09.
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「二人はよくやった、テストは合格です。」
涙を流しながら顎のところを撫でるライロズ院長は私たちの合格を告げた、もちろん涙の原因は感動のあんまりではなく、私が作った虫除け薬(の材料)とアッパーのせいだ。
「ありがとうございます、学院長、あっハンカチをどうぞ。」
「おぉ、ヨーゼフ君気が利きますね、ありがとう。」
まるで先刻の激しい戦闘は無かったような雰囲気になったが、私はマスクを外し、冷たい空気そのまま顔に触ってしまった、いつもならこういうのは嫌いけど、今だけなら、別にそんな悪くは無いと思う。しかし激戦の後、身体に伝わった疲労を誤魔化せることは出来ない、疲れた二人は焚き火の周りに座り込み、レイロス院長は先に沸かしたお湯でハーブティを三杯分を用意した、戦闘の熱が去れた今は夜の閑静を感じれる。少なくとも、アレが出るまでは平和だった――
「とりあえずこれを飲みながら話をしよう、すこし長話になるかもしれないからな。」
「いただきます。」
この北方の荒野には、青い空が見える機会は滅多には無い、空を仰げば、そこで見えるのは厚い雲の灰色の空、昔は旅の商人から海は青いらしいの話も聞いたことがあるけど、あいにく、この荒野の岸辺で見た海は黒くて、人間の身長より何倍も高い波が荒々しい猛威を振舞う。そんな私が見たものは―
青い、もしくはブルー、衣装や塗装、また旗には良く見える彩色だけど、私は思う、これはティーカップの中身のあっていけない色ベスト10と思う。
ライロズ院長から見たことの無い青い色のハーブティを受け取ったこと深く後悔した、まさかティーカップの中に未知の世界が開いたことは思わなかった。
「これは何か新しいの嫌がらせですか?」
「インクが入れたハーブティなんで聞いたことありませんね、それとも学院長はインクを飲むの嗜好でもありますか?」
「あははは、二人とも厳しいですね、ここは騙されたと思って飲んでみてください。」
「えっ、これ本当に飲めますか?」
「そうですよ、このハーブの効果を実け......じゃなくで、飲んだ後の感想が聞きたいだけだよ。」
「......今のアレは絶対わざっとだな!」
「いいからいいから、一口だけでも良いから、ねぇ!」
しつこくこの未知のハーブティを飲ませようとするライロズ院長、でも、流石奇行で有名な彼は自分の学徒を毒殺することは無いでしょうね?仕方なく嫌な顔をしながらカップを近づきて、まず匂いから確認する、どうやら特に異常は無いの様子。
試しに一口飲んだらハーブの香りと暖かさが心を満たしてくれた、色はアレ以外わりっといける方と思っていた。しかしほんの僅かだが、舌に残ったあの何とも言えない後味はちょっと気になる。
「どうですか?体に何かへんな事でも起こった気がしませんか?」
何が期待していたのか分からないけど、最初の一口からしばらく時間を経過したけど、あの印象的な後味以外、別に何も起こらなかった。
「いいえ、私は何も、味は今まで経験したことない方なので、茶湯の色は受け入りが難しいけど、それなりいける匂いでした。」
「なるほどなるほど~ところで今体はどんな感じがしますか?なんかふぁーとかぐわーとかしませんか?」
「別にふぁーとかぐわーとかしませんよ、そもそも何が言ってるのか全然分からないし、先も言ったとおり何もおかしいな所は無いです、しかしこのハーブティに使ったのは一体どんなハーブですか?こんな匂いや色は初めてです、大図書館の植物図鑑でも見たことも無い品種なんで考えられない。」
ライロズ院長とヨーゼフ多分わかってくれないだろう。夜風の寒さが身に沁みる今は、掌から温かいハーブティカップと焚き火の存在はどれぐらい大きいな存在って事、そして植物学に修得した今はあの妙なハーブティの味よりもっと興味が深い発見が見つけた、私はこういう見たことも聞いたことも無いハーブのことについてはもっと知りたい。
「ああ、このハーブね、実は南方出産のレア品、南方出産と言っでも、手に入れたくても裏ルートを経由しなければの噂まであるらしい、それにこんな小包でも結構な値段が付けられているそうだ。」
ライロズ院長は上質な布で出来でいた小包を見せてくれた、中身はもちろん先まで話していた乾燥ハーブ、長期保存のためにハーブを乾燥処理したとはいえ、ハーブ元のは紺色であることは確かめる。
「って、どんな効果がありますか?まさかあの妙な後味が売り所じゃないね?」
「ふ~~ん、マーカス君にはやはり効かないのか......ふ~ん」
「えっ?今何が問題発言ではないだろうか?」
慌ててスタッフブレードを取るところだった。
「待ってマーカス、多分学院長はそういう意味じゃ無いから大丈夫、あと危険だから武器を下ろしてくれ。」
「わ、悪かった、ヨーゼフ、君の反応から見れば、もうハーブティの効果が分かったというのか?」
「ええ、ハーブ本体の味とこの非常識な色はともかく、一般の魔法使いなら、このハーブティを一口だけ飲んだら、すぐこれはレア品の理由が分かるでしょう。」
「一般じゃないんだ......私は。」
「別に君を軽蔑するのつもりではない、ただ事実を述べるだけです。」
それはそうだけど、この何ともいえない気持ちは何なんだ?
