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23 ふ、ふたりっきりだね///

スライムと人間の和平交渉をするために街へと歩みを進めている俺たち。

スライムの長と話をしたことでスライムへの忌避感はなくなったが、何もしゃべらないスライムと二人っきりいや、一人と一匹だとさすがに少し怖い。


(もう襲ってくることはないと分かってはいるのだが…)


まあ街までの道中はともに戦う仲間であるし、能力を確認する意味で覗き見スキルを使ってみたのだが、スキルが発動することはなかった。

なぜかと不思議に思ったのだが、思い当たる原因が一つだけある。


俺はモンスターにはレベルというシステムを設定しなかった。

個体としてのステータスは誕生した時の値で固定で、ステータスの向上は世代交代でのみ行われるようにした。

理由は、世界のパワーバランスが人間に有利に傾くためである。

モンスターはステータスの初期値を人間よりも高めに設定した。

種類によっては人間とはけた違いの速さで繁殖するものもいる。

だから俺は、モンスターが圧倒的に力をつけすぎないためにハンデとして人間は生まれてからもステータスを向上できるようにしたのである。

まだ最初の街の周りしか冒険してないので詳しくはわからないが、おそらく現在の世界のパワーバランスはちょうどいいと思う。


(レベルの項目が空欄になるから覗き見のスキルで不具合がでるのかもしれない。)


長が言ってた通り人間の言葉はわからないようだ、声をだすと反応はするが。

ただし、スルルという自分の名前は理解できているみたいだ。


っとそんなことを考えながら歩いているとモンスターに遭遇。

クモ型のモンスターのスパイダーだ。


「スルル!」


俺が声をだすとスルルはスパイダーに突撃した。

相変わらず目にもとまらぬ速さだ。

だが、スパイダーは一撃では死ななかった。

スルルの三回目の突撃でようやく相手は光になって消えた。


スルルの攻撃でも一撃じゃないのか。

いや、一撃でやられる俺が弱すぎるんだろう。

スルルはスライムの中では一番ではないかというくらい強いと思う。

だが種族としては最弱のモンスターであり、他のモンスターを瞬殺するほどの力はないのだろう。

ほぼ同程度のモンスターであるスパイダーくらいなら一番強い個体ではない限り無傷で勝てるのだが。


スパイダーを倒した後、スルルは俺のほうへ寄ってきた。


「どうした?」


思わず話しかけてしまったが通じるわけないか。

何を求めているのかわからないが、とりあえず敵を倒したことをほめておくか。

俺はスルルの頭を撫でた。

スルルはぽよぽよ跳ねている。喜んでいるみたいだ。


(意外とかわいい奴かもしれん。)


その後何回かモンスターに遭遇したが、すべてスルルが倒してしまった。

そのたびに俺は頭を撫でてやる。


(こうなってはどっちがペットだか分からんな。)


しかし、スルルばかりに戦ってもらうのも問題だ。

スルルはいくら他のモンスターを倒してもレベルは上がらないが、俺はレベルを上げることができる。

攻撃を当てないと経験値が入らないようで、俺はまだレベル1のままだ。


(弱らしたモンスターをこっちに譲ってもらいたいのだが、言葉が通じないから伝えられないし…。)


結局俺は、スルルの頭を撫でているだけで街の近くまでたどりついてしまった。



街の手前で俺たちは歩みを止めていた。

さすがにスルルも堂々とこのまま街に入るのは問題があると理解しているのだろう。


「さてどうするか…。」


スルルを冒険者ぶくろにいれて街に入ろうと考えていたのだが、異次元収納の魔法がかかっているためか入れることはできなかった。

あと現在の状況でできる、スルルを連れたまま街にはいる手段は……もうこれしかないか。


俺は服と腹の間にスルルを隠して街に潜入した。

もともと体型的には痩せている方なので、他からみてもちょっと違和感が在る程度ですんだ。

スルルは最初すこし暴れていたが、事情を察したのかすぐおとなしくなった。

かしこいスライムで助かる。

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