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閑話5 てんさいしょうじょ エリカ

よかったな、太郎、ヒロイン候補だぞ

「あのなんでわざわざてんさいがひらがななんですかね?」

二人の男女が机を挟んで向かい合って座っていた。

男の方は高価なスーツを着ているが、そのスーツを腹が押し上げていた、薄くなった髪の間からは絶え間なく汗が流れ、顔を濡らしている。


対して女の方はそんな男をネズミをいたぶる猫のような目で見つめる、誰がどうみても、少女の方が力関係が上に見える、異常な光景だった。


「エリカよ、お前は本気で言っているのか?我々は戦後常に日本を裏から支えてきた、いや、我等こそが日本を作ってきたと言っていいだろう、そんな立場である我々が、現政府の下に付くと言うのか?」

男は、エリカと呼ばれた少女は、目の前の父親はいったい何度同じ質問をするのだろうかと呆れていた。


確かに我が家は日本の黒幕だの、フィクサーだのと言われていた時期はあった、だが時代、否世界は変わったのだ、ダンジョンと呼ばれる存在が現れた事で世界は大きく変革していくだろう。


そして世界が変わった時、自分達が築いてきた物は無用の長物となり、再び日本に対する影響力を持つ為にはならなくなる。


そうなる前に私達の方から歩み寄らなければいけないのだ、だと言うのにこの父親は何時までも過去の栄光に縋り付いている。


「いいですか、お父様よく聞いてください、私達は確かに日本と言う国に大きな貸しがございます、ですが、それは鎖国したこの状態では使えない物ばかりなのです、いつか日本が鎖国を解く日が来るでしょう、ですがそれは何時になるのでしょうか?10年?20年?100年ですか?その頃には世代交代などがあって使い物にならなくっているとは思いませんか?」


エリカと呼ばれた少女の言葉に父親は悩む、今だに理解できない愚物に、時代が変わったことを教え込む

「お父様こちらの資料をご覧ください、私が独自に集めた、お父様の知らないス・キ・ル・ですわ」

その言葉に男は不快だという感情を隠さずに顔を歪め、渡された資料を見る。

「スキル名解・体・、取得した人間は佐久間 太郎、29歳の独身で、両親は事故でなくなっており、兄弟もいない、親しい友人と呼べるものも近くにはいない、あらあら、もしも政府が処・分・し・よ・う・と・し・た・時・、・と・て・も・都・合・の・い・い・人・間・で・す・わ・ね・」

そう言ってエリカはクスクスと笑う、もしも突然世界から消えてもその事を問いただそうとする人間は、自・衛・隊・員・で・あ・る・、・青・木・雄・一・だ・け・な・の・だ・、だがそこまでこの愚物に教える必要はない、必要なのは、この男の元に届いていない有力なスキルがあるという事だけでいい。


「この解体というスキル、本当に書かれている通りの効果なのか?この資料には、ダ・ン・ジ・ョ・ン・内・の・魔・石・以・外・の・物・を持ち帰れるとあるが」

さすがにこの愚物でも、この意味は理解できたかとエリカは息を吐く、もしこの有用性すらわからないな表舞台から去ってもらう事も考えなければいけなかったからだ


「ええ、そうですわお父様、日本政府が危惧していた通り、解体のスキルは、ダンジョン内の物をダンジョン外に持ち出すことが出来るスキルでしたわ!」


エリカのテンションは大きく上がる、これが判明したのは、太郎がレベル5に上がった翌日、全員が集まるよりも早く雄一と二人きりでダンジョンに潜って実験した結果だった。

即座に国にレポートを上げて、二人はその事について話題に出さない様にしていた。


「だがエリカよ、持ち帰ったからどうだというのだ、お前も知っていようダンジョン内の飲食可能な物は酷・く・ま・ず・い・と、儂はあんな物を食って生き延びる位なら飢えて死ぬ事を選ぶぞ?」


そう、目の前の豚に飢えて死ぬ事を選ぶと言わせるほどにダンジョン産の物はまずい。

もしも、日本の食料供給がほとんどなく、飢えていたならそれでも商売になっただろう、だが、飢えて死ぬほどに食料が足りないわけではない以上売れないだろう、食・料・な・ら・ば・


「ダンジョンの12階層以降ところどころに、大規模な金属鉱床がある事をお父様がご存じないのですね?」

「お、お前はどうやってダンジョンの12階層の情報等得たのだ、その情報は国が厳重に管理しているはずだ!」


慌てる男にエリカはクスクスと笑いながら

「総理大臣におしえてもらいましたわ、彼とは仲良くなれそうでして、わたしのお願いを聞いてもらう代わりに彼のお願いも聞く約束をしておりまして、手付金代わりにいただいた情報ですわ」

何でもない様に言うエリカに父親である男は、彼女が同じ人間とは思えず、椅ごと1歩後ずさる。


「ご安心ください、お父様の手は煩わせませんわ、ちゃんと私名義で新しい会社でやりますから」

「何をだ、何をしようと言うのだ!」

だらだらと汗をかき、青い顔で問いかける父親にエリカは答える。


「冒険者ギルドの設立と、ギルド登録員の中でレベルを得たことで増長した人間の処分ですわ」

「ギルドの設立に、処分だと……?」

「はい、そうですわ、適当にギルドのシステムとかを作ってギルド員がダンジョンに入る場合はどこに行くのか監視しますわ、そして必要とあらばダンジョン内で殺しますわ」

何でもない事のように殺害を口にする娘に、父親は尋ねる、尋ねてしまう。


「お前は、何がしたいのだ?」

思えば昔から理解できない子だった、だがこれほどに理解できない存在ではなかったはずだ。

「したい事などありませんわ、わたしは知りたいのです、全てを」

「全て……だと?」


父親の言葉に、ええ、と頷き。

「私は知りたいのです、宇宙のはてには何があるのか、深海の先には何があるのか、そして今一番興味があるのは」

ダ・ン・ジ・ョ・ン・と・は・何・な・の・か・、・ス・キ・ル・と・は・何・な・の・か・?・


「それを知る為には国と手を結び、国の要望を満たす代わりにわたしが国の要望である冒険者ギルドの管・理・と処分を行う」


「ああ、一体ダンジョンのはてには何があるのかしら、それにスキルとはいったいどれだけの種類があるのかしら、ユニークスキル等はあるのかしら、レアスキルは。ああ知りたい、しりたい、シリタイ……」


解体とはどんな原理でダンジョン外にダンジョン内の物を持ち出すスキルなのかしらぁ……


後に太郎は語る、10月のある日、これまで生きてきた中で最大級の悪寒を覚えたと。

「私はもっと普通な子と普通な家庭を築きたいんですがああああ」

(作者の力量な普通のヒロインとかキャラ立たせられないので)ないです

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