第九話 大学
倉沢とかおりを送り出した卓也は、早速出かける用意をし始めた。
「いいのか?あの女で」
「相変わらず神出鬼没だな。いいんだよ、下手に大人しいのと一緒だと何にも買わないかも知れないだろ?かおりがあのテンションについていけるとは思わないけど、今までいないタイプだと思うから、いい経験になるだろう」
「どうなるかな?」
卓也が家を出ようとしたとき、樹が現れた。
「さあね」
卓也は楽しみだと言って家を出て行った。
卓也は今年の春から大学生になった。
しかし、術者としての仕事や『組織』との付き合いなどであまり行ってはいない。
『組織』から大学に話を通してあるので、レポートや試験が上場なら留年などにはならない。
卓也は、かおりを引き取って以来行っていなかった大学に久しぶりに来た。
卓也はまず、今日受ける講義が休講になっていないか確認したあと、幾人かの教授に会い、少し話をした。
「うし、終了」
卓也は教授から開放された後、講義まで時間が有るのでラウンジに向かった。
卓也は、ラウンジで軽食を取りながら、レポートをやり始めた。
「珍しいものを飼い始めたそうだな」
卓也の背後にスッと一人の人間がたった。
その人間は、金色になるまで髪を脱色し卓也より少し年上に見える男性だ。
名前を新井波 一と言う。
「確かに珍しく俺と同居できるな」
卓也は振り返りもせずに言った。
「いつまでそのおどけた態度が出来るかな?」
新井波はそう言うと去っていった。
(あいつは何がしたかったんだ?それに…なぜかおりのことを…)
新井波が卓也を見かけると、今のようにちょっかいを出すのはいつものこと。
卓也はそれに関しては気にはしていないが、問題は内容だ。
新井波は『組織』の人間ではない、確かに『組織』は時にまったく関係の無い民間人を金や情報で使ったりすることがあるが、卓也の知る限り新井波が『協力員』になったことは無い。
それに、万が一あったとしても『協力員』にかおりの情報が流れるのはおかしい。
(とりあえず、警戒だけはしておくか)
卓也は新井波を頭の中で一般人から警戒人へと移動させると、夕方まで講義とレポートに全てを費やした。
私自身があまり長いお話が読めない人なんです…これ以上書くとお話が把握出来なくなりそうなんですが、切れないんです…困っています…どうにかして、あと二話ぐらいで終わらせようと思います。もうしばらく、付き合ってください。