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閑話6 その頃の日本政府

今回のお話は作者が書きたかったお話です。

今回のお話にも色々と違和感や疑問等があるかもしれませんが、作者はある程度物事に理由をつけて後は、勢いで押し切ろうと考えています。

決定的に破綻してなければ後は勢いで補えばいい!


もしこのお話を読んで、違和感を強く感じ勢いを寒く感じられた読者様は今後もこの作品を楽しめないと思います。

作者の力量では満足させることができません、申し訳ない


4人の男が一つの部屋に集まり話をしていた。

一人は日本の総理大臣である、小尾 傳おお ひろし

その隣に座っているのは防衛大臣、神成 かむい とおる

小尾の対面に座るのは、ダンジョンから出てきた魔石等の研究を行う博士である、西 孝弘にし たかひろそんな3人から少し離れて座っているのが農林水産大臣である、柳 光やなぎ ひかる


柳以外の三人は実に気楽に雑談をしているが、そんな様子を見ても柳の緊張が解ける事はなかった。

そもそも柳はこの3人と仲が悪い、彼はダンジョン開放派の人間であり、総理大臣や防衛大臣はダンジョンを開放したがらない。

わざわざ自分を呼び出してどういうつもりだ?と柳が考えていると。


「さて、どうやら柳君の緊張を解く事が出来なかったようだね、それでは話を始めようか」

そう言うと柳の元に何枚かの資料を西が渡す。

この西という男も柳は好いてはいなかったが、それでも礼を言うと、手元に渡された資料を眺める。


「今回、柳君を呼んだのは、解・体・というスキルのデータがある程度集まった事で問題が発覚したからだ、柳君、ダンジョンについてはどの程度知っているかね?」

小尾が柳に問いかけるが、柳は首を横に振る事で答える。

自分はダンジョンについてほとんど知らないと言う意味だ。

そもそも柳の仕事はダンジョン外の事がメインであり、食料の生産体制を短時間で整備したりと、忙しかったのだ。

その為、自分の仕事に一切関係のないダンジョンについては興味がなかったし、調べる時間も足りなかった。

彼が知っているのはダンジョンで倒したモンスターは持ち出す事が出来ないという事、それと、モンスターの肉や、ダンジョン内になる果実は恐ろしくまずいという事だけだ。

とはいえ、彼とてゲーム世代の人間である、ダンジョンについては()()()()()()()()

「そうか、じゃあまずは解体によって発生した問題を説明しよう、解体のスキルの検証を行った結果、解体のスキルによって手に入れた場合に限り、ダンジョン外にモンスターを構成している物質を持ち出す事が出来る事が判明した」


「それはよかったですね」

ダンジョンに対する興味が薄い柳は、そんなどうでもいい事を話す為に自分を呼んだのかと機嫌を損ねる。

だがそんな柳に対して神成は深く溜息をつく、その溜息が自分を馬鹿にしたものだと感じた柳は神成を睨む。


「二人ともやめたまえ、まったくいいかね、これは君にとって大きな問題になる事なのだよ、君が先ほど言ったように、ダンジョン内の食べ物はまずい、だが()()()()()()()()()()調()()()()()食べた場合だけは例外という事が分かった、これがどういう意味かわかるかね?」

柳が首を傾げると、小尾は話を続けて。


「つまりダンジョン内で手に入る果実は、そのまま食べる場合に限り美味な果実という事だ、しかもダンジョン内には大量になっており、年中とれる、さすがにとった翌日にまたなったりはしないが、それでも1週間もすれば再び収穫可能だ、さて、これは果実をメインで扱う農家にどういう存在になるだろうね?」


ダンジョンは国内に100以上ある、しかも階層毎に休憩地点があり、休憩地点毎に果樹がある、大量の冒険者が果実を解体で手に入れるようになった時、果たして農家はどうなってしまうのか?

