表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/36

黒焦げ牛蒡の仕返し

読んでくださり、ありがとうございます。


『それ』は突然やってきた。



いつもは聞こえないはずのエレベーターの動作音。そして、停止音。あり得ないほどゆっくり扉が開く音。一瞬の静寂の後…。


カツン。


靴音と共にけたたましい音楽と、マイクで何かを叫ぶ声が響き渡る。『それ』は派手な電飾で着飾り、ピカピカ光りながらマンションの廊下を歩きだした。


『私』の部屋の前を『それ』が通りすぎ、音と光は遠ざかっていった。しかし、『私』がホッとしたのも束の間、『それ』は途中で歩みを止めた。


スーッ


『私』の部屋の小窓がひとりでに開くと同時に、『それ』はゆっくりと後ろ歩きを始めた。そして、『私』の部屋まで来るとピタッと止まり、『それ』は笑いながら小窓の中を覗きこんだ。


「ヒッ!」


恐怖で隅に隠れたが、余りにもまぶしい光と鳴り止まない音に『私』は覚悟を決めた。


ダンッ!


勢い良く窓を開けると『それ』は消え、マンションの至るところから、柵を飛び越え逃げていく沢山の人影が。



『私』は脱力し、つぶやく。「のぞき…たくさん…」と。




消えた『それ』は笑う。「素揚げに失敗して黒焦げになった牛蒡の仕返しだ」と。




ここで目が覚めました。

ええ、確かにその日、牛蒡の素揚げに失敗しましたとも。


評価してくださった方に感謝です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