紫な人
とある駅近ビルに私はいました。
理由は新しい仕事の面接のためです。
なぜか職場環境や仕事内容は知りません。
面接相手は社長で、細身の黒い服にショートヘアなんですが、髪の一部分を紫に染めていて、とても派手でパワフルな感じの人です。
「なぜ美容室…。しかも派手すぎる!!」
社長がずいっと顔を近づけ「あなたは資格も技術もないけど、写真をみて決めたの。」と真顔で迫ってくるのですが、私は恐ろしくて何も言えません。
助けを求めてまわりを見渡すと、スタッフ全員、髪の一部を紫に染めており、私の視線に気づいた一人が「ここは全員髪の一部を紫に染める決まりになっているの。あなたも似合うわよ~。今日染めて帰る?」
と、同じくずいっと顔を近づけて迫ってきました。
やっぱり恐ろしくて、逃げるようにその場を後にし、思わずつぶやいてしまいました。「ないわ~。紫はないわ~。それに同じ美容室なら、2階のナチュラルな感じの店が良かったわ~。」と。
駅に向かうため地下に降りたのですが、恐ろしさのあまりうっかり降り口を間違えたため、駅近ビルが出来たせいでさびれた地下街に入ってしまいました。
天井が丸くなっていて、レンガ造りのとてもレトロでおしゃれな地下街で、「もったいないなあ」と思いながらぶらぶらした後、心が穏やかになったので地上に戻りました。
ここで目が覚めました。