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七式《グレート・ベア》  作者: 滝川 椛
第一章「輝雷編」
9/62

判明

 ボクは三日ぶりの対戦を終え、岩仲の爺さんに各部の点検をしてもらっていた。

 今回は前回のような抽選では無く、ボクが自ら対戦を申し込んだのだ。

 とは言っても、対戦相手は適当に決めた。要するに、ただ体が動かしたくなったのだ。

「しかし、一体どうしたと言うのだ? お前が対戦を申し込むとはの」

「わからない。何か、妙な感覚がする。体を動かせば治ると思ったのだが――」

 爺さんはコンピューターの画面に目を向けたまま、「治らんかったか」と笑った。

「そういえば、今日も地上へ行くのか?」

 点検が終了し、思い出したように切り出す爺さん。

 ボクは体を起こし、「ああ」と彼の問いを肯定する。

「事件のことも気になる」

「お前が興味を持ったと言うことは、どうやら面倒なことになりそうだの」

 ま、儂には関係ないがの--そう言って笑った。

 とても心外である。ボクにも興味のあることくらいあるのだから。

「して、これからどう動くつもりだ?」

 なにやら楽しそうに聞いてくる爺さんである。

 彼は、事件や騒動などの派手なことが大好きなのだ。

「どう動くも何も、ただ話を聞くだけだ。この件に関与するつもりは無い」

「なんだ、詰まらんのう」

 心底残念がる爺さん。彼はボクに何を求めているのだろうか。

「ボクはもう出かける」

「おう。何か面白そうな話しが聞けたら教えてくれ」

「ああ」

 ボクはそのまま工房を出て行き、地上へ向かうエレベーターに乗った。

 このエレベーターは直接地上と繋がっている。テルル学院からは離れているが、寄り道をしようとしている今回にとっては便利なものだった。

 チーンという到着音と同時に扉が開き――

「………」

「――――あ」

 エレベーターの正面。

 すなわちボクの目の前に、薄桃色を基調とした第一テルル学院の制服を着た生徒。

 もっと言うなら、警備委員副委員長、花暦はなこよみすずが、立っていた。


      †      †      †


しゅん……君…………? なんで、そんなところから……?」

 彼女はわかりやすく困惑していた。

 このエレベーターから出てくるということはすなわち、デクダの住人であることを示す。

 そしてデグダの住民と言うことは、例外はあるものの、地下闘技場で殺し合いをしている男であることを示しているのだ。

 故に、あまり知られたいものでもない。

 しかし、知られてしまったものはもう仕方が無い。

「………ここで何をしている?」

「わ、私は警備委員のお仕事でここを偵察しに………。しゅ、峻君こそ、何でこんなところに?」

 恐る恐るという風なで、かなり小さな声だったが、聞き取るぶんには全く問題なかった。

 もっとも、その気になれば、百メートル先で飛蝗ばったが飛んだ音だって聞き取ることも出来るのだが。

「見ての通り、今出てきたところだ」

「ってことは………つまり、峻君は出演者パフォーマーってことですか?」

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