しょんぼりしている私を無視して、ヨーゼフはカップ中の青い湯を眺めながら話を続けた。
「私は一口しか飲んでいませんですが、そして、このただの一口だけでマナーは信じられないほどのスピードで回復している、飲める量が少ないのためかもしれませんが、マナー回復の効果時間はそれほど長くはないが、それなりのマナーは回復していた、それにその破格の回復効果の代価として、身体は少しだけ疲労が感じる。学院長、これでも魔法学院の学徒です、こんなハーブの存在自体が不自然と思います。そもそもこういう効果があるハーブなんで聞いた事がありませんです!」
「鋭いですね、確かにヨーゼフ君の言うとおり、これはちょっと怪しいな品物です、ブラックマーケットにてもこのハーブとかかった色ん噂が聞いたことがあるが、残念ながら全部は証明不可能ものばかりです。だからこのハーブについて今でも正体不明です、分かっているのはそのマナーを回復するの効果だけ。しかし、これは果たして君たちの言うとおり、記録には無く、誰も聞いたことが無いものでしょうか?」
「はい、少なくでも、今まで見た図鑑には載せていなかったことは確かです。」
「では、これを見てもらいましょう。マーカス君、この本のことは覚えていますね。」
「ええ、もちろん覚えています、ですが、院長先生、これ本気ですか?」
ライロズ院長から見せてくれたものは、子供向きの絵本。初めてこの学院に来たの私は字を読めることが出来ない、あの時はこの絵本を読みながら練習することになった、絵本のタイトルは――
『ゆうしゃあんりのぼうけん』
ライロズ院長は絵本を何ページをめくった、そしてあるページのところに止まった、このページの話私は覚えている、今でも好きだった。
『ゆうしゃあんりのなかま、まほうつかいのぐれーはみんなをたすかるために、じぶんのまなーをつかいきりました、しかしゆうかんなまほうつかいのぐれーはあおいいろのみずをのんだ、そして、まほうつかいのぐれーはまほうでこわいてきをたおした、ゆうしゃあんりはまたしょうりした。』
最後のところはあんまり好きではなかったけど、まぁ、この話が好きだった......あれ?あおいいろのみずって、思わずティーカップの中身をもう一度確認をした、色は青いってことは......!
