06.
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ここは何も無く、暗い空間であった。
上下も、左右も分からない空間には、果てしなく遠い天際であった、たまに遠くに見える流れ星のような光は空で長い軌跡を描きながらこの暗い空間に消えていく、天幕に一杯の星を眺めながら歩き出してとしようとした時に気付いた、足が無いから歩けないこと。慌てて足にあるはずの位置を触ろうとした時に気付いた、手が無いから触ることすら出来ない。
初めから身体は無いことやっと気が付いた、ああ......ここにいる自分は意識だけ、ようやく理解した、けど不安は無かった、この暗い闇に包まれた世界は意外に、心地が良いんだ。体の拘束が無いのせいなのか?それとも別の何かの理由なのか分からない、分からないけれど、この空間の事は嫌いではない。
「......」(声を出すことを試みたが、やはり声帯や口が無いから無理であった。)
しかし――、ここは一体どんな場所だろう?自分は自分ではなくなったこの感覚、夢でも見ているのか?
『いいえ、ここは 夢ではありません。』
はっきり聞こえた!考えていること、誰かがそれを返事をした!
周りを確認しようとしても、あいにく体が無くで方向を移動することは許されていないけど、周囲の気配を感じ取りことぐらいは出来る。集中して周りを探ってみましたか、やはり何もない。まさ幻聴でも聞こえたのか......?
「......」(誤魔化したくでも、あれほど鮮明でしたら無視は出来ない、だとしたら、もう一度質問を出してみるか、もしかするとまた返事をしてくれるかもしれない。)
早速次の質問を出してみた。
「......」(夢じゃなかったら、ここはどこだ?教えでくれ。)
『ここは虚空、全ての終点、森羅万象さえ― ここで収束する。』
おぉ!!ほんとに返事してくれた!!やはりあれ想像の声じゃなくでほっとした!
正直、少しだけ焦った、もし返事が来なかった場合、自分の精神を疑うことになりそうだ、まぁ― 今は精神だけ存在しないけど。こういう状況になってから始めて分かった、声が出せないことはどれぐらい不便ってことを、物事を考えてる時と話したい事が混ざって話がうまくいけない気がする。
それに、仮に正式の魔法使いじゃなくでも、『ヴォイド』という謎の単語に興味が湧くだろう、たとえ自分はこの未知な空間に浮かぶ意識だけの存在になっても、未知を知る可能性があれば、ついそれを追求になってしまう。
『意思の交流は声を出さないとうまく出来ないですか?どうやら思考で意見交換することは不慣れ模様です......なら、特別に声を発することを許可する、有意義な会話を期待する。』
謎の声から発言の許可を得た途端、自分から声を発することは可能になった、もちろん実態は存在しないの状態だけど、折角の機会だ、どうやって声を出すの謎を追求するより、私は出来る限りのことを知りたい、このわけが分からない空間のことを知りたい。
「ふ~う、やはり会話は声を出さないとな。では、改めて―」
『名前何が無い、ゆえ称呼に気にすることは無い。』
「......。」先に越された。
私の思考を先に読んでそして返事をすることやめてくれませんか?会話の楽しみが台無しになるんだなったじゃないか!
『それは失礼した、以後は声だけに返事をする。』
「そうしてくれるとすごく助かる、それに、質問の前に、まずはこれだけを聞きたい。」
『なんだしょう?』
「何が不都合な質問でもしたらどうなりますか?」
『......。』
まさか一番目の質問に早速沈黙権を行使するか!?それいくらなんでも早くない?
