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17 ぷるぷる、ぼくわるいスライムだよ

北門をでてすぐの場所では俺たち以外の冒険者も周りにちらほらいたが、モンスターを求めて深い草原に入り込んでいくにつれて、その姿はみえなくなった。


さらに歩みを進めていると、いきなり前を歩いていたヒロの足が止まった。


「ほらみて。あそこにちょうどスライムがいる。」


ヒロの指さす先には、ぽよぽよ跳ねる桃色と水色のモンスターがいた。

大きさは人の頭くらい。


「ねえ、どっちがスライムなんだ?」

「どっちもだよ。スライムはオスとメスで色が違うんだ。」


おそらく桃色のほうがメスで水色のほうがオスだろう。


「モンスターとの戦闘は不意を突くのが基本だけど、今回は戦闘になれるためにあえて正面からいこう。」

「大丈夫か?」

「スライムは他のモンスターより少し素早いけど、武器さえ持ってれば冒険者じゃなくても倒せるくらい弱いモンスターなんだ。」


そう言ってヒロはスライムとの距離をつめだした。

その距離およそ十メートル。このあたりの草原は草の背が高いから向こうはまだ気づいていないみたいだ。

俺もヒロに言われるまで全然気づかなかったし。


相手の数は三匹。桃色一匹、水色二匹だ。

数は相手のほうが多いけどヒロが言うにはすごい弱いみたいだし、なにより俺はチートステータス持ち。

いける!


俺はヒロの後に続いた。

距離が五メートルくらいまで近づいたとき、スライムたちが一斉にこちらを向いた。

どうやら俺たちに気が付いたみたいだ。


「よし、いくぞ!」

そういこんで一歩踏み込んだところで、

俺の目の前には桃色の弾丸が迫っていた。


「っ!?」


声をだす間もなく、俺は後ろに吹き飛ばされていた。


(めちゃくちゃ顔いてえ…。てかなにが起こった!?)

いや、なにが起こったのかはわかっている。

桃色のスライムが俺に突進してきたのだ。

だがうまく状況が理解できない。

だってあれはスライムで…

そういえばヒロは!?


俺が吹き飛ばされる前にいた位置のすこし横で、ヒロはスライム二匹を当たり前のように相手取っていた。

俺のほうをよそ見したまま。

ヒロは俺を信じられないものをみたような目でみている。


その時、スライムの一匹がヒロに突進した。

遠目から見ると、見えないほどのスピードではない。

例えるなら、クラスの人気者が全力で投げたドッジボールの球くらいの速さ。

だが不意打ちでこられたら反応は難しいだろう。

てか顔が痛い!

これがドッチボールだったら顔面セーフだが、この戦闘では完全にアウト。

はっ!そういえばHP!

俺は頭の中でステータスを呼び出す。


サトル Lv1

HP :900/5000


やばい!一回の攻撃で4100もくらってる!

次くらったら確実にやられる。


そのとき、俺に突進したあの桃色の悪魔が再びこっちをむいた。

俺がまだ生きていることに気が付いたようだ。

しかし俺は恐怖とダメージで足が動かない。


そして再びこちらに飛んでくる桃色の弾丸

(まずい、死…)



俺が死を覚悟したとき、俺と弾丸の間に人影が割り込んだ。

「サトル!」


ヒ、ヒロ…。


ヒロはスライムが突進してきた勢いのまま剣でスライムをはじき返した。

数回バウンドしたあと、スライムは光になって消えた。


ヒロの奴、強すぎるだろ。

今までスキル名からの罪悪感と、己のステータスへの慢心で一度の他人に使ったことのなかった覗き見スキル。

俺は無意識のうちにそれをヒロに発動した。


ヒロ Lv6

HP :32000/32000

MP :20000/20000

攻 :17000

防 :15000

魔攻:15000

魔防:16000

速 :20000


勇者の生まれ変わりかなにかですか?

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