「そうです、まさかこのハーブに関する情報は絵本から出で来るとはね、これは単なる偶然と思うことは難しいでしょう。」
「確かに、ですが学院長、このえほんに載せていた話はもう何百年前の物語です、さすが今更手がかりを残す可能性は極めて少ないでしょう。」
「今のところ、このハーブの事を追わなくでも大丈夫です、二人ともの最終試練の話をしましょう。」
「待って!最終試練はあのハーブの事では無いのかい!」
「私はハーブと最終試練の関連性は一言も言っておりませんのはずですけど?この件についてはまた別の機会で詳しく調査すること、これより本題を入れましょう、最終試練の内容は私の友人の手伝いをしてほしい。」
思わず手がスタッフブレードに取ろうの所、またヨーゼフに止まれた。
「とにかく、私の話を聞いてから判断することね、もし二人は話を聞いた後、やはりハーブのほうが選びたい場合、私はそれを許可する。ではまず―」
突然な展開だけど、ずっと待っていたこの時やっと来た、私たちが待っている試練は一体どんな困難だろう?先のような『小テスト』まで用意してくれることは、この試練はそれなりの戦闘技術が求めていることか?私たちは姿勢を正す、ライロズ院長の試練発令を待っている。
「学徒マーカス、学徒ヨーゼフ、この黒曜石の柱の学院長の権限をもって、二人に最終試練を発令する。」
「その内容は南西方向、鉄の山脈の麓のゲート都市、ローリングロックへ向かう、そこで『T』という、|グラジュエイト スクール オブ マナー《魔法大学院》の連絡人と接触すること、後かの連絡人とともに行動し、依頼をクリアすること、各自準備出来た次第出発の許可をする、最終試練の内容は以上です。不明なところは後ほど返答をする。」
ヨーゼフは手を上げた。
「発言よろしいでしょうか学院長。」
「発言は許可する。」
「連絡人の依頼はどんな内容でしょうか?」
「残念ながら、今回は極秘依頼です、依頼人は秘密を守のために、その依頼内容は君たち直接伝わることにする。」
「了解した、次は連絡人を認識する方法は何でしょうか?ローリングロックはこのあたり一番大きいなゲート都市、待ち合わせ場所は指定されておりませんか?」
「その点について問題はない、向こうは寝るネズミという宿屋で待ってくれる、あそこへ向かえば依頼人は接触してくれるでしょう。」
次は自分も手を上げた。
「おやっ、マーカス君もか?では――発言をどうぞ。」
「|グラジュエイト スクール オブ マナー《魔法大学院》の連絡人って、大陸の南方にある、あの魔法大学院ですか?」
「ええ、あの魔法大学院です、今回の依頼人は私の古い知り合いですので、正直、彼女の依頼は私自身で解決すべきのはずだが、今の時期は色々な方面から注目され、派手な動きが出来なくて実に困っているところです、だからこうやって二人に頼りをすること。」
「不便っでどういう意味ですか?いつも自由そうに見えますけど?」
「むぅ、悪意を感じる言い方ですねそれは。分かりやすく似言えば、政治的というものかな?今の私には自由に動けない身になってるからね、詳しい説明してもいいけど、すこしだけ時間かかるかもしれません、その話、聞きますか?マーカス君?」
「そういう話、全力でお断りします、とにかく、依頼の理由はどうであれ、依頼人はライロズ院長の友人、そしてこれは私たちの最終試練なら、私は依頼を受けることにする。」
「マーカスがそう決めましたら、私も依頼を受けることにしよう、君を一人にしておいたらまた何が面倒な事が起こってしまうかもしれませんですから。」
「おまえってやつはいつも一言が多いだな……」
「よく決断をしてくれました、そして、ありがとう。」
ライロズ院長は改めて湯を沸かし、今度はあの怪しいハーブじゃなく、普段はよく使われてる方で新鮮なハーブティを用意した。
今回使用されているハーブは私も知っているもの、この一年中ずっと寒いの北地に良く使われているのハーブだ、効果は耐寒が強くなる、まぁ、自分はよく飲んでいるから匂いだけですぐ分かる。
「寒さに効くのハーブを使ったハーブティだ、最終試練に出発の前に、少しだけお話の時間を作りたいと思います、そんな長く話ではないからああいう表情はやめたまえマーカス君。」
ライロズ院長の長くない話はいつも長いから途中で寝落ちる可能性が極めて高い。しかしここは場の空気を読めず付き合わないとあとでうるさいから、ここは黙ってその長くないの長い話を付き合うことをした。途中で寝ることにならないため、熱いハーブティをぐいっと飲んだ、熱い茶湯とハーブの効果で睡魔は駆逐された、これで長い話の対策はバッチリ。
「先の言うとおり、今回二人に課した|最終修練≪ラストテスト≫の内容は私の知り合いからの依頼でした。私たちと駆使していた魔法システムが違っても、彼女は極めて優秀な魔法使で或ることは間違いなくのことです。そんな彼女はこの大陸の色んなところに旅をしてきた、未知なる遺跡を多数発見されました。そして近頃はマナー減少の真実を追っているそうです、私たちはこの件について色んな意見を交換していますが、残念ながら学院から出れない私の代わり、現地調査の仕事は彼女に任せるしか他ならなかった、そして先日彼女からの一通の手紙が届いた、今まで自力で調査を続ける彼女が『助け』を求めている。」