『不都合な質問などございませんが、質問の答えには代価が求める、そしてあなたが払うべき代価は― 片道になります、ご了承ください。』
「......片道か答えの代価?すまないが、その片道にならないよう出来限り説明してもらえませんか?」
『了解しました、あなたは現に今でも、世界との連結が強く繋がっています、しかし、その連結は代価として支払った場合、あなたは元の世界に戻れなくなります、話を続きましょうか?』
「もう結構です、少しだけ考えさせてくれ。」
他人の言うことを完全に信用するほど愚かではないけど.....今の状況では、判断するための材料が少なすぎ
『片道』の本当の意味が分からないが、不穏な気配しか感じられないからとりあえずそれを断った、この空間の事は知らなさ過ぎるから、こういう時は焦らずに、活路を探しに次の質問を出してみよう。
『今度はこちらから質問してもよろしいでしょうか?』
進退について困っているときに、今度は謎の声に質問されて面食らって狼狽した。
「ああ、別に構わないよ、分かる範囲なら。」
『あなたの今までの人生を教えで下さい。』
そんな詰まらないことを聞いてどうすると言い出す瞬間にそれを辞めた、言える範囲のことなら全部、この姿か無い声に教えた。
「私の話を聞いて、何か面白いところでもありますか?」
『はい、どれも興味が深い話ばかりです、なにせ― あなたは初めての話し相手です。』
「......そうか、喜んでくれて何よりだ、また聞きたいことがあるなら遠慮なくでいいよ。」
『では、なぜあなたの精神からマナーの波動を感じますか?マナーを操る人間ですか?』
「私は魔法使いの修行をしているからね、けどそれはもう終わったことだけど。」
『修行を投げ出したんですか?』
なんか遠回りに皮肉された気がする、気のせいじゃないよな?
「まぁ、ちょっとした事故があって、私が触れればマナーが消えてしまう、だから、多分もう二度魔法を使うことは出来ないから......魔法使いになるの夢は断念するしかない。」
こんなに訳が分からない理由で魔法が無効な体になったこと、我ながら情けないから話だ、詳しい部分は割愛させていただきます。
『......慰めるの言葉は不得意なので、あんまり期待しないで下さい。』
「別に慰めて欲しいわけでもないから気にするな、ただ、悔しいんだ。」
マナーを読めることは間違っていない、それをみんなに証明したい、しかし今は無理な話になってしまった。
それから謎の声からまた色々な事に聞かされた、黄昏の夕日、雨が降った時の匂い、どれも大した事ではないけれど、どれも興味津々だと聞かされた。
『......いい話を聞かせてもらいました、あなたに感謝を。』
「そうか、別に大した話ではなくて済まないな。」
不意に、この暗い空間に少しだけ裂け目が生じた、そして裂け目から微かな光を放つ。
『どうやらお別れの時間です、じきにもとの世界に戻ることでしょう。』
「意外にあっさりだな、お世話になったね、ありがとう。」
『......。』
「そういえば、私が去ったらここはどうなる?」
『またいつものように、静寂な空間に戻るでしょう。』
「悪かった、独りぼっちになってもがんばれよ― もしもの話だけど、またここに来ることがあるなら、今度はもっと面白い話のネタを用意するからさ。」
『なっ― 』
まるで帰還を催促するように、亀裂から放つ光が強くなった、深く底なし闇の中の微光は美しく見える。
「からかって悪かった、そろそろ行かないと。」
『魔法使いの道は断たれた今、これからあなたはどんな道を歩むですか?』
「......戻ったらゆっくり考えるつもりだ、何とかなるよ、マナーを操ることが出来なくでも、学院で習った知識は使い道があるでしょう。」
『あなたから楽しい話を聞かせていただきましたから、なら規則に従って、今度はこちらが代価を払う番です、あなたは元の世界に戻っても、魔法の才能は消えることは無いでしょう。』
「えっ、そんなこと可能なのか!?」
『ええ......ですが、あれはマナーを操る可能の代価として少しは足りないゆえ、こちらから追加代価を要求します、宜しいでしょうか?』
追加代価?いいよくれてやる!魔法を使えるようになるなら追加代価払おうじゃないか!
「その話は本当なら、追加代価の支払うことは認めよう。」
『承諾、確かに受けました。』
実体が無くでも、亀裂に引き寄せられたことが分かる。
しかしこれほど面白い経験はなかなか得難いものだ、きっと学院に大騒ぎになるだろう、ヨーゼフはこの話を聞いたらどんな顔するのか楽しみだな!
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