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おおきに おおきに
車が一台やっと通れるぐらいの細い道。
その道沿いの私の家の道路向かいの家から、急に人が現れました。
シマシマの囚人服に帽子、前かがみで腕を前にぶらりとおろし、足は開いた状態で中腰のまま、左右に揺れています。
「この人逃げてきたんだ」と思った私は、「こっちに入って」と私の家のドアを開けます。
すると、道路をビュンと飛んでまたぎ、家の中に入っていきました。よかった~と前を向くと、また同じ格好をした人が飛び出してきました。同じように逃がすとまた同じように人が飛び出してきます。
ビュン ビュン
何度か同じことを繰り返すうち、そろそろ見つかりそう、ヤバイかもと思い始めた私は、ちゃんと逃げれたかどうか確認しに、家に入ると…。
『おおきに おおきに』
家の裏の砂浜で、『丸くて小さな黒いカニ』たちが、横歩きで行進していました。変身したのか、本来の姿なのかわかりませんが、逃がした人たちのようです。
「ほっ、良かった。」
ここで目が覚めました。