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七式《グレート・ベア》  作者: 滝川 椛
第一章「輝雷編」
38/62

利用【後】

「――っ!?」

 世界が歪んだ。

 本当に現実世界が見えているのかと思うほど、グニャリと。

 即座にあの女の技だとわかった。

「「ふふ。どうぞ、楽しんでくださいな」」

 今はどこにいるか確認できないが、奴の声はしっかり頭に響いて――

「――っ!」

 あまりに突然だった。何の前触れもなく隣に現れた対人ミサイルを、ほとんど反射的に切り落とす。

「……これは―――絵?」

 僕が斬った物、それは、壁に描かれた一発の対人ミサイルだった。

「――っ!」

 またも、突然だった。またしても、今度は目の前に対人ミサイルが現れ、斬り落とす。

「……またか」

 ざっくりと斬られた壁と、そこに描かれた対人ミサイルを触る。

迷宮虚像トロンプルイユか。面倒そうだ」

「「ふふ、気に入っていただけましたか?」」

 まるで異空間に引きずりこまれたような景色のどこかから、あの女の声が無気味に響き渡る。

「「ですが、そんなに近くにいては危ないですよ?」」

「? 何を――」

 何を言っている――そう言おうとして、やめた。いや、やめた、というのは正確でなはい。それどころでは無くなったというのが本当だ。

 なぜなら、ただの絵であったはずの対人ミサイルが、急に熱を持ったからだ。

本当に爆発するかどうかもわからないが、こういう場合の想像は、常に最悪の場合を考えておかなくてはならない。

 そして実際に、ただの絵であったはずの小型ミサイルは爆発した。

反射的にバックジャンプで距離をとっていたボクは、どうにか爆発の影響を受けずにすんだのだが、危機的状況であることは変わらない。

 防ぐことの出来ない攻撃。厄介なことこの上ない。しかも、人をおちょくったような技だ。冷静を欠けば一瞬で相手のペースに持っていかれる。しかも、寝倖の相手も同時にしなければならない。

「まいったな………」


   †   †   †   


「黒耀君は一体どうしたんだ? 何もないところで跳び退ったり、壁を斬りつけたり」

「多分、あの人の仕業だと思います」

 鈴は、少しはなれたところから黒耀を見下ろし続けるマントの女を見る。

「神経干渉系の能力を持った女神ネイトじゃないでしょうか」

「確かに、その可能性が高いな」

「雅さんがいてくれたら、峻君の力になれたのに………」

「あの人は今、救援を求めに行ってくれている。もうじき戻るはずだ。それまでは――」

「はい、わかっています」

 翡翠と鈴は、それぞれの得物も握り締め、構え直した。

「私たちが峻君を全力で援護します!」

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