表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/8

閑話4 キララ

本編中とキャラ違いすぎない?と思われるかもしれませんが彼女は0か100しかない子なんです

子供次第→未来なんてお先真っ暗だし死にたい


アイドル時代→なんとしても夢をかなえる為に売れなきゃ!

世界中に大量のダンジョンが出来た中、比較的犠牲者を少なく出した日本だが、それは同時に少ないながらも出したという事になる。


そんな犠牲者の家族の一人にある少女がいた。後にアイドルとしてキララを名乗る事になる、大北 輝楽々きららである。

光り輝き、楽々に人生を生きてほしいという親の願いでつけられたこの名前をキララは嫌いだった。

そしてそんな名前を付ける親も、そんな親の子供として生まれた自分も、嫌いな、全てに絶望した少女だった。


そんな彼女にも一人だけ好きな人がいた、その人は父親の弟だった

いつも自分に気をかけてくれて、自分に味方してくれて、自分の嫌いな両親を否定してくれる、彼女からすればヒーローのような存在だった。

でもそれだけだ、ヒーローはいつだって一時だけは感情を満たしてくれるが、自分の人生を変えてくれるほどの存在ではない、だからやっぱりキララは世界が、自分が嫌いだった。


そんな彼女だから、世界中にダンジョンが現れたと聞いても何も心動かされるものはなかった。

いや、いっそ、ダンジョンからモンスターが現れて世界を壊してほしいとすら考えた、しかし、彼女以外の彼女の周りの人間にとっては違った


キララの両親は、ダンジョンにお宝があると言う友人の言葉に踊らされて、ろくな準備もせずにダンジョンに侵入した。そして二度と帰ってこなかった。

キララもなんとなく両親、そして叔・父・が帰ってこないとは思っていたが、それでも毎日学校に行き、家にあるレトルトの食品を食べる事で命を繋いでいた。


1ヶ月が過ぎた頃、突然家の扉が開くと、数人の大人が彼女の家に入ってきた、少しだけ驚いたキララだったが、すぐにまた関心を失い、彼等から視線を外す。


これに驚いたのは、入ってきた大人、警察官達だ。

彼等はこの周辺でダンジョンが発見され、そしてダンジョン内に遺骨が落ちていた事でこの周辺の人間がダンジョンに無断で侵入、命を失ったのだと判断し、死者の身元を判明する為の情報を集めていたのだ。


その中に、最近両親を見かけない一人の少女の情報があり、向かってきてみれば、心ここにあらずといった様子で座っている少女が一人いたのだ。


キララはすぐに警察に保護され、親を失った少年少女を保護する為に作られた施設にて暮らす事になる。

そこには様々な、キララよりも大きな子も小さな子も居た、と思う。

断言できないのはそこでもキララは世界に興味がなかったからだ、話しかけられても返事はせずに、勉強も怒られない程度に学ぶ、そんな少女だった。


この時期はそういった人間も少なくない時期だった、何よりも大量の自殺者が出たとしでもあった、ダンジョンの出現と、日本の鎖国化による大量の失業者、政府による手当や保護の減額やカット等、生きる為に農場に無理やり就職させられる等、生きる気力を失った人が多い時代だった。


そんな彼女を変えたものが歌だった。

ある日、彼女の暮らす施設に、3人の男女が現れた、キララ達は施設の一番広いホールに集められると、彼等の歌を聞かされたのだ。


歌の内容はありきたりな、今例え辛くとも、いつかは幸せになれるから諦めないでと言った歌詞だった。いつもの彼女なら、鼻で笑うような内容だったが、彼等の歌だけは違い、彼女の胸に響いたのだ。


その日から、キララは変わった、それまで死ぬまでしかたなく生きていた少女は、自分も誰かに生きる力を与えられるような歌手になりたいと思ったのだ。


必死で歌を練習した、幸いな事に長い間声を発していなかった彼女だが、その声は美声であった。

毎日必死で練習をした、施設で音楽の授業を担当している先生に、どうすれば歌が上手くなるのか?と聞き、地味な事でも毎日繰り返した。


その成果もあって、彼女は17歳の時、ついに沢山の人間に歌を聞いてもらえる立場、アイドルに慣れたのだ。

ただ、アイドルに慣れたと言っても、なれば終わりではない。更に努力して、グループの中でバックコーラスではなくメインボーカルにならなければ、沢山の人に歌を聞かせる事などできない、その為には、誰よりも人気を得なければいけないのだ。


少女が持っていた純粋な思いは、アイドルになった事で歪み、誰かを救いたいと言う想いは、沢山の人間に歌を聞かせたい、アイドルとして大成したいという呪いに変わった。


それでも、周りに迷惑をかけて、一人の少年の人生すら歪ませかねないほどの大罪を犯してなお、少女は1番にはなれなかった。

動画のランキングは中盤よりも少し上位、歌は上手いは、バックコーラスではその他大勢に混じってしまう。


このまま、少女の時に描いた夢を捨てられた方が、彼女にとって幸せだったのかもしれない。だが、そんな彼女に、また運命の日が現れる


「キララちゃん、お疲れ様、今日もいい歌だったよ」

マネージャーである三橋はキララを労わる、だがその言葉にキララが反応を返す事はない。

そんなキララを見て、三橋は迷いを捨てた、キララはアイドルをやめるべきであると告げる覚悟を決めたのだ。


三橋はキララの歌に惚れた人間だった、そして歌を歌っている時の笑顔もまた魅力的だと思っていた、だが最近のキララは歌を歌う時に笑顔はなく、ただ黙々と与えられた仕事をこなす機械にしか見えなかった。


今・な・ら・ま・だ・間・に・合・う・、三橋はキララに声をかけようとして




その声はドアの開く音に遮られた。

「ん~、お前さんがキララか?」

ステージ開けの着替えてすらいないアイドルの部屋にドアを開けた人間に三橋は詰め寄ろとして、その顔を見て、動きを止める。

入ってきたのは、代表取締役だったからだだったからだ。


「すみません、キララはまだ着替えてないので、少しだけお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」

「ああ、すぐ済むから気にするな、着替えもせんでいい」

その言葉に三橋が身構える、最悪殺してでも等と考えていると


「キララ、お前さん、真の歌手になってみねえか?」と話しかけたのだ

混乱した三橋だが、これ以上話を聞かせるのはキララが不幸になると本能がささやく、だから本能に従い、話を遮ろうとしたが、それよりも早く

「なりたいです」とキララが返事をする。それだけではなく、今まで何も映していなかった目は自分に話しかけた男を刺すように見ていた。


その視線に満足した男はニヤリと笑い

「ならば明日からとある人と共にダンジョンに潜ってこい、そこでスキル【歌唱】を手に入れてくるんだよ」


レベルを上げて政府に監視対象とされるような人生を送れと、その男はキララに言い、その言葉にキララはこれまでで一番の笑みを浮かべて了承するのだった。


作中で出てきたキララ嬢の憧れの人達は国が用意した歌唱と演奏持ちの人間です。

偶然にも憧れの人と同じ道をキララ嬢は歩む事になったという形になりますね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