25/36
逃げ切れた
読んでくださり、ありがとうございます。
数人の同級生と西校舎から本校舎へと歩いていました。
ちょうど本校舎にさしかかった時、
「ひたすら走れ、つっきるぞ。」
誰かが声を潜めて言い、みんなで手を繋ぎ走り出しました。
私は仲の良い友達がいない事に気付き、戻ろうとしましたが、
「あいつは大丈夫。外から自転車で来るから。」
と手を引っ張られ、また走り出しました。
とにかく無我夢中で走る、走る、走ります。途中、何度もまわりの人たちが何か見えない者に足をとられ、体の形が歪んでゆくのを必死に助けながら。
それでも必ず仲間と手を握り合っていたので、不思議と不安になる事はありません。無事、本校舎の東端まで走り抜き、外に出ることが出来ました。
仲間と笑いながら無事を喜んでいると、仲の良い友達が自転車に乗って、笑いながらやってきました。
『みんな 逃げ切れたぁ』
ここで目が覚めました。




