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13 はじまりの ✖村 〇街

<ようこそアルンの町へ!>


街の門の上には大きくそう書かれてあった。

やはりここが最初の村、アルンであっていたみたいだ。街なのはもう気にしない。

門には門衛が一人立っていたが、チラリとこちらを見ただけで何も言わずに通してくれた。

そういえばここまで歩いてくる途中、モンスターには一匹も遭遇しなかったし、厳しく監視する必要はないのかもしれない。

門を抜けると雑多な人たちでにぎわっていた。道に沿うように建物も建っているが、どれも一般家屋みたいだ。


しかし、思った以上に町の住民たちのレベルが高い。レベルっていってもステータス的な意味のレベルじゃない。覗き見スキルは名前的に多用するのは気がひけるしまだ使っていない。どうせ俺のステータスには遠く及ばないだろうしな。

俺の言うレベルは住人たちの出来のことだ。俺が最初につくった人間は出来損ないのロボットのような感じだったのだが、今この街を歩いている人間は見た限り生前の世界での人間と変わらない。

皆、思い思いに会話し、行動し、生活している。だいぶ進化したなぁ。


そんなふうに街の様子を確認しながら歩いていると、俺は周りの住人達から不審な目で見られていることに気が付いた。原因はすぐわかった。この服だ。

俺の今着ている服は、転生直後にも説明した通りシンプルな布の服一式。最初に村をつくった時に村民に着せてたやつ。

それに比べてこの街の住民たちが着ているのは多種多彩な服装。生前とは異なるが、異世界らしさを残しつつもおしゃれを意識した服装だ。


とりあえず、俺の最初の行き先が決まった。おそらくあるだろう冒険者ギルドでも武器屋でもない。


「服屋だ!」


****


幸いにも服屋はすぐ見つかった。俺はそこでこの世界でも違和感のない服装を一式そろえ、その場で着用した。値段は手持ちの半分の500E。支払いの方法が分からなかったのでドキドキしていたが、会計時に店員さんが水晶のような丸い石を持ってきて、そこに手をかざすと必要な分だけ支払われた。サイフもいらないし支払いも簡単!なんて便利な貨幣だ!この貨幣をつくったやつをほめてやりたいね!


ちなみに店員さんにこの街についていろいろ聞いたところ、俺が街に入ってきたときに通った門は南門だそうだ。この街より南は広い草原と森が存在しているだけで、モンスターは生息していない安全地帯らしい。平地では農業や畜産業、森では様々な天然資源の採取が行われており、その関係者しか通らないから人通りは多くないそうだ。

逆に街より北にいくと、モンスターが生息する危険地帯みたいだ。街の中でも北側は冒険者関連の店が多く存在しており、冒険者ギルドもそのエリアにあるらしい。


服屋をでた俺は次に冒険者ギルドへ向かった。

武器や防具、アイテムもみてみたいがまずは生前にはなかったギルドへ訪れてみたかったのだ。

まあ武器屋とかも生前にはなかったんだけど…。物を売ってる店ってのは想像できるからな。


****


広い街なので結構歩かされたが、なんとか冒険者ギルドに到着した。

ギルドの中には強面の冒険者たちがたむろっており、俺がギルドに入ると同時に、初心者への洗礼と言わんばかりの鋭い眼光を向けてくる。


ということはなかった。人影はまばらで、わずかにいる冒険者らしき人たちもカウンターで受け付けの女性と話していたり、掲示板のようなものに集まり、張り紙を熱心に見比べたりしてる。


「あの、冒険者ギルドは初めてですか?」


ギルドに入って入り口でキョロキョロしていた俺を見て、カウンターの受付の女性がこえをかけてきた。

ちなみに受け付けは複数あって、俺に声をかけてきたのは俺から見て一番右の受付の女性だ。


「はい、初めてです。」

「ではこちらにどうぞ。」


俺は案内に従ってその一番右側受付に行った。


「まず、冒険者として活動していただくには、冒険者ギルドでの登録が必要となります。」

「俺はどうすればいいんでしょう?」

「こちらのカードを手にもっていただいて、持ったままステータス画面をひらいてください。そうするとその内容がカードに転写されます。」


そういって渡されたのは何も書いてない真っ白なカードだった。

ペラペラの紙ではなく、生前の世界で言うクレジットカードみたいな感じ。


「プライバシー保護のためにカードに転写されるのは基本ステータスのみで、スキルは転写いたしません。」


これはありがたい。俺が今もってるスキルは製作者ボーナスで手に入れたような変わり種だし、何しろスキル名は覗き見と横暴。

横暴ならまだしも、覗き見なんてスキルを持っているのがばれたら俺は覗きの常習犯として疑われる可能性だってある。

プライバシー保護万歳!


「冒険者登録、というかこのカードの値段として200Eいただきますがよろしいですか?」


俺の今の手持ちは500E。問題ない。


「はい、大丈夫です。」


俺はカウンターに置いてある水晶のようなまるい石(これからは水晶石と呼ぼう)に手をかざし代金を支払う。


「支払い確認しました。では転写をお願いします。」


俺はカードを持ったまま、頭ん中にステータスを呼び出した。


サトル Lv1

HP :5000/5000

MP :1000/1000

攻 :1000

防 :1000

魔攻:1000

魔防:1000

速 :1000


(そういえば俺、基本ステータスも見られたらやばかったかも。…まあいいか。)


俺はステータスが転写されたカードを受け付けの女性に渡した。


「ではこちらをもとにギルドで冒険者登録をさせていただきます。手続きが終わり次第カードは返却いたしますのでしばらくおまちください。」


そういって女性はカードをもってカウンターの奥に行ってしまった。


****

さて。冒険者になりたての頃は誰もが早く自分のカードを持ちたいものだし、手早く手続きを終わらせてあの子にカードを渡してあげましょうかね。

そう思い、私は手続きのためにカードに目を通した。


(こ、このステータスは!?)


主人公が当たり前のように異世界で会話をしていますが、これは異世界づくりの際に人間の標準語を日本語に設定したからです。

異世界語の設定とかめんどくさそうですもんね。

まったく、めんどくさがりやな主人公ですね。

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