路相談など、下記の質問箱peingで受け付け中です、匿名なのでなんでも来てくださいな笑
https://peing.net/ja/4d568f229f6512?event=0