1話目 本は正義だよね
全くもって自己満足ですのでそれでもよろしければどうぞ。
拝啓お母様
こっちのお母様はあなたより格段に素晴らしいです。容姿とか、性格とか、その他諸々。
あ、でも、あなたが劣っているという訳ではありませんので。あなたは普通です。こっちのお母様が異常なまでに何でも出来すぎるだけなんです。
はい。
ここまで書いたらいくら愚鈍な妹であれ気付くでしょう。
俺、何か転生したっぽいです。
「……by息子旧佐藤貯新ロティ略よりっ、と」
そこまで書いて、一言。
「何たるファンタジー」
大事な事なのでもう一度。
俺は転生しました。
胡散臭い神様に出会うでもなく、てか佐藤貯的に死んだ覚えも無く、何で転生したかも分からない今日この頃。
転生とかその他諸々とかのお決まり異世界で、気付けば高級そうな執事服着たじぇんとるまんにオムツ替えられてました。
誰得よ。
ま、まあ閑話休題的な話題の転換をしよう、そうしよう。
思い出したとかじゃあないけど意識ぱっちりで男にオムツ替えられる俺の気持ち分かるか。いや、分かるまい。だってこんなんされたの俺だけで十分だよ本当に。
むしろ分かるって奴いたら今度呑みに行こう。あ、でも俺今酒呑めないや。
だって三歳だもん。
ぴっかぴかの服とか着せられて、先述したじぇんとるまん(名前はガーディアンさん)をお供に連れて、毎日のように贅沢三昧ですが何か?
さすがに前世の記憶あるとかいろんな知識あるとかバレたら今は痛いかななんて感じだから猫被ってんだけどね?
あー、何か問題なのは、これ、被った猫を外すタイミングとかわかんなくて逃し続けて結局貴族のお坊ちゃまだよバンザイ!
って、こと。
今日も今日とてひとりで書庫に向かう(ガーディアンさんが付いて来るのは屋敷の外だけなのだ)俺に暖かい視線を向けるメイドさんたちや執事さんたち。
表面上はにこやかに「にゃほー♪」とか言いながら手をぶんぶん振っちゃう幼児だけど、中身は若年性の一応社会生活適合型出不精症候群及び弱性の対人恐怖症なんだってば!
ああもう無意識にでも猫を被り続けてしまう自分の役者振りったら。
あれ、ガーディアンさん何でここにいるの?
忙しいんじゃあなかったっけ?
……まあいいや。
とりあえず俺は恒例行事を終えて、意気揚々と書庫へ向かった。
あ、テンプレ的に言葉通じたし理解できたし読めました。
最後重要ね。読めましたってとこ。
何を隠そう、俺は極度の活字中毒なのだ!
読めるってことが分かった日には小躍りしてガーディアンさんたちに太陽のような暖かい笑顔を向けられた。
正直、すごく怖かったです。だからそれからは踊らないようにしてる。
そういえばそうと俺専用の服を作ってもらったんだよね!
フードもついてて、だぼっとしてて、首元には何かおっきくて可愛い鈴みたいなの(でも音は鳴らない)がついてるんだ。
これ着てたらフードで顔も隠せるし、ポケットもおっきいからたくさん物が入るし、てか本も入るしでうはうはな毎日だよ!
作ってくれたのは服飾担当のメイドさん。やたら頭を撫でられたけど、飴をくれるから良い人だ。
……あれ、何か肉体年齢に引きずられているような。
まあいっか。
書庫に着いたし。
書庫に着いたし!
踊るまではいかないものの、俺は軽やかにステップを踏みながらおっきい(すごく嬉しい)書庫の中に入っていった。
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