21 生まれて間もない♀にペットにされた主人公のはなし
テッテレー!
頭ん中でこの音がなったってことは何かスキルを獲得したはずだ。
もしかしたらこの状況を打開できるスキルかもしれない。
さっそく俺はスキルを確認した。
・スキル
覗き見
横暴
歩行
ペット new!
ペット!?
もしかしてモンスターを手懐けることができるテイマー的スキルかもしれない!
スキルの内容は…
<ペット>
主人となるキャラクターのステータスに応じて、自分のステータスにわずかにボーナス値が加算される。また、主人のもつスキルの劣化版を使えるようになる。
サトル Lv1
(×1000)
HP:5+10/5+10
MP:1+9/1+9
攻 :1+6
防 :1+4
魔攻:1+2
魔防:1+2
速 :1+10
ペットは俺だった。
スライムがこっちをみながらぽよぽよ跳ねている。
どうやらついてこいといっているみたいだ。
逃げようとも思ったがやめた。
一瞬で距離をつめられてまた殺されるのが目に見えてる。
それに、今ペットというスキルを手に入れたということは俺はこのスライムのペットになったということなんだろう。
おとなしく従っていれば殺されずに済むかもしれない。
俺は頭にリンゴを乗せながら進むスライムの後に続いた。
****
しばらく草原を進むと、前方に紫色の池のようなものが見えてきた。
毒沼か何かだろうか?
このスライムはそこを目指して進んでいるみたいだけど、まさか毒沼に落とされて殺されるなんてないよな?
たどりついたそこは、毒沼なんかじゃなかった。
気を抜いたら、たちまち命を失う結果になるという点では同じだが。
そこはスライムの住処だった。
スライムはオスとメスで色が異なる。
俺をここまで連れてきたスライムは桃色で、おそらくメス。
対してオスのスライムの色は、水色。
俺がみた紫色の池というのは、二色のスライムが大量に集まっているせいで色が混ざって見えていたものだった。
****
俺が住処に入った途端、大量のスライムに囲まれた。
大量のスライムと対面して分かったが、俺をここまでつれたきたスライムは他の個体よりもだいぶ小さかった。
…ってそんなこと考えてる場合じゃない。
(俺ここで袋叩きにされるんじゃ…)
しかし、絶体絶命かと思ったが、俺の前にいるリンゴを頭に乗せたチビスライムがほかのスライムと少しの間見つめあうと、数匹を残してほとんどが周りに散ってった。
あいつが何か働きかけてくれたのかもしれない。
(助かった…)
残ったスライムたちは見つめあったまま動かない。
俺には何も聞こえないが、何かスライム同士で通じあっているのかもしれない。
すぐに殺されるわけじゃなさそうだし、新しく手に入れたスキルをもう少し調べてみるか。
俺の新スキル、ペットはいわば強化スキル。
対象となるキャラクターに応じて強化内容がかわるようだ。
ステータスもスキルも下方修正されて俺に付加されるようだが、ステータスは自前のものより加算値のほうが断然大きいし、スキルは今まで持ってなかった外部に働きかけるタイプのスキルだった。
使えることはなぜか理解できるのだが、頭ン中に浮かぶスキル欄には表示されなかった。
ペットのスキルの中に統合されているのだと思う。
そのスキルの名前は…
<放水>
名前的に水魔法だろう。
ウォータボールでもスプラッシュでもなく、放水。
大事なのは名前じゃない。
魔法で水が出せるようになったことこそが重要なのだ。
俺は手から水をだすイメージを思い浮かべた。
その瞬間、俺の手のひらから水が放出された!
チョロロロ
壊れてしっかり閉まらなくなった蛇口から漏れ出る水って感じ。
まあそれはいい。
俺がもっと気になっているのは別のこと
なんと、いくら出してもMPが消費されない!
これで俺はいつでも水が出し放題ってことだ。
はじめての魔法?に興奮して夢中になっていると、いつの間にかあのチビスライムがすぐそばまで接近していた。
怒らせてしまったかと思ったが、そいつはなぜか小さな木の実を俺に差し出してきた。
よくわからんがくれるならもらっておく。
おいしくはないが食べられなくはない、そんな味だった。
短編小説を書いてみました。
この小説とはジャンルも全く違いますが、三分くらいで読める短い話なので良ければ…