ライロズ院長は懐から手紙を出し、私とヨーゼフに手紙の内容を見せた。
『黒曜石の柱の学院長ライロズへ、
今回の調査は当たる見込みがあり、手紙での詳しい説明は不可能、至急、応援を頼みたい。
追伸:今回の調査が達成の暁、これまでの借りが帳消しさせてもらいます、そのつもりで。』
そして手紙の最後は『T』だけ署名されました。』
「……………」
件の内容はどう見てもあんまり親しい友人からの手紙には見えないだけど、ここはあえて何も言わない方が大人の優しいと言うやつかもしれません。
ライロズ院長は難しい顔している私のことを無視して、カップにまた半分ぐらい残る冷めてしまったハーブティを一気に飲み込んで、話を続けた。
「この手紙から分かることがいくつがあります、まずは彼女が追っていた世界中のマナーが消える事件について何かの手がかりが見つかったのこと、次は―」
「次は、あの『T』と言う人物はその手がかりを詳しく調べるためにある問題と直面しました、そしてその問題を解決するの要はおそらく武力じゃなく、もっと別なものと推測する。例えば―とある特別な能力を持つ人かな?しかもそれは彼女一人の力でどうしようもないスキルなので、それを解決するために学院長に助けを求めることをした。そこで私たちはここから動けない学院長の代わり、彼女を助けるために選ばれた、こう理解してもよろしいでしょうか?」
ヨーゼフは最後まで一気に話をまとめた。
「ええ、確かにヨーゼフ君の言うとおりです、二人に課した最終修練の内容は他の学徒たちとは異なることは十分承知している、正直に言うと、これは学徒たちに任されるべきではない、危険性が極めて高い依頼です。しかし君たちの力なら、この困難を乗り越えることが可能と信じている、それは先のテストでそれを証明された。」
「学院長、そのテストについて私も少し聞きたいことがあります、先の実戦テストの真意は何ですか?学徒個人の力量を測るためならこんな芝居をする必要は無かったはずです。」
「むぅ、やはりバレてしまいましたか、確かに学徒個人の能力は授業や演習で把握していた、学院内は『自分だけが強いならそれが全てだ』の考え方、私ははあんまり好んでいないね。ここから出てからすぐ分かることがあれば、きっとそれは『一人にできる事が限られる』だよ。」
「それはどういう意味ですか?私たちは魔法を扱う訓練は積んでいる、近距離の護身術もかなり上達、それなのにまた足りないことでもありますか?」
「君のそういう考え方だよ、どんなに優れた能力の持ち主でも限界がある、この学院の卒業生ごと『バトルメイジ』も同じです、荒い事だけではなく、色んな困難と直面する時、一人の力だけどうにもならないときには他の人に助けを求めることもあるでしょう。自分の無力を認めることは恥ではないと思うよ、私たちは人間だから、全知そして全能なんで、そんなことは不可能に決まってるでしょう?」
「だからあの『T』の依頼を私たちに、あと先の小テストの事だね。」
「ええ、そうの通りです、二人のコンビネーションが無ければ、私のバリアを破ることはまた無理な話です、もしそうなれば、『T』の依頼は私自身が出るしかなかった。」
「以上は小テストの真意です、では改めて決定を聞きましょう、二人の決定はどうですか?この話を聞いた後、それでも依頼を受けますか?」
「分かりました、私から聞きたいことはもう無い、あなたはどうですか?この依頼を受けますか?」
「話がここまで来てもう降りる選択は無いと思うからね……私はやるよ、そして最終試練をクリアしてバトルメイジになる。」
「私たちはバトルメイジになる。」
「おぉ悪い、一人は無理でも、二人なら何とかなるってことだね。」
「依頼を受けてくれてありがとう、では、旅装備が用意できた次第出発してくれ。」
「了解した、私たちの朗報を待っててください!」
『T』みたいすごい魔法使いさえ増援を求めている状況、これは容易く解決出来る依頼ではないだろう、本当に私たちを加えるだけで何とかなるのか?私は依頼の内容には不安を抱いてる、しかし一方はこれから対面する困難に少しだけ嬉しくなる。それは無知からの傲慢なのか?それとも自分の能力を証明する絶好の機会なのか?今はまたそれを知る術が無い。
「そういえば学院長、手紙はいつ届いたんですか?」
「確かに二日前の朝です、もし彼女はローリングロックで手紙を出すなら、配達の時間を含めてもう三日ぐらい経ちましたね。」
「三日前ですか、今すぐ学院から出発しでも二日かかるね。」
「まったくだ―――せっかくのんびりな旅行と思ったのに!」
「真識の目と共に。」
次の朝、私とヨーゼフはローリングロックに向かって旅を始めました。
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