第一話 出会い
その子は、たった一人でいた・・・。
病院の個室のような部屋にいた。
その部屋は、窓がなく、床、壁、天井全てが白かった。
その子は、少女だった。
十五、六歳の少女だった・・・。
少女は、ただそこにいた。
何かをするわけでもなくただそこにいた。
少女は、髪が長く背中の中間ぐらいまであった。
顔は、目は光なく力なかったが、澄んだ綺麗な目をしていた。
服は、白く簡単なワンピースのようなものを着ていた。
少女は、少し顔を上げてドアのある一角を見た。
少女が、見ているとそのドアが静かに開いた。
そのドアから、一人の少年が入ってきた。
その少年は、口元に笑みをうかべた優しそうな人で、十八、九歳くらいだ。
その少年は、少女に近づいていった。
「ここから、出してあげる・・・一緒に行こう」
少年は、少女に手を差し出していった。
少女は、少年の手を見、顔を見た。
少年はただ、少女に微笑みかけていた。
少女の目に段々と光が宿ってきた。
その光は、意思の光だった。
少女はゆっくりと、手を伸ばし少年の手に重ねた。
少年は優しく、しかししっかりと少女の手を握った。
少年は、少女の手を引き、ドアから外へ出て行った。