ここで初めて柳の顔が歪む、彼の予想では決して愉快な事にはならなかったようだ。


「さらに問題となった事がある、彼が解体で手に入れたウサギの肉を、調()()()()()()()()調()()()()()筋張ってはいたが十分に食べられる料理になったのだよ」


柳の顔は本格的に歪んだ、それはつまりダンジョン内のモンスターから肉の調達が可能という事である。

日本の畜産業は5年前から大幅に拡大している、それは目の前にいる総理大臣が、今の日本の状況を予想し、輸入による肉の調達が難しいと考えたからだ。


失業者を第一次産業に無理やり就かせて食料の生産能力の向上を図った、だがそのやり方は無理やり第一次産業に就かせられた者からすれば不満でしかない。


それでも、生きる為にしかたなく働いていたのだ、そして5年かけてやっと本格的に食肉に加工できるようになった、そんな時期に

「ダンジョンで肉取れるようになったからこれからは安く肉をおろしてね!」

そう言われたら彼等はどう思うだろうか?仕方ないなーで済むとは思えない。


「ま、すぐにモンスター産の肉をおろすつもりはないけどな、まずはこのモンスターの肉を食っても体調不良が起きないかを確かめないといけないし、もしかしたら、モンスターの肉を食うだけでレベルが上がるかもしれない、そういう事を長い時間かけて調べなければいけないだろうしな」


そう言ったのは神成防衛大臣だ、彼にとって最悪なのはモンスターの肉を食べるだけでレベルアップをするという現象が起きた時である。

幼い子供がレベルアップし、怒りに任せて力を振るうようになれば?

もちろん肉を食べてレベルが上がるなら、人間同士で怪我等を確率は今まで通りだろう。

だが、建物等はどうだろうか?レベルが上がった子供が、怒りに任せてビルを蹴った、その結果ビルが倒壊し、金銭的な被害が多く出てしまったら?


人はレベルに対応できる、だが建造物等は今だにレベル性になったこの世界に対応できていない、だからこそ、物事は慎重に進めなくてはいけないのだ。


また例えレベルが上がらなかったとしても、今まで食べなかった物を食べる事で感染病等が起きる可能性は否定できない。

今までに食べた物(主人公や自衛隊員)には異常はないが、レベルを持たない民間人にも安全であるという保障は今の所ないのだ。


「そういう訳だから、しばらくはダンジョン産の食べ物が外に出る事はないだろうな、しばらくは隔離した罪人を中心に食わせて、その結果待ちだろう」

神成の言葉に、柳は立ち上がり、机を叩き

「人体実験をするというのですか!彼等にも人権があるのですよ!そのような事は認められません」

そう言って神成に掴みかかろうとするが、西が間に入って柳を止める。


「ふむ、柳君が言う事ももっともだ、人権、すばらしいな!だがな柳君、世界は変わったんだ」

そう、世界は変わったのだ、ダンジョンが現れて5年、今だにダンジョンについてまったくわかっていない


「5年間、ダンジョンは我々に対して牙を向かなかった、だが次の5年はどうだ?その5年後は?10年後は?誰が我々の生命を保証してくれるのかね?」


一度呼吸を整えて神成は続ける。

「我々の未来はまったく先が見通せない真っ暗なのだよ、まるでダンジョンのようだね、我々はその真っ暗な未来に対して国民を守る責任があるのだよ、時には9人を生かす為に1人を切り捨てなければいけない、それが今の我々政治家の立ち位置だ、君にその覚悟はあるかね?切り捨てられる1人を選択する覚悟を持てるかね?切り捨てた人間に親しい人間からの恨みを背負う覚悟は?切り捨てた人間の恨みを背負う覚悟は?ないのならすぐに大臣を辞任したまえ、これから先、我々政治家が進むのは国民の未来の為に国民を殺す修羅の道だよ」


あまりの神成の勢いに柳は反射的に疑問を口にする。

「なぜ、神成大臣はそこまでの覚悟を持てます?何が貴方にそこまでの覚悟をさせました?」


その言葉に、神成はニヤリと笑うと

「ここで日本を救えれば歴史に名を残す偉人よ、失敗すりゃ大罪人だが、男ならこんなチャンスを与えられて燃えねえわけねえだろ?お前さんはどうだ?」


他の二人を見ても同じように笑みを浮かべて彼を見定めていた。

「色々と教えてくださりありがとうございました、私は色々とやらねばいけない事ができましたので失礼します」

そう言って柳は部屋から出ていく。


柳がいなくなった部屋で、神成は小尾に話しかける。

「小尾さん、賭けをしねえか?あいつが政治家を続けるか、やめるか」

「いいですけど、私が賭けた反対に神成さんが賭けてくれるという事でよろしいですか?」

「それじゃあ、だめだ分の悪い賭けは嫌いだが、10:0で0に賭けるほど酔狂じゃねえよ」

そう言って2人は笑い合うのだった

子供の未来の為に、身を削るおっさんがいてもいい、むしろそういうおっさんが好きです。

だから僕はそういう作品を書きたいのです!

